【マッチレビュー】アーセナル対ノリッジ~CL・EL出場権へ反撃の狼煙~
みなさんおはこんばんにちは。いやはや、久しぶりのエミレーツでの1戦ですね。相手は良いサッカーしてるけどアーセナル以上の怪我人に泣かされて降格圏といった印象のノリッジです。結果は4-0の大勝、ジャカの1年以上ぶりのゴールに加えて、セドリックの途中出場からの強烈ミドルなどポジティブな話題の多い試合でした。
アーセナル(H)4-0ノリッジ・シティ
【得点者】33’67’オーバメヤン(ARS)、37’ジャカ(ARS)、81’セドリック・ソアレス(ARS)
【途中交代】
【アーセナル】46’ムスタフィ→ホールディング 58’ネルソン→ウィロック 76’ラカゼット→エンケティア、ベジェリン→セドリック・ソアレス 82’オーバメヤン→ぺぺ
【ノリッジ】46’ブエンディア→O.エルナンデス、プッキ→ドルミッチ、トリブル→アイダ 75’ルップ→ヴランチッチ、カントウェル→シュティパーマン
・前半-1 ノリッジの狙い
風貌や雰囲気がどことなくクロップに似ているノリッジのダニエル・ファルケ監督はノリッジにやってくる前はドルトムントのセカンドチームの監督をやっていたようでして、クロップと時期こそ被っていませんがハイプレスの姿勢など共通するところがあります。そんなノリッジですが、4-1-4-1が初期配置でそこからCFのプッキと両SHがまずハイプレスをかけてきます。両SHはWBへのコースを切りながら寄せるコースカットプレスをしてきています。そして、それに呼応するようにIHもアーセナルのダブルボランチを捕まえるようなプレスをかけて前からはめてきていました。
次にノリッジのビルドアップを見ていきましょう。ノリッジはハイプレスの他に後方から丁寧につなぐことにこだわっている印象でした。そして、そこで用いたのがアンカーのトリブルが1列下がってCB間に入る「アンカー落ち」です。この可変システムで攻撃時は3-4-3の形を取っていました。
・幕間
さて、なぜ今回は相手チームの戦術に少し踏み込んだかというと、この後解説するアーセナルのこの試合の戦い方を紐解くうえで理解を助けると思ったからです。では見ていきましょう。
・前半-2 アーセナルの攻め方
アーセナルはこの試合も3-4-3を採用。ノリッジが4-1-4-1で前からプレスをはめに来るのに対してこの試合はラカゼットのポストプレーが効いていました。中盤の選手を追い越して下りてきてシンプルにはたいて前を向いたセバージョスやベジェリンが前を向いて受けて攻撃を加速させていました。
そして、ラカゼットが空けたスペースには両WGのオーバメヤンとネルソンが積極的に飛び込み、大外では両WBが裏を狙っていました。中盤ではセバージョスがノリッジを手玉に取り、そこからの縦パスや裏へ走りこむベジェリンへのパスは特に良かったです。また、中盤の役割分担として、ジャカが中央にとどまり、その周りを衛星のように動き回ってプレーに関与していました。FA杯のブレイズ戦ではジャカの相棒を務めたウィロックも同じようにサイドに顔を出していましたし、おそらくジャカの相棒に豊富な運動量を求めているのでしょう。そうすることでジャカは広範囲を動き回る必要がなくなり、自分の得意なプレーに専念できるという事でしょう。
ヒートマップでもジャカが中央でその周りをセバージョスが動き回ってる感じです。
さて、アーセナルの2点目をまず見ていきましょう。2点目はダヴィド・ルイスからのロングフィードをティアニーが受け、ティアニーからニアゾーンランをしてきたオーバメヤンに通り、オーバメヤンのマイナス気味の折り返しを走りこんできたジャカが決めたこの1点、戦術の勝利ともいえるゴールだと思います。
まず、大外に相手SBをつり出したことでSB-CB間にスペースができます。そしてそこにオーバメヤンが走りこんでマイナスの折り返し。マイナス方向へのパスは相手からするとボールと受け手を同時に視野に捉えるのが難しいためにマークがあいまいになりやすいです。そこに中盤から走りこんできたジャカのゴール。まさに計算しつくされたゴールです。そして、アーセナルに足りなかった中盤の選手のゴールが生まれたという点でも重要な1点でした。
・必然ではないがただの偶然でもない2ゴール
アーセナルの先制点はゴッドフレイからクルルへのパスを追いかけたオーバメヤンがクルルからボール奪取しそのままゴールに結びつけたゴールでした。
そして2点目はノリッジのスローインを受けた選手からCBへの横パスがずれてそれをオーバメヤンがカットし、ゴールに繋げた形です。どちらも「ノリッジの自滅」、「運が良かった」、で片付けられがちですが、ここでは以前シティ戦の際に運は落ちる場所のものにしか落ちないと書きました。そして、今回もそれが言えると思います。懸命にプレスをかけたからあのミスを誘発できましたし、常にゴールを狙っていたからあのパスミスに即座に反応できたんだと思います。
・後半-1 CBの持ち上がり
前半から時折見られましたが、後半はより3バックのサイドが積極的に高い位置まで持ち上がるようになっていました。ブレイズ戦でもそういったシーンはありましたがこの試合はより顕著で前半にはムスタフィがバイタルエリアまで侵入しクロスも1本入れていますし、コラシナツも持ち上がってからのクロスを記録しています。
3バックを機能させる上でこの両サイドのCBの持ち上がりというのはかなり重要なファクターだと思いますし、CBが持ち上がりを見せるようになったブレイズ戦とこのノリッジ戦でセインツ戦より3-4-3が機能していたのも偶然ではないでしょう。
・雑感
4点目のセドリックのミドルシュートはもういう事がないくらいに完璧なミドルシュートでした。そして、前半終了間際のFKのファインセーブはじめチームを最後尾から支えたマルティネス。彼も4大リーグの上位チームで正守護神を務めていてもおかしくない実力を持ちながらこれまで2ndGKの立場を受け入れてチームを支えてレノの負傷で出番が回ってきたら絶大の安定感を見せる姿はまさにプロフェッショナルです。
久し振りの大勝でテンション高くポジティブな内容がほとんどでした。実際試合内容もおおむねポジティブなものでした。ですがひとつ懸念点を上げるとすればコラシナツの左CBです。攻撃時の水死威力の面では悪くありませんが、長いキックの精度もティアニーほどではありませんし、何より守備時のリスクです。VARによりPKは与えられませんでしたが、PK献上となってもおかしくないプレーがありました。SBの時から自分の背中を守るのが得意なタイプではありませんから仕方ないと言えば仕方ないですし、アルテタはおそらく左利きCBにこだわっているのでしょう。そして、パブロ・マリが負傷離脱している今こうするしかなかったのでしょう。
この試合久しぶりのプレミアリーグでのスタメンとなったネルソン。エリア内に走りこむタイミングやゴールに向かうプレーでは改善の余地がありますが、プレスのかけ方とオフザボールはぺぺより上でしょう。特にコースカットプレスはぺぺだとコースが切り切れていなくて通されてしまうシーンがありましたがネルソンはほとんどそういったシーンはありませんでした。それぞれドリブルやプレースタイルに違いもありますし、相手によって使い分けてほしいですね。
最後に、セバージョス。いやはや圧巻でしたね。ノリッジの中盤を手に取る様はジャック・ウィルシャーやフレンキー・デ・ヨングをほうふつとさせるプレーぶりでした。アタッキングサードでのパス成功率はジャカに次ぐ84%(ピッチ全体では92%)。ドリブル4回で2回成功、これは両チームトップ。インターセプトも両チームトップの4回を記録しており、スタッツでもア見事な数値を記録しています。見ていても中盤の狭いスペースをくるくるかわす様は見てても楽しかったです。
これだけのパフォーマンスを披露してくれたセバージョスが来季いないとか考えたくない…ジダンさん使わないならうちにくれません?(笑)
・あとがき
ここまで読んでいただきありがとうございました。やっぱり勝ち試合が続くとモチベーションも上がりますね(笑)あとは、アクセス数が中断前くらいまで戻ってきたらモチベーション爆上がりですので良ければ拡散してくれたり感想をいただけるとうれしいです。それではまた次回!
エジルに見惚れてグーナーになった人。18/19シーズンから戦術ブログを開設してリーグ戦全試合のマッチレビューを投稿している戦術系グーナーです。
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