【マッチレビュー】ボーンマス対アーセナル「可変のシームレスさ」
ボーンマス0-3アーセナル
もくじ
試合のハイライト
両チームのスタメン
アーセナルは開幕戦から3戦続けてスタメンに変更なしということで上手く行っている間は変にいじらないアルテタらしい采配となっている。
ちなみに、開幕3試合全く同じスタメンとなったのは03/04シーズンのインビンシブルズ以来だ。
また、先日U-21の試合に出場したファビオ・ヴィエイラが初のベンチ入りを果たした。
対するボーンマスは大敗を喫した前節シティ戦から3人のスタメンを変更してきた。
そして、フェイエノールトから加入したセネシがこの試合でボーンマス加入後初スタメンとなっている。
2-3-5と3-2-5
アーセナルの2-3-5ビルドアップに対してボーンマスは5-3-2の守備を敷いてきた。
ボーンマスは前から捕まえに来る場合は全ハメできるが、2トップはそこまで積極的にはプレスに出ずトーマスの脇を固める色合いが強く、チームとしてはブロックを固めて守る方針だった。
そして、この試合ジンチェンコが内に絞りすぎないようになったことが功を奏した。
もちろん、状況次第でトーマスの脇まで入ることもあったが、ベースのポジションはガブリエウより外で張りすぎない偽SBとしてはベストの立ち位置になっている。
そして、左SBと右CB、右SBと左CBのパスコースが確保されていることで2トップの両脇を起点に前進しダメなら仕切り直して逆サイドから前進する形がスムーズに行えていた。
また、ジンチェンコがトーマスの脇まで入ると右SBのホワイトが右のインサイドバックになり、3-2-5のビルドアップに変化、こうなるとボーンマスの5-3-2の守備とかみ合わせがずれることでインサイドバックのキャリーが容易になるほか、それぞれの選手が5-3-2の守備ブロックの中間に立てるため、パスの出し先も増える。
開幕戦のパレス戦ではジンチェンコが中に入った後ガブリエウが外に開かなかったことで左サイドの選択肢が限られていたが、2節のレスター戦を経てこの3節ボーンマス戦ではジンチェンコのポジショニングそのものの修正と2-3-5、3-2-5可変がチームに馴染んだようだ。
左右の崩しの違い
アーセナルは左右それぞれのサイドで異なる崩しを披露した。
左サイドは人を集め相手を引き込み狭いスペースでの連携による崩し、右サイドは左に寄せてから右に振り直して生まれる広いスペースをサカ、ホワイト、ウーデゴールの3人で完結させる崩しだった。
ボーンマスの守備は5-3-2で構えて守るやり方だが、全く前に出ないわけではなく、前に出る時は2トップが縦関係気味になってサイドに追い詰めるような追い方をする同サイド圧縮だった。
そして、偽SBに繋ぐとIHが潰しに出てくる守備をしていたが、全体的に感じたのは常に後手に回っているという印象だ。
ガブリエウはプレスをかけられた場合、トーマスに当てるかジンチェンコに出すかの2択を選ぶことがで切るが、多くの場合はジンチェンコに出すことを選んでいた。
ガブリエウ→トーマス(6本)、ガブリエウ→ジンチェンコ(18本)でガブリエウからジンチェンコへのパスの本数はチーム内で3番目の本数だった。
それを受けたジンチェンコに対しては遅れてIHが釣り出されて寄せに来るがプレスの外で受けられるマルティネッリ、うちで受けられるジャカやトーマスという選択肢があるほか、この段階でボーンマスの陣形が左に寄っているため、右CBのサリバに戻すことで空いている右サイドからの仕切り直しに繋ぐことができた。
マルティネッリも近い距離に味方がいるため、パスを受けてから仕掛けるか味方を使うかの選択肢を有しており左サイドでアーセナルは常にボーンマスの守備に対して2つ以上の選択肢を持っていて、優位にボールとゲームを進めることができていた。
その一方で、右サイドは比較的広いスペースを少数精鋭で切り崩すことでチャンスを作り出している。
サカの仕掛け、それに応じたホワイトのオーバーラップでWBに対して局所的な数的優位を作るか、オーバーラップによる優位が生み出せない場面ではオーバーラップしないで戻しのパスを受けれる位置に待機、サカがDFラインを押し下げてからの戻しのパスを受けてアーリークロスを入れることでエリア内にボールを供給していた。
ハイライト解説
先制ゴールはジンチェンコが強引にホワイトに繋ごうとしたところを奪われそうになるがホワイトがアバウトに前に放り込むとそれをジェズスが収めて前を向いて相手をはがし裏に走るマルティネッリへのパスを送るとそのマルティネッリのシュートのこぼれ球をウーデゴールが押し込んだ形となった。
2点目は左サイドの密集でボールを奪い返すと右サイドのホワイトに展開、ホワイトがスペースをキャリーして外のサカに預けるとその外をオーバーラップしてサカからのパスを引き出してマイナスの折り返し、ジェズスがそれを受けシュートに持ち込もうとしたところをウーデゴールがシュートで決めた。
流れからの側面もあるが、このシーンはこの試合でベースになっていた右は広いスペースを少ない人数で攻略する形でしっかりと得点につなげることができた。
3点目はセットプレーからの折り返しをサリバが見事なループ気味のシュートを決め、ジンチェンコは頭を抱えた。
1,3点目は個人のスーパープレーによるところが大きいが、試合を通してチームとしてちゃんと崩せていたからこそチャンスが生まれてたのだ。
おわりに
04/05シーズン以来の開幕3連勝だ。
相手がーという人もいるかもしれないが、開幕節のクリスタル・パレスは手ごわい相手でそれはその後の成績が証明している。
そして、2節3節はアーセナルのサッカーの精度を高めた末の快勝なので何も恥じることはない。
次節はレノが移籍したフラムとの対戦だ。
レノは3節ブレントフォード戦でフラムでの初スタメンを飾り、見事勝利を収めるが2失点を喫してしまった。
しかし、この2失点はレノにとっても不運でノーチャンスな失点だった。
1失点目はCKからドフリーでボレーを叩きこまれ2失点目は深くえぐった所からのマイナスの折り返しでレノが飛び出せないところにクロスを入れられてしまっており、チームとしてフラムは解決すべき問題が山積みのように感じた。
それではまた次回
エジルに見惚れてグーナーになった人。18/19シーズンから戦術ブログを開設してリーグ戦全試合のマッチレビューを投稿している戦術系グーナーです。