【マッチレビュー】ノッティンガム・フォレスト対アーセナル「1人のズレは11人のズレへと」
ノッティンガム・フォレスト1-0アーセナル
もくじ
試合のハイライト
両チームのスタメン
アーセナルはジャカ、バログンがコロナ陽性、スミスロウは鼠径部の痛み、冨安はふくらはぎの痛みでそれぞれベンチ外。
特に、スミスロウはアルテタがインタビューでプレータイムを制限せざるを得ないことを明言していたが、その理由がこの鼠径部の痛みだとしたら心配だ。
一方、カラバオ杯でトップチームデビューを飾り、ゴールも決めたパティーノが初スタメンを果たしている。
前進を助けられないポジショニング
選手はある程度ターンオーバーを行い、入れ替えてきましたが、やるサッカーの枠組みは一緒だったはず。
しかし、相手のブロックの外でしか回せない、中に縦パスが刺さらない、ゴールに迫れない、なぜか。
もちろん、連勝中みせていたような即時奪回の姿勢が感じられなかったこともあるが、ビルドアップ時の立ち位置から機能不全に陥っているように見えた。
トーマスとジャカが不在で代役に抜擢されたロコンガとパティーノのポジショニングには改善の余地が大いにあった。
セドリックにも言いたいことはあるが、中央からの前進のカギを握るのがダブルボランチのポジショニングだ。
上の図の白いエリアが本来ロコンガとパティーノが居て欲しいエリアでジャカとトーマスは普段からこのエリアでプレーできていた。
トーマスは相手のFWの横や斜め後ろに立ち、相手のプレスを越えられる位置でパスを受けようとする。
また、CBへのプレスから逃げ道となるパスコースを作る動き直しもするため、FWの前プレスを回避して中央からの前進において重要な役割を担うことができる。
一方、ロコンガはFWの視野の中、CBのすぐ近くまで下りてきてしまうことで、パスでFWのプレスを越えられない位置でボールを受けていたため、この日のアーセナルは相手の守備ブロックの外でのパス回しが目立っていた。
上の図の赤い位置でパスを受けると、そこからFWをドリブルでかわさないとラインを越えられないため、ショートカウンターを受けるリスクも高くなることや、パスでの前進を目指すと本来ライン間(DF-MF間)で受けたい選手がMF-FW間まで下りてきてパスを引き出すことになり、チーム全体が後ろ重心になりやすい。
逆に、中央から前進できた時はロコンガはFWの前には降りていない場面が多かった。
現状、これが偶発的にしか起きていないが、今後ロコンガがどこでパスを受ければいいのかを理解し、トーマスのようになれれば、レギュラー争いに加わることも夢ではないだろう。
パティーノも同様に相手のMFのラインよりも前に降りてきてしまうことで、CBのキャリーのスペースを潰してしまったり、パス1本で相手のプレスのラインを越えられる選択肢を手放してしまう場面が見受けられた。
また、パティーノの場合、高い位置に留まろうとする意識や動きも見られたが、その際に中央に寄りすぎてしまうことで左ハーフスペースががら空きになってしまう場面もあり、まだまだ改善の余地がありそうだ。
39分の左ハーフスペースに顔を出し、ホールディングからの縦パスを受けてシンプルにサイドにつないだシーンではいい位置で受けることができた。
今回はシンプルにつなぐだけだったが、この位置で受けてターンで前を向き違いを生み出す選手になれる素質があるので、パティーノのこれからには期待したい。
おわりに
試合は83分にロコンガのパスミスからのショートカウンターでイェーツのクロスに途中出場のぐら番が飛び込んでアウトサイドでゴールに流し込み、先制に成功し、これが決勝ゴールとなり、アーセナルは17/18シーズン以来となるFA杯3回戦敗退という結果になった。
ちなみに、前回FA杯3回戦敗退した時の相手もノッティンガム・フォレストだった。
この試合はここで触れたポジショニングのズレからビルドアップが上手くいかなくなったこともそうだが、何よりもチーム全体として、リーグ戦とはまるで別のチームに見えた。
即時奪回のプレスもちぐはぐでプレー全体がどこか気の抜けた印象だった。
僅か30分ほどで交代させられたタヴァレスもこの日は気の抜けたプレーに終始し、不用意なボールロストも目立ち、それがアルテタの怒りを買ったのではないだろうか。
エンケティアはゴールの嗅覚が売りの選手であの決定力ではいただけない。サカのクロスに飛び込んだシーンも位置取りは良かったがシュートが枠に行かないのであればそれまでだ。
この試合、負けるべくして負けた試合だったと言える。
しかし、この試合で無事にガブリエウの出場停止を消化できた。
カラバオ杯リヴァプール戦は1stレグが延期したことで今週に1stレグを行い、その後にリーグ戦はノースロンドン・ダービーを迎える。
リヴァプール戦で再び気合を入れ直し、ノースロンドン・ダービーではコンテ就任後無敗らしいスパーズの鼻っ柱をへし折り、CLに帰還するための重要な足掛かりとしたい。
スパスィーバ
エジルに見惚れてグーナーになった人。18/19シーズンから戦術ブログを開設してリーグ戦全試合のマッチレビューを投稿している戦術系グーナーです。