【マッチレビュー】アーセナル対マンチェスター・シティ<間違いなく師を超えた45分間>
アーセナル1-2マンチェスター・シティ
もくじ
試合のハイライト
両チームのスタメン
5-0で大勝したノリッジ戦からのスタメン変更は1人。
新型コロナ陽性でノリッジ戦を欠場した冨安の復帰が間に合ったことで万全のDFラインに。
一方、アルテタが2020年3月以来2度目の新型コロナ陽性のためベンチ入りできないことになった。
Mr.AirPodsことアシスタントコーチのスタイフェンベルフさんがタッチライン際で指示を出すことになる。
1-0で勝利した前節ブレントフォード戦から3人のスタメン変更。
また、復帰したウォーカーはベンチスタートとなっている。
交代枠を使い切らないのは、メンバーを変えない方が上手くいく上で、次の試合フルで休ませられるだけの層の厚さからくる自信なのだろうか。
アーセナルのハイプレスvsシティのビルドアップ
アーセナルは中盤3枚がシティの中盤3枚を数的同数で抑え、両WGがSBを見る格好になる。
シティのSBは左のアケは最終ラインに残るため、サカはアケを前に見る形になり、カンセロは1列上がり中に入ることも多かったため、マルティネッリはカンセロを横に見るか背中でコースを消す形で、中央のラカゼットやウーデゴールと連動したプレスをかけた。
ボールの奪い所は中央を数的同数で抑えてサイドに逃げさせたところをSBとWGのマッチアップに設定、両SB、特に冨安はここでしっかり仕事をしてくれた。
シティはスターリングが降りずに冨安をピン留めし、デブライネがサイドに流れることで起点になろうと動く。
アーセナルでサカがSBをピン留めしウーデゴールが起点になろうとする動きと同じだ。
また、エデルソンが積極的に最終ラインに加わり、中央で3対2の数的優位を構成、ウーデゴールが前に出ると、ロドリがポジションを取り直して最終ラインからのパスを引き出して中央から前進。
また、中盤の数的同数に対してジェズスの下りていく動きにはCBがついて行きにくく、縦パスを通されるシーンも散見された。
サイドの起点に対しては4バックが1つずつスライドしてマークを受け渡し、同サイド圧縮で閉じ込めることに成功、ここまで圧力をかければそう簡単にサイドチェンジはされない上に、冨安が1つ前で後ろからぶつかれるため、高い位置で奪え、近い距離にサカやトーマス、ウーデゴールもいるためショートカウンターにも移行しやすい。
アーセナルのビルドアップvsシティのハイプレス
アーセナルのビルドアップは一言で言ってしまえばシティに似ている。
2-3-2-3と3-2-5の可変、GK含めたビルドアップ、WGがピン留めして中盤の選手がサイドで起点になる形、共通点が多い。
そうなると、それに対応するプレスの形もある程度共通点を持ってくるものだ。
2トップがアンカーをケアしながら、中盤は相手の中盤を捕まえ、WGはSBを監視するプレスをシティは敷いてきた。
違う点があるとすればWGの収まりの良さだ。
この試合、とにかくラムズデールやホワイトからマルティネッリ、サカへのロングパスがつながりやすく、マルティネッリはパスの勢いをうまく活かしてスピードに乗ってカンセロに向かっていった。
サカはアケを背中で背負う形でボールを収め、トーマスや冨安へのレイオフやアケと入れ替わるような突破が際立った。
ラムズデールからサカへのパスは7本あり、この試合のアーセナルで最も通ったパスだ。
また、整った状況を崩すのがシティならば、アーセナルは相手が整わないところを突くのが上手かった。
ポゼッションで運んでからボールロスト後のカウンタープレスが光り、高い位置で奪ってのショートカウンターはシティの喉元にも牙を突き立て、その武器の有効性を証明した格好になった。
敵陣(上半分)でのリカバリーの数がアーセナルはシティと比較して圧倒的に多い。
トーマスやジャカと言ったフィルター役の選手だけでなく、サカとマルティネッリというWGのプレスバックが効いていたこともチームとしての戦術の浸透度合いの高さをうかがわせる。
先制ゴールはホワイトが奪ったところからジャカの縦パスをウーデゴールが落としてサイドに展開、ティアニーの内側への持ち運びからグラウンダーのクロスをサカがダイレクトで流し込んだゴール。
サカのシュートも難易度が高かったが、マルティネッリ、ウーデゴール、ラカゼットの貢献も見逃せない。
マルティネッリがティアニーの外で待機していたことでカンセロはティアニーにアタックできず、結果エリア手前までシティはズルズルと下がってしまった。
ウーデゴールが走り込んだことでシティの意識が集中し、サカへの反応が遅れたように見える。
ラカゼットが走り込んだことで手前のサカにスペースを提供した。
ハーフスペース対策
ハーフスペースのケアでは数的同数での対応が徹底された。
左からの崩しに対してニア側に流れがちなジェズスはガブリエウが監視、大外から仕掛けるマフレズに対してはティアニーが出て行って対応し、ハーフスペースに走り込むベルナルドにはジャカがマークについた。
カンセロにはマルティネッリがつき、ジャカが降りることで生まれるバイタルエリアのスペースにはウーデゴールやラカゼットが降りてくることでサイドチェンジや中央への戻しにも対応できる形だ。
わずかな綻び
直前のシーンで右サイドのケアにジャカが向かっていたことで、誰がハーフスペースを抑えるのかふわふわしたまま、カンセロから大外のマフレズにボールが渡るとすかさずハーフスペースにベルナルドが走り込み、パスを引き出した。
そこでジャカが慌ててケアに向かうが、前を向いて仕掛けるベルナルドのエリア内への侵入を許し、ダイブのような格好になった所をジャカがユニフォームをつかんだとVARで判断されPKになり、PKを決められた後の抗議でガブリエウもイエローカードを貰ってしまう。
同点に追いつかれた直後、マルティネッリのシュートが惜しくもポストに嫌われた後のゴールキック(アトウェルがどうこうはここでは言わない)。
降りてパスを引き出すジェズスに対して遅れてガブリエウがチャージに行き、反転したジェズスと衝突し、2枚目のイエローを貰ってしまった。
この試合のシティで狡猾だったと評価できるのはジェズスのこのプレーだ。
まず、前半から降りていくジェズスの対応に苦心していたところから、ついて行くことにしたと考えられるのがこのプレーだった。
直前のイエローで気が立っていたであろうガブリエウを冷静に見ていたのがジェズスで、あのプレーだった。
終わりに
主審に試合を壊され、同点かつ数的不利になった後も前からプレスに行く姿勢を崩さず、勝ち点3を狙っていたことはメンタリティの成長だろう。
ホームとアウェイの違いはあれど、少し前には先制した途端におびえて引きこもってしまっていたあの未熟なチームの姿は今では見る影もない。
シティの土俵で台頭異常に渡り合ったことと同じくらいこれは評価できることだ。
残念ながら、試合は後半ATにジョルj…ゲフンゲフン、アデバy…ゲフンゲフン、ロドリにこぼれ球を押し込まれて勝ち点を落としてしまった。
しかし、敗れはしたもののアーセナルの強さはちゃんと試合を見ていた人には世界中に知れ渡ったことだろう。
この試合でイエロー2枚貰ってしまったガブリエウだが、この後、カラバオ杯2試合とFA杯1試合を挟んでからプレミアリーグアイ22節にスパーズ戦、ノースロンドンダービーを迎えるため、ノースロンドンダービーへの出場は怪我さえなければ問題ない。
スパーズに負けるとしたら、シティ動揺にロングカウンター1本で沈むパターンだ。
正直、それ以外で負けるビジョンは見えない。
早めにリードしてから落ち着いてボールを回してスパーズを前に釣り出してから追加点を奪い完勝して悪い流れを断ち切るような勝利を見せて欲しい所だ。
エジルに見惚れてグーナーになった人。18/19シーズンから戦術ブログを開設してリーグ戦全試合のマッチレビューを投稿している戦術系グーナーです。