【マッチレビュー】エヴァートン対アーセナル~徐々に大きくなる兆し
プレミアリーグ第14節、エヴァートン対アーセナルはリーグ戦6戦勝ち無しの15位の状況でチェルシー、レスターを撃破しての2連勝中で5位と勢いに乗るエヴァートンのホーム、グディソンパークに乗り込んでの1戦となっております。
難しい相手で勢いがあるのは間違いないですが、取りこぼしもあり、安定感は少し欠ける印象もあるので可能性はあるでしょう。
エヴァートン2-1アーセナル
もくじ
両チームのスタメン
エヴァートンは前節レスター戦からは1人の変更。
レスター戦で負傷交代したアランが今節は欠場となっています。
また、バーンリー戦以降負傷で欠場しているハメス・ロドリゲスに代わって起用されているシグルズソンがゲームメイクにおいて存分に役割を果たしています。
対するアーセナルは前節セインツ戦からは2人の変更。
前節イエロー2枚で退場となったマガリャンイスに代わり、ダビド・ルイスがウルブズ戦以来のスタメン復帰をはしています。
それからオーバメヤンがベンチ外でウィリアンが左WGに入っています。
どうやらオーバメヤンは負傷のようです。
また、前節に引き続きナイルズが右WBのスタメンをキープしています。
両チームの二次配置
アーセナルのボール保持時
アーセナルのボール保持時の形は少しずつですがテコ入れをしながら整備されつつあります。
注目はウィリアンです。
試合前はこんなことを不安視したわけですが、ふたを開けてみればウィリアンが低い位置に降りてサカとティアニーにパスを供給する役割になり上手く回っていました。
右はペペが大外の張った位置で受け、ナイルズが右のハーフスペースで受ける役割を担っていました。
また、エルネニーがアンカー落ちのような形でCB間に入り3バックを形成し、エヴァートンの2トップの脇を持ちあがってからの楔のパスやサイドチェンジは効果的でした。
エヴァートンの守備は4-4-2のブロック守備ですが、右のイウォビはサイドに流れて高い位置を取るティアニーを警戒してか低い位置に降りていましたが、左のリシャーリソンは右SBのメイトランド=ナイルズが中に絞っていたこともあり少し前目で時折3トップでのプレスのような形にもなっていました。
エヴァートンのボール保持時
エヴァートンは中盤三角形の4-2-3-1からボール保持時は中盤が逆三角形に可変します。
ダブルボランチの一角のトム・デイビスがアンカー的な役回りでCB付近によってボールを引き出して展開します。
また、トップ下のシグルズソンは左、ボランチのドゥクレが右のハーフスペースにポジションを取り時折下りてきてパスも引き出していました。
ですが基本的にはデイビスより高い位置にとどまり1アンカー2IHのような位置関係になっていました。
このエヴァートンの動きに対してアーセナルはCFのエンケティアとダブルボランチのエルネニーとセバージョスがそれぞれトム・デイビス、シグルズソン、ドゥクレをマンマーク気味に監視していた。
しかし、ボランチの2人は完全なマンマークではなく、距離によってはマークを放しスペースを守ることを優先していました。
これはおそらく中盤のスペースを空けるのを嫌っての対応でしょう。
それから特徴的なのはWGです。
両WGはほとんどの時間タッチライン際で過ごし、パスを受けるのもタッチライン際でした。
WGの主な役割はタッチライン際で受けてカルバート=ルーウィンへクロスを送る役割で、SBはリスク管理の兼ね合いもありオーバーラップの頻度は抑え目でした。
全体でハメスの穴を埋めるエヴァートン
ここ数試合ハメス・ロドリゲスが欠場しているがそれを感じさせない結果を出し、この試合でも同様でした。
それはハメス抜きでも機能するゲームプランと人選を用意しているからでしょう。
普段はハメスにボールを集める形でチームを回しているが、この試合ではトム・デイビスやシグルズソンを経由してサイドに展開、タッチライン際で受けた両WGが仕掛けてクロスを入れてエリア内でカルバート=ルーウィンが受ける形を作っていた。
特に、シグルズソンはハメスのような派手さこそないが、少ないタッチ数でさばく冷静さとサイドに振り分ける落ち着きを持っているからだ。
また、この試合の両SBのホルゲートとゴドフレイはオーバーラップの頻度はそれほど多くなかったが、タッチライン際でWGがボールを持った際には必要に応じて内外をおとりになる走り込みを見せてWGがクロスを入れるためのサポートをしていた。
エヴァートンの先制点のシーンも自陣で奪ったとこからデイビスを経由してリシャーリソン、敵陣に侵入してからは再びデイビスを経由して今度はタッチライン際のイウォビに展開。
イウォビが手数をかけず速いクロスを入れてホールディングのオウンゴールを誘発し先制に成功した。
イウォビのところで強くいけなかったのもそうだが、自陣でデイビスに強くいけず、簡単にサイドに振らせてしまった時点で半分は決していただろう。
前々からアーセナルの失点で気になっていたのは撤退しすぎて相手が自由にやるためのスペースを与えてしまっていることが多い点だ。
ウィリアンのNew Role
前述の通り、この試合でのウィリアンは新たな役割に挑んでいました。
ボール保持時3-2-5の「2」の左から前線とピッチ全体のリンクマンとしての役割でした。
年齢が年齢なこともあり純粋な突破力には衰えが見られますが、キック精度やサッカーIQの高さはいまだ健在のウィリアンを攻撃時は低い位置で散らし役となりつつ時折自分でも仕掛けられる役割は今のウィリアンに合ってると思います。
マルティネッリの帰還
マルティネッリの復帰は今のアーセナルに足りないものを吹き込んでくれたような気がします。
マルティネッリが投入してからはポジションの流動性が増し、相手の陣形をかき乱す攻撃を展開できるようになりました。
その最たる例が82分のシーンです。
マルティネッリとラカゼットが入れ替わるようにダッシュ、サイドに流れたラカゼットにルイスがパスを出し、そこからのドリブルでエリア内まで侵入したシーンは結果にこそつながりませんでしたが、最近の試合では久しく見かけていなかったアイディアからのチャンスでした。
それ以外のシーンでもマルティネッリは頻繁に動き直しを試みることでエヴァートンの守備陣形にズレを作っていました。
そして、それに呼応するかのように終盤のアーセナルはここ最近で一番攻撃が活性化されていたように見えました。
エヴァートンもがちがちに中を固めてきていて、なおかつここ一番でピックフォードの好セーブが飛び出したこともあってゴールマウスをこじ開けるには至りませんでした。
しかし、あの攻撃陣の活気を試合の頭から出せれば状況もおのずと上向いてくると思います。
スパシーバ、ここまで読んでいただきありがとうございました。
エジルに見惚れてグーナーになった人。18/19シーズンから戦術ブログを開設してリーグ戦全試合のマッチレビューを投稿している戦術系グーナーです。