【マッチレビュー】マンチェスター・ユナイテッド対アーセナル<改善されない課題>
もくじ
試合のハイライト
マンチェスター・ユナイテッド‐アーセナル
両チームのスタメン
ジョルジーニョのミスを誘発したロングカウンターで先制するもその後ジョルジーニョにきっちりやり返されて1対1のドローに終わった前節チェルシー戦から3人のスタメン変更を行ってきた。
ワトフォード戦で退場したことで出場停止だったマグワイアが復帰した一方、右SBにはワンビサカではなくダロトが選ばれている。
どうやら、ワンビサカ果ての軽いけがで欠場のようだ。
また、アンカーのマティッチに代わってロナウドを起用し、システムも4-3-1-2から4-2-3-1に変更してきた。
2‐0で勝利を飾ったニューカッスル戦からスタメン変更は2人。
見事な先制点を決めるも、その後負傷交代し、この試合に間に合うかは微妙と言われていたサカはベンチスタートとなり、代役に抜擢されたのは前節途中出場から芸術的なゴールを決めたマルティネッリだ。
そして、この大一番にトーマスの相方に選ばれたのはサンビ・ロコンガでもメイトランド=ナイルズでもなく、我らがエジプト王モハメド・エルネニーだ。
ロコンガのような華やかさこそないが、この3人の中で最もチームの約束事を守り、安定したパフォーマンスを見せる彼が選ばれたのは守備から入るアルテタらしくて納得できる。
機能した前プレス
ビルドアップ時は基本的に4-2-3-1のままビルドアップを行うのに対し、アーセナルも4-4-2の前プレスで対抗。
2CBに2トップがプレッシャーをかけ、ダブルボランチにはアーセナルもダブルボランチが前にスライドして前を向かせず、降りて縦パスを引き出そうとするロナウドやラッシュフォードにはCBが前に出て潰しに行く格好になった。
特に、ガブリエウは昨シーズンのオールド・トラッフォードでの対戦時と同様に前に出て潰す守備でユナイテッドのFWを抑え込んでいた。
サイドではWGがSBをマークし、SBも1対1でWGを封じ込める役割で、前に前にとにかく捕まえに行く中央の守備とは違い、マンマーク色の強いものになっている。
先制後はリードしているため前から行く姿勢が弱くなったこと、ユナイテッド側がマクトミネイが最終ラインに降りることでズレを作るようになったこともあり、前半終了まではこのプレッシングは少し鳴りを潜めることになった。
ユナイテッド側の前プレスも4-4-2の形だったが、アーセナルほど整備されているわけではなかった。
しかし、アーセナルのバックパスに呼応してプレスを強めるため、より効率よくショートカウンターからのチャンスを生み出している印象だ。
プレス自体が整備されていたものではないため、ラングニックの息がかかったというよりは選手個人がスタンドで見ているラングニックにアピールしたいという色が強く感じられた。
修正されない守備ブロックの穴
先制してからのアーセナルはユナイテッドに主導権を握られ、自陣に押し込まれる時間が続き、43分には同点ゴールを許してしまう。
同点ゴールのシーンではニアゾーンに走り込んだフレッジに誰もついて行けず、その折り返しをブルーノ・フェルナンデスに押し込まれたゴールだった。
その前のシーンから左SBのアレックス・テレスに走り込まれて折り返されるシーンも散見され、後半には左サイドでもニアゾーンに走り込むロナウドをフリーにしてしまいシュートまで持ち込まれるシーンもあった。
3点目のPK献上のシーンではウーデゴールの後ろからのスライディングは余計だったが、それ以前に走り込むフレッジに対して後追いになった時点で勝負ありな局面だった。
この試合通して、後方で守備ブロックを組む際に、重心をかなり後ろに置く割にはハーフスペースのケアが曖昧で走り込む選手をだれが見るのかが終始曖昧だった結果がこれだ。
また、重心を後ろに置き、ボランチが最終ラインに吸収されることも多々あり、その影響でウーデゴールも中盤のラインに加わったことで本来、中盤と2トップの間でプレッシャーをかけたいスペースでユナイテッドの選手はプレッシャーを受けずにボールを持てたこともアーセナルが押し込まれるようになった原因の1つと言える。
トーマスの出来
前半からパスミスは目立っていたが、FWのプレスをかいくぐっての前進と2ndボールの回収には一役買っていたトーマス。
後半に入ると、展開がオープンになったことで前を向いて展開できる頻度も増え、トーマスの存在感が増すとアーセナルのそれに応じてボールを保持できる時間が増えた。
同点ゴールはスミスロウのレイオフを受けたトーマスの右サイドへの展開をマルティネッリが折り返してウーデゴールが右足で流し込み決めたものだ。
変わらぬ課題
先制直後からボール保持が雑になり、落ち着いてビルドアップができる場面でも安易に蹴ってしまう点と同サイドでのビルドアップにこだわり奪われるのはなにもこの試合だけではなく、今シーズンリードした試合では散見される事象だ。
特に、そこから流れを手放し、あわや敗戦まで追い込まれた試合もあったが、試合中カメラに映るアルテタを見ていると、これはアルテタの指示というよりも選手のマインドが原因のようにも感じる。
アルテタとしてはおそらく、先制後も変わらずプレスをかけて下がるのではなく高い位置で守備をし、丁寧にボールをつなぐサッカーを目指したいのではと思えてくる。
また、守備ブロックを組んだ際、ボランチが下がりすぎることで、手前のスペースががら空きになることも昨シーズンから見られた現象だ。
これは人が同行ではなく、昨シーズンジャカとセバージョスが組んでいた時にも見られたので、仕組みの問題なのだろう。
アルテタは守備の問題点を発見して修正することには長けた監督だけにこの2点がいつまでも修正されないのは気がかりだ。
おわりに
スミスロウの先制ゴールはこぼれ球に対してデヘアが倒れていたが集中を切らさずに、少しバウンドしたボールを逆足で的確にミートしており、飛んだコースも仮にデヘアがフレッジに踏まれていなくても決まったかもしれないコースだ。
その前にも後にもCKからはチャンスを演出しており、今シーズンのアーセナルにとってCKは間違いなく大きな武器の1つだ。
ここから魔の12月は1か月で8試合を消化する過密日程だ。
スタメンを固定していてはどこかで必ずクオリティが落ちる。
そこで、控えの選手の存在が欠かせない。
右WGは役割は違えどマルティネッリが存在感を示し、トップ下はラカゼットもおり、左SBもティアニーとタヴァレスがいるため心配はしていない。
あとは、ペペやスタメンだがオーバメヤンの奮起に期待したいところだ。
ウーデゴールのボランチが見たいな~
スパスィーバ
エジルに見惚れてグーナーになった人。18/19シーズンから戦術ブログを開設してリーグ戦全試合のマッチレビューを投稿している戦術系グーナーです。