【マッチレビュー】アストン・ヴィラ対アーセナル~アルテタの成長と課題~
前節のウルブス戦は内容は良かったが悪夢のようなレッドカードに襲われて無念の敗戦。
そこから中2日で迎えるアストン・ヴィラ戦、Top4フィニッシュのためにも2連敗は避けたい1戦はヴィラパークに乗り込んでのランチタイムキックオフのアウェイゲームとなっています。
直近2連敗中とやや苦手な相手になりつつあるアストン・ヴィラを下して再び上昇気流に乗りたいところですね。
プレミアリーグ第23節アストン・ヴィラ対アーセナルのマッチレビューです。
アストン・ヴィラ1-0アーセナル
もくじ
両チームのスタメン
アストン・ヴィラは前節のウェストハム戦からは2人の変更をしてきました。
ドウグラス・ルイスとエルガジに代わり今節ではナカンバとベルトラン・トラオレがスタメン出場しています。
アーセナルも前節のウルブス戦からは2人の変更です。
前節1発退場のレノとダビド・ルイスに代わり今冬加入のライアンがデビュー、コロナ陽性以降8試合スタメンの座から遠ざかっていたマガリャンイスがスタメン復帰を果たしました。
我々と同じように朝4時に起きてアーセナルの試合を見ていたというライアンの活躍に注目です。
両チームの二次配置
アーセナルのボール保持時
アーセナルのビルドアップの軸はこの2点
・ライン間は2列目の3人とラカゼット、両SBが使う
今節で気になったのはスミスロウの立ち位置。
普段はスミスロウは中央の3レーンを主戦場にしていましたが、WGが内側に切り込むシーンが多かったためか大外までスミスロウが流れる時間が多かったです。
やはり、スミスロウの狭いスペースでのテクニックやアイディアは狭いスペースでラカゼットやサカと近い距離感の時の方が活きるので、最初からスミスロウが外に流れて受けるのではなく、スタートはWGが外で受けてスミスロウは中央で受けられるようにし、必要な時だけ外に流れる方が中央からの崩しが機能するでしょう。
ヴィラは守備時は4-4-2のブロックを築いて守るのがベースにありますが、両SHの役割に少し差がありました。
右SHのB.トラオレは2トップの横まで前プレスに出るシーンが多い一方、左SHのグリーリッシュは守備ブロックの一角として低い位置に留まっていました。
これはおそらく、2トップの脇を持ちあがって展開することを警戒し、数的同数に持ち込むことが狙いだったのでしょう。
B.トラオレが前に出るとその背後にスペースが生まれますが、そこは運動量豊富なボランチのマッギンが即座にカバーすることで、ここを起点にされることも防いでいました。
また、2トップはトーマスの両脇をがっちり固めており、全体的に前節のウルブス以上にアーセナルのビルドアップの狙いを潰して対策してきたのが特徴的です。
アストン・ヴィラのボール保持時
アストン・ヴィラのボール保持時の型はボールサイドのSBが低い位置でビルドアップに関与、逆サイドのSBは高い位置に行くような感じでした。
また、前線ではワトキンスが中央でもサイドに流れても起点になれていて、裏を狙う動きもDFを背負うプレーもこなしていました。
アーセナルの守備は2CBにはラカゼットとスミスロウがそれぞれ中盤へのコースを抑えながら出ていき、CBからSBにパスが入る時はWGがそのまま抑えに行く形でプレスをかけていて、これは機能していました。
ただ、ヴィラのビルドアップのキーマンはGKのエミ・マルティネスでした。
グーナーの皆さんならご存じの通り相手にエリア内で詰められても冷静にショートパスをつなぐ強心臓とずば抜けた精度のミドルパスを持っています。
特にこの試合で光っていたのは後者です。
・ピンポイントで足元や胸トラップに合わせられるキック精度
この2つがマルティネスのミドルパスのストロングポイントです。
先制点の直接的な要因はセドリックとマガリャンイスの連係ミスですが、起点になったのはマルティネスのフィードでしたし、その後もサイドで浮いたSBやWGへのフィードはヴィラもビルドアップが詰まった時の選択肢の1つとして機能していました。
後半の交代策の狙い
65’ウーデゴールinセドリックout
74’ウィリアンinトーマスout(負傷交代)
ラカゼットを下げてオーバメヤン、セドリックを下げてウーデゴール投入という選択肢を取ったアルテタ。
スミスロウとウーデゴールの狭いスペースでの共演、サカとペペによる立て続けの左サイドの突破と魅力的な崩しはありましたが、押し込んだことで裏のスペースは減り、オーバメヤンが活きにくい展開になっていました。
やはり、押し込んだ展開ならCFは相手DFを背負って楔を受けられる選手を置いた方が機能するように思えます。
個人的にはぺぺとオーバメヤンの位置を入れ替えても面白かったかもしれません。
さらに、74分にはトーマスが負傷交代し、代わりにウィリアンがピッチに入り、図のような配置になりました。
おそらく、この配置はアルテタがやりたい4-1-2-3に近いのでしょう。
オーバメヤンが裏への駆け引きをしてラインを押し下げ、楔を受けるのはスミスロウやウーデゴールの仕事で幅を取るのはWGの仕事でした。
83分の決定機では大外でウィリアンが受け、戻しをサカが受けます。
そこからサカ→スミスロウ→サカの連携でサイドを深くえぐってからのマイナスの折り返しをウーデゴールのフィニッシュで終わったシーンでした。
そして、サカの突破と同時にオーバメヤンの動き出しでヴィラのDF陣の意識が完全にタッチライン際の方に向き、その手前にスペースが生まれてそこにウーデゴールが入り、シュートを打てたというのが大きかったです。
さながら、シティのニアゾーンランからのマイナスの折り返しをワンタッチで決めるゴールのようでした。
アクシデントがある中での交代策として、以前の試合よりは良い修正でしたが、人選で少し迷走したようにも感じます。
誰のことかと聞かれればまぁ、皆さんの予想通りウィリアンです…
・プレー全体の単調さ
ウィリアンの問題点は具体的にこの2つで、少し攻撃を停滞させていた印象です。
1つ目に関しては、相対的な評価にはなりますがサカやスミスロウと比較してボールを引き出すための動き出しの回数がかなり少ないため、相手も対応しやすく、ボールを受けられるのがブロックの外や低い位置に限定されていました。
そこから2つ目の「プレー全体の単調さ」につながっていました。
ブロックの外から仕掛ける時にサカやスミスロウが近くにいるのに自分で仕掛けて倒れてファールももらえずにラインを割るシーンがありました。
また、オフザボールの面でも、一気に攻撃を加速させたい時でも一定のペースで走っていて足元で受けるため攻撃の流れがストップしていました。
同じ右利きで左の幅を取らせるなら動き出しをどん欲にできて必要な時は全力でスプリントをかけられるマルティネッリの方が途中出場で起爆剤になれる選手だと思います。
スパシーバ、ここまで読んでいただきありがとうございました。
エジルに見惚れてグーナーになった人。18/19シーズンから戦術ブログを開設してリーグ戦全試合のマッチレビューを投稿している戦術系グーナーです。