アーセナル22/23シーズン総括【前編】「アーセナルの今シーズンの歩み」
楽しいような悔しいようなな22/23シーズンが終わりました。
いつもよりジェットコースターではなかったものの最大瞬間風速とそこからの落ち幅で言えばアルテタ政権でトップクラスだっただろう。
そんな今シーズンの振り返りと行きたい。
もくじ
基本情報
シーズン総括
開幕からW杯前まで

ジェズス、ジンチェンコをシティから獲得し手薄だったウーデゴールの控えにはヴィエイラを迎えた。
また、レノが去った2ndGKにターナーを迎えサカの控えにサンパウロからマルキーニョスを獲得した。
CFの控えには昨シーズン終盤にインパクトを残して契約延長を勝ち取ったエンケティアがいる。
サリバがローンバックで戻ってきてすぐに右CBのスタメンの座を勝ち取ったことで右SBにホワイトと冨安、左SBにはジンチェンコとティアニーというSB離脱で即詰みだった昨シーズンとは見違える陣容になった。
唯一トーマスの控えを獲得できなかったが、それ以外は完璧に近い移籍市場での立ち回りをして開幕を迎えた。
開幕5連勝のロケットスタートを決めるもトーマス離脱という最も恐れていたアクシデントが発生、さらには昨シーズン終盤トーマス不在時の穴を頑張って埋めていたエルネニーまでもが離脱、6節には代役としてアンカーに入ったロコンガの守備のスライドの遅さを突かれて敗戦、今シーズン初黒星となった。
ユナイテッド戦マッチレビュー↓

しかし、そこからリーグ戦はW杯の中断まで8試合7勝1分けで無敗を継続、カップ戦もELグループステージPSV戦とカラバオ杯ブライトン戦に敗れた以外は全勝で駆け抜けた。
この期間は10節リヴァプール戦以降ジンチェンコの負傷離脱に伴い11月のカラバオ杯ブライトン戦で冨安が負傷するまでの間は冨安が左SBのファーストチョイスとなり、右SBのホワイトと併せて攻守の安定に大きく貢献した。
冬の移籍市場

W杯でジェズスがひざを負傷し手術で長期離脱、新たなストライカーの獲得のうわさも上がったがエンケティアがリーグ戦再開後の5試合で4ゴールの固め打ち、特にユナイテッド戦では前半の同点ゴールと試合終了間際の劇的な逆転ゴールで大きく勝利に貢献した。
冬の移籍市場ではスミスロウが鼠径部の手術で長期離脱しておりマルティネッリ1人となった左WGとエルネニーシーズンアウト、ロコンガがパレスにローン移籍したことでトーマス1人になっているアンカーの補強に奔走することになる。
左WGはムドリク獲得間際まで行ったが、アブラモヴィッチの後を継ぎチェルシーのオーナーになったトッド・ボーリーが大暴れ、ムドリクを強奪していった。
チェルシーは他にもエンツォら多くの選手を長期契約と高額の移籍金げ獲得した末に今季はなんと12位でフィニッシュしたのは皆の知るところだ。
ムドリクを強奪されたアーセナルは即座にプランBに切り替えて当時シーズン途中にブライトンの監督に就任したデゼルビと衝突し構想外になっていたトロサールを£27mで獲得することに成功。
単なる左WGの控えだけでなく、ブライトン時代はCFから左に流れるプレーを得意としたトロサールにはストライカータイプエンケティアとは違った、よりジェズスのタスクをトレースすることも期待されての加入となり、トロサールは見事にその期待に応え、加入から半年で1G10Aとアシストの山を築いたのだった。
アンカーには同じくブライトンからカイセドの引き抜きを試みて個人合意には漕ぎつけたもののブライトンがこれを拒否、カイセドと契約延長してこの話は無くなった。
とはいえ、カイセドの契約延長は冬に移籍しない代わりに夏には移籍して良いというものでアーセナルの冬の個人合意がまだ有効で今夏再チャレンジして獲得できるチャンスは大きい。
話を戻すとカイセドを断念したアーセナルはプランBとしてチェルシーのエンツォ獲得によりチームを追われたジョルジーニョをリストアップ。
冬の移籍市場最終日に£12mの移籍金と1年半+1年延長OP付の契約期間でチームに加入、トーマス不在時はアンカーとしてのタスクをトーマスと同等かそれ以上にこなしコーチングで味方を助けてチームに大きく貢献した。
冬の移籍市場の立ち回りは文句なしの大成功となった。
また、左利き左CBが1人しかおらず、ガブリエウがフル稼働でハイパフォーマンスを継続する中でその控えにキヴィオルをセリエAスペツィアから£20mで獲得した。
W杯後からFA杯4回戦でシティに敗れるまでの間リーグ戦4勝1分、FA杯1勝1敗で終えている。
特にリーグ戦は年末年始からブライトン、ニューカッスル、スパーズ、ユナイテッドとの連戦で鬼門と見られていたがこの4試合で勝ち点10を確保することに成功した。
冬の移籍市場閉幕からEL敗退まで

FA杯でシティに敗れた後はリーグ戦3試合未勝利(1分2敗)でブレーキとなり特にシティとの直接対決にも敗れたことでシティの足音が近づいてきた。
この中にはオフサイドラインを引き忘れるという前代未聞のVARのミスによって引き分けたブレントフォード戦も含まれている。
しかし、そこからアーセナルはリーグ戦5連勝と再び持ち直すことに成功した。
特に、後半ATにジョルジーニョのスーパーミドル(記録はポストに当たった跳ね返りがエミ・マルティネスに当たってゴールに入ったのでオウンゴール)で逆転に成功、ラストプレーのCKのクリアボールからのカウンターをヴィエイラとマルティネッリで完遂し無人のゴールに決めて突き放したアストン・ヴィラ戦。
試合開始わずか10秒足らずで先制を許し、57分にも追加点を許したがその直後、62分に1点を返すと70分にはその直前にピッチに入ったネルソンのクロスにホワイトがアーセナル加入後初ゴールを決めて同点にした。
そして後半AT7分、文字通りラストプレーとなったCKのこぼれ球をネルソンがボレーシュートでたたき込み劇的逆転勝利を飾ったボーンマス戦と大逆転劇を短期間のうちに2回演じている。
しかし、ELラウンド16では1st LEGを2対2で折り返すと2nd LEGは延長PKの末に敗退、さらに悪いことにこの試合で冨安とサリバがシーズンアウトの負傷で離脱、このことが4月以降のアーセナルに大きな影を落とすことになった。
DFラインの崩壊と終戦

4月の初戦リーズ戦こそ大勝を収めるもそこから3試合連続ドローで4月末に控えた優勝を占う大一番シティ戦を前に手痛いブレーキ。
特に、リヴァプール戦とウェスト・ハム戦は前半の内に2点先行しながら勝ち切れない悔しい内容となった。
4月に入ってからはサリバ、冨安離脱に伴いホールディングが右CBに抜擢されている。
ホールディングが起用された期間の試合はトーマス、ジンチェンコ、ウーデゴールを中心にチームのビルドアップ全体が後ろ重心になりサリバ起用時なら相手の守備のラインを1列越えられる場面で1列超えられずに相手の前でビルドアップをする機会が増えてチャンスの減少につながった。
また、ホールディングは試合終盤引いて守る時に入る選手としては素晴らしいが、スタメンから使うとなるとサリバと比較して守備時に広いスペースを守るのが苦手で、攻守に渡りサリバ不在の影響がもろに出た形になった。
3試合連続ドローで勝ち点差5になった状況で迎えたシティ戦、真っ向から挑んだアーセナルだが力の差を痛感させられる結果となった。
アーセナルの前からのプレスもほとんど完璧というような連動を見せて狙い通りシティの後方の選手にビルドアップを放棄させることはできたが、放棄させた先でハーランドがアバウトなロングボールを収め、起点になりそこから試合開始早々に先制を許す形になった。
その後も試合巧者ぶりを発揮して着実に点差を広げ、最終的に4対1となった。
シティ戦のマッチレビュー↓
失意の敗戦の直後、迎えたのはチェルシー戦。
ポッターも解任し後任にはシーズン終了までの間ランパードを呼ぶことにした正真正銘どん底にいるロンドンのライバルだ。
アーセナルもこの試合の内容決して良くはなかったが相手がチェルシーということもあり勝利を収め、昨シーズンCL争いの直接対決のノースロンドン・ダービーで敗戦した次の試合もズルズルと敗れたが、その二の舞は回避できた。
この試合から右CBには左利きのキヴィオルが起用されている。
ニューカッスル戦はチェルシー戦から内容も持ち直し勝利を収めたが、次節ブライトン戦前半試合を優勢に進めたが先制点を奪えず、逆に後半はブライトンペースになり3点を奪われて敗戦。
37節ノッティンガム戦も終始押し込みながらカウンター1発に沈み敗れシティが37節を迎える前にシティの3連覇が決定した。
この試合からはサリバ離脱以降ずっと待望論のあったトーマス右SB、ホワイト右CBを採用、さらにはジンチェンコの負傷離脱によりキヴィオルが左SBに起用された。
トーマス右SBは上手く行く片鱗こそ見せながらもノッティンガム戦ではちぐはぐなままに終わった。
しかし、最終節ウルブス戦では同じスタメンで挑み、今度はトーマス偽SBがしっかりと機能、この試合がおそらくアーセナルラストゲームとなるジャカの殊勲の2ゴールを含む5ゴールで大勝し22/23シーズンを締めくくった。
おわりに
前編では今シーズンの流れを振り返ってきました。
後編では今シーズン輝いたアーセナルの選手の紹介、対戦して嫌だった選手のランキングと良くも悪くも覚えておきたい主審について書く予定です。
多分来週の週末に後編は更新されます。
エジルに見惚れてグーナーになった人。18/19シーズンから戦術ブログを開設してリーグ戦全試合のマッチレビューを投稿している戦術系グーナーです。