【マッチレビュー】アーセナル対サウサンプトン~復調の兆しあり?
今日負ければホーム5連敗というチーム史上初の屈辱的な記録が生まれてしまう状況で迎えたプレミアリーグ第13節サウサンプトン(以下:セインツ)戦です。
今季一時は首位に躍り出るなど躍進し、試合前の時点で4位につけ好調なセインツに対して、4節のブレイズ戦以降複数得点、オープンプレイでの得点もなく、7節のマン・ユナイテッド戦の勝利の後勝ち点3から遠ざかってるアーセナルの対戦です。
アーセナル1-1サウサンプトン
もくじ
両チームのスタメン
アーセナルは前節のバーンリー戦から4人変更(内3人は出場停止関連)。
3試合出場停止のジャカ、累積警告で出場停止のベジェリンに加えラカゼット、ウィリアンもスタメン落ち。
代わりにスタメンに名を連ねたのはセバージョス、メイトランド=ナイルズ、エンケティア、そして3試合出場停止から帰ってきたペペです。
そして注目点は4-2-3-1から3-4-3に戻したことです。
対するセインツは前節ブレイズ戦から変更はなし。
ウォルコットはアーセナルの時は右WGやってたため、左にいるイメージがわきにくいです(笑)
両チームの二次配置
アーセナルのボール保持時
アーセナルは久しぶりの3-4-3スタートのボール保持時4バック可変です。
ただ、依然と違うのはティアニーが攻撃時にSBになる頻度が下がり左CBとしてふるまう時間がそれなりに多かったことです。
これはおそらくセインツの4-2-2-2の前プレスに対して3バックでのビルドアップを試みたからでしょう。
サカの役割は基本は大外のレーンからの仕掛けで、ティアニーが上がってきたときはハーフスペースで受ける役割になっていました。
右サイドはペペが大外で張ってナイルズが偽SB的に中に絞っていました。
ウィリアンと違ってペペはサイドで1対2の局面でも打開できる期待感を抱かせてくれるのは良かったですね。
対するセインツの守備はソリッドな4-4-2で前からはめにきて同サイドに追い詰めていました。
アーセナルは序盤はハイプレスに苦しみ前に蹴らざるを得ない時間が続きました。
しかし、前半途中から後半頭にかけて多少主導権を握り返すことに成功していました。
サウサンプトンのボール保持時
セインツのボール保持時はロメウのクロースロールと両SHが中央に絞りその外側を両SBが駆け上がる。
この2つが主な約束事に見えました。
そして、アーセナルにとって厄介だったのはロメウのクロースロールです。
アーセナルの前から守備はオーバメヤンはコースカットプレスをしながらCBに寄せる一方でペペはどちらかというとSBにしっかりついていく感じで左右がアンバランスだったためロメウのところである程度余裕をもってボールを持てたため、セインツが主導権を握って試合を進めていました。
また、中央に残るボランチ(主にウォード=プラウズ)はエンケティアが抑えてますがエンケティアが1列スライドして最終ラインにプレッシャーをかける時は後ろもスライドしてボランチのどちらかがここを抑える役割になっていました。
その一方で、ボランチには中に入ってくるSHやライン間で受けようとする選手への楔のパスのケアもしているように見えました。
「前にスライドしてプレスもかける」「楔のパスも警戒してそっちのパスコースも消す」どっちもやらなくっちゃあならないってのが「この試合のアーセナルのボランチ」のつらいところでした。
アルテタ式3-4-3の欠陥
17分のセインツの先制点のシーンはこの守り方の穴をもろにつかれた形でした。
ロメウがボールを引き出そうと下りて行った所にセバージョスがケアに行きます。
その瞬間、それまでセバージョスがカバーしてた範囲がエアポケットになり、ここにアダムスが下りてきてヴェスターゴーアからの楔のパスが通しました。
後ろから潰しに来ていたマガリャンイスをターンでかわしてウォルコットへのラストパスを送り、最後はウォルコットが冷静に浮かせて先制。
このシーンはこの3-4-3も欠陥が露呈したと思います。
そしてこれは状況は少し違いましたが、今季の第5節マン・シティ戦でも露呈し、それが失点に絡んでいました。
そちらも2人でもカバーが難しいスペースから1人釣りだされて1人で守り切れないスペースが中盤に生まれたことが失点につながっています。
ウィリアンが優先されていた理由とペペの復活の糸口
リーズ戦での愚行による3試合の出場停止が明け、プレミアリーグでのスタメン復帰を果たしたニコラ・ぺぺ。
PL第4節ブレイズ戦やELのGSでの活躍はありましたが、右WGでの序列はウィリアンの後塵を拝する形になっていました。
2人の差はどこにあるのか…?
最も大きな差は守備の面です。
ペペも加入当初と比較すると献身的に守備に戻るようにもなりましたし、この試合では特に頑張っているのは伝わりました。
でも守備が上手くないんです…
コースカットプレスをしてもウィリアンと違ってコースを切り切れてないからプレスをはがされるのもそうですが、それ以上にこの試合では守備の仕方が気になりました。
ウィリアンは積極的にCBまでプレスをかけます。
一方、この試合でのぺぺはSBを抑えはするもののCBにプレッシャーをかけに行くシーンが少なかったです。
これによりセインツの最終ラインにゆとりを持たせてしまっていました。
逆にペペならではの良さが出たシーンもいくつもありました。
41分のセバージョスからのグラウンダーのクロスをダイレクトで左足で合わせたシーンや、他にもいくつかあった左からのクロスに対して右から中に入ってきて左足で合わせる形。
これは昨季も見せていた形ですし左からのクロスの質は期待できる今のアーセナルでこの形は生かしていきたいです。
また、大外で張った位置で1対2の局面でも単騎で打開できる期待感があるのもペペがウィリアンよりも秀でている点です。
ペペがここから序列を上げるために必要なことは、「ボールを奪うためのプレスとその継続性」「スペースを使うオフザボールの動き」この2つでしょう。
サイドの数的不利をねじ伏せた
マガリャンイスのサイドへの展開を受けたサカはそこで3人をかわしてエンケティアへのパス。
サカ→エンケティア→オーバメヤンで同点ゴールです。
実にリーグ戦では4節ブレイズ戦以来のオープンプレイからの得点です。
このシーンに限らず、サイドからチャンスになるシーンのほとんどが大外の選手が2人以上かわしてからのシュートやクロス、パスでした。
なぜこうなるかというと、サイドでサカやペペがボールを持った時に周りの選手のボールホルダーを助ける走り込みがないからです。
これができれば、サイドからの突破がより効率的になるでしょう。
前節までとの違い
この試合でよかったのは1つ飛ばしのパスが増え、そこからチャンスが増えたことです。
マガリャンイスからサカへの展開は同点弾以外にもいくつもチャンスの起点になっていました。
また、3-4-3スタートにしたことでティアニーが最終ラインに残る時はそのまま3-4-3、ティアニーが上がる時はエルネニーが下りる、という感じでタスクが明確になりました。
前節バーンリー戦同様、内容に改善の兆しが少しずつですが見えてきました。
ですので、やはりアルテタ続投がベストでしょう。
スパシーバ、ここまで読んでいただきありがとうございます。
エジルに見惚れてグーナーになった人。18/19シーズンから戦術ブログを開設してリーグ戦全試合のマッチレビューを投稿している戦術系グーナーです。