【マッチレビュー】エヴァートン対アーセナル<解けてしまった魔法>
もくじ
試合のハイライト
エヴァートン2-1アーセナル
両チームのスタメン
真正面からの殴り合いの末、0-4で敗れたマージ―サイドダービーからスタメンの変更は2人。
ディーニュは試合前に欠場が発表され、怪我ではないが理由は明かせないとのことだ。
また、DCL離脱で代わりにターゲットマンを務めていたロンドンもこの試合は欠場し、4-2-3-1にシステム変更しリシャルリソンが1トップを務める。
そして、CBのミナが負傷から帰還し、10月2日のユナイテッド戦以来のスタメン出場となった。
逆転負けを喫したユナイテッド戦からのスタメン変更は4人だ。
ティアニー、サカがスタメン復帰、さらには年明けの復帰が見込まれ、今週フルトレーニングに復帰したばかりのジャカがなんと8試合ぶりのスタメン復帰を果たした。
一方、ユナイテッド戦で途中交代のスミスロウは鼠径部を痛めたということでこの試合は欠場ということになった。
列落ち自体はダメな訳ではない
この試合ではジャカの左落ちが目立っていた。
エヴァートンの4-4-2の守備ブロックに対して、今のジャカなら中盤に残ってもそこから十分展開できただろう。
だからと言って必ずしもこの左落ちはダメなものではない。
確かに、ガブリエウの持ち上がりが生かしにくなる側面もあるが、この配置ならば、右はホワイト、左はジャカが2トップの脇を運びやすい上、エヴァートンは中盤の選手が前に食いつきやすいため、最終ラインからのキャリーでライン間にスペースを提供できるはずだった。
しかし、ライン間で待つはずのラカゼットやウーデゴールは相手の中盤よりも前に顔を出す頻度が高く、そのせいでビルドアップに苦労した印象だ。
また、オーバメヤンは不在だったが、代わりにサカとマルティネッリが裏を狙う動きを見せていたが、前半はその回数も乏しかったことでエヴァートンのDFラインをそこまで押し下げることはできていなかった印象だ。
しかし、前半終了間際の先制ゴールはマルティネッリがゴール前に走り込み生まれたマイナスのスペースにウーデゴールが走り込んで難しいボレーを決めた。
そこから、後半はマルティネッリもDFに背を向けて足元で受けるよりも裏を狙う走り込みが増えたことで、チームも勢いづいていたが、ティアニーとマルティネッリがベンチに下がったことでこの勢いも鳴りを潜めてしまった印象もある。
ラカゼットとウーデゴールの共存は可能か?
この試合で問題だったのはラカゼットもウーデゴールも降りてき過ぎてしまうことでライン間に人がいなくなるという点と、オーバメヤン不在により奥行きを作れなかった点の2つだ。
1つ目の問題は、DFラインの足元のクオリティが上がった今、ライン間で受けるべき選手がそれよりも降りてくると後ろから運ぶスペースを潰してしまったり、パスの出し先を消すことにつながってしまう。
ここ数試合ウーデゴール、サカ、冨安の3人で見せていた循環もウーデゴールが降りてくるのが早すぎて冨安はサカにしか出せないという問題点が隠れていた。
ラカゼットとウーデゴールがライン間に留まることを徹底するだけでも機能性は大分良くなるだろう。
2つ目の問題は、中央から相手のDFラインを押し下げる選手がいなくても、マルティネッリもサカも裏を狙う動き出しに長けた選手だ。
この2人が斜めに動き出すことで相手のDFラインを押し下げることは可能だ。
また、サイドから押し下げるメリットはラインコントロールをするCBではなく、SBが見ているWGが裏を狙うことでDFライン全体が下がらざるを得ない状態になるという点だ。(昔何かでそんなことを読んだ)
アーセナルの守備の問題点
ユナイテッド戦同様に、ハーフスペースのケアが曖昧で、前半にはラカゼットとウーデゴールがペナルティエリア脇まで戻って守備をし、ボール奪取した場面もあり、これでは奪ったとしてもカウンターに移行しにくく、安易なクリアに逃げやすいパターンになり、結果そのクリアボールも回収される悪循環に陥りやすくなる。
特に、後半に入りエヴァートンがアンドレ・ゴメスを投入し、4-3-3にシステムを変更し、5レーンの使い方が整備されたことでより押し込まれるようになった。
また、問題なのはトーマスもジャカもCBの近くまで下りてきて最終ラインに吸収されている状態で、なおかつハーフスペースのケアができてないので、バイタルエリアもプレッシャーがかからないということだ。
結果、決勝点になったグレイのスーパーミドルのようなゴールが生まれやすくなっているのではないかと考えられる。
おわりに
マイク・ディーンは今回もやってくれたね。
2回退場になってそうなゴドフレイは結局退場になることはなかった。
レッドカードって何のためにあるんでしょうね。
とはいえ、この試合はVARに2点分助けられていること、いつもの悪癖により先制後に主導権を手放したこと、試合終盤いくつか迎えた決定機を決めきることができなかったこと、などなど敗因はいくつもあり、この試合に関しては「審判のせいで負けた」という資格は無い。
ウーデゴール「受け入れがたい敗戦だ。マインドセットの問題があると思う。1-0でリードした時に負けることを恐れるのは間違っている。2点目を取りに行きたかったが、ピッチ上でそれができなかった。
アルテタはユナイテッド戦でも先制した後もチームに前から積極的に行くように促していたが、チームはそれができなかった。
そして、それはこの試合でも同様だ。
こればかりは強いチームに対して1点取った後2点目を取りに行く姿勢を見せて勝利する成功体験でしか改善できないのではないだろうか。
とにかく、今できるのは目の前の試合に100%を尽くし、試合をコントロールし勝つことだけだ。
今日はここまで。
スパスィーバ
エジルに見惚れてグーナーになった人。18/19シーズンから戦術ブログを開設してリーグ戦全試合のマッチレビューを投稿している戦術系グーナーです。