【マッチレビュー】アーセナル対アストン・ヴィラ~アルテタにとってここが正念場~
みなさんこんにちは。
今節はアストン・ヴィラをホームに迎えての1戦です。
アーセナルで昨シーズンFA杯優勝に貢献し、今シーズンの頭にはコミュニティシールド獲得にも貢献、この2つのトロフィと2000万ポンドの移籍金を置き土産にアストン・ヴィラに旅立ったエミ・マルティネスにとってはエミレーツスタジアムへの凱旋になります。
それも今季のヴィラの快進撃を最後尾から支える活躍を見せての凱旋です。
アーセナル0-3アストン・ヴィラ
もくじ
スタメン
アーセナルは前節のユナイテッド戦からの入れ替えはなしで今節に挑みます。
ミッドウィークのELモルデFK戦では大胆なターンオーバーを行い、この3試合続けてスターティングメンバーに名を連ねたのはレノとウィリアンだけになっています。
対するヴィラは前節セインツ戦からは1人の入れ替えで、2G1Aの大車輪の活躍をウォード=プラウズに披露されたこともあり3-4で敗れたセインツ戦で負傷交代したベルトラント・トラオレに代わり、7月のアーセナル戦で残留を大きく手繰り寄せる決勝ゴールをボレーで決めたトレゼゲがスタメン出場です。
両チームの二次配置
ヴィラのボール保持時はダブルボランチのどちらかが最終ライン手前まで下りてボールを引き出して前線に展開したり、CBが直接前線までパスを出す形が多く、パスの出し先はワトキンスやグリーリッシュでした。
それに対するアーセナルは両WGがCB-SBの中間ポジションでCBを見張り、プレスに行く時はGKまで行くシーンも多かったです。
ダブルボランチに対してはラカゼットとトーマスがマンマーク気味についていました。
以前は低い位置の選手にラカゼットで後から降りていく選手にボランチがついていくような形でしたが、この試合ではルイスにはラカゼット、マッギンにはトーマスがついていく形で固定でした。
実際、9分のシーンではトーマスが降りていくマッギンについていき、マッギンからエミ・マルティネスへのバックパスもそのまま追いかけてあわやゴールのところまで行きました。
アーセナルは攻撃時はティアニーがSBの位置にスライドするいつもの形で、この日はエルネニーがCB間やCB脇に状況に応じておりていき3バック化してその手前にトーマスがいる3+1がビルドアップのスタートの基本形でした。
対するヴィラの守備は4-4-2でセットした守備から、前に圧力をかけるときはボールサイドのSHが1列前に出て、サイドへのパスコースを抑えるようなコースカットプレスをし、2トップはボランチへのコースを抑える立ち位置でアーセナルの全身を阻みました。
ここで光ったのは最終ラインに降りてきてボールを引き出しトーマスにつなぐエルネニーでした。
トーマスの前半のパフォーマンスは圧巻でしたが、それを支える副官の存在も忘れてはいけません。
前半-1 トーマスの傑出したパフォーマンス
エルネニーもボールを引き出すときに角度をつけて降りていくなど、良いところはありましたが、そのエルネニーと比較して尚、別格の存在感を誇っていたのはトーマスでした。
カウンターでは中盤で相手の攻撃の芽を摘むとそのまま持ち上がってファイナルサードへのパスも出せていましたし、遅攻でも1人で相手のプレスをはがし、サイドへの大きな展開で局面を変えるパスも出せていました。
前半のみの出場でしたが、ドリブル成功2回、ロングパス5本(4本成功)、1対1地上戦勝者5(4)、タックルとインターセプトそれぞれ1回を記録するなどスタッツでも格の違いを見せていました。
HTの交代の理由は左太腿の負傷が原因のようだ
前半-2 いるべきところに人がいないアーセナル
開始45秒でのヴィラの幻の先制の場面、アーセナルはエリア内に人数は揃えていますが、肝心なところに人がいませんでした。
グリーリッシュに対してホールディングが1対1を強いられていますが、ベジェリンがサポートに行って2対1で対応するべき場面です。
そうすればあんな簡単にマイナスに通されることもなかったはずです。
次は24分のヴィラの先制シーン。
こちらも見ての通り、エリア内にアーセナルの選手が戻ってきてスペースを埋めてるように見えます。
ですが、こちらもボール近辺は3対3の数的同数で最後はグリーリッシュ→バークリー→ターゲットの連携で抜け出されて折り返しがサカのオウンゴールにつながりました。
(トレゼゲが走り込んだからこそ生まれたものではあるが…)
しかもこのシーン、中に入れさせないような守備で時間をかけさせていたにもかかわらず3対3のまま守り続けてしまっていました。
そもそも5バックにしているのは後ろの人数を担保するためのはずなのに、必要なところにしっかり人数を割けてないのはいかがなものかと…
後半-1 得意な形で相手の弱点を突く
前半からヴィラの攻撃は左寄りでしたが、後半はさらに顕著になった上に狙いが明確でした。
その狙いは右WBのベジェリンの背後です。
左WGのグリーリッシュに加えてCFのワトキンスもサイドに流れて起点を作るようになりました。
このエリアを使われるとホールディングがサイドに出ていかざるを得なくなり、マガリャンイスとの距離が開いてしまいます。
そこにバークリーやマッギンが走りこむことでチャンスを作っていました。
カウンターからの3点目もエミ・マルティネスのクロス処理からの好判断でカウンターになりましたが、起点になったのもベジェリンの背中側にいたグリーリッシュでした。
(寄せられても動じないどころかベジェリンが競り負けてたし)
後半-2 この試合唯一の光明
さて、このネガティブな要素だらけの試合でも今後に向けてポジれる要素があります。
それは65分のペペ、エンケティア同時投入です。
これまでのアルテタは追いかける展開の交代策に関して少し課題がありましたが、この試合ではこの投入で一時的にですがアーセナルの攻撃陣は間違いなく息を吹き返しました。
前半のアーセナルの前線に欠けていた流動性をエンケティアとペペはもたらしてくれたように感じましたし、そこからのチャンスも作れていました。
結果としてそのあと2失点を喫したわけですが、惜しいシーンが作れていたのも事実です。
また、2人の交代に加え、後半は攻撃時4-4-2でオーバメヤンが2トップの一角として前半よりも中央にと留まっていた印象です。
そのおかげで、オーバメヤンがゴールに近い位置でプレーできることに加えてサカのプレーエリアにも影響を及ぼします。
前半は、サカの前にオーバメヤンがいたためどこか窮屈で、プレーの選択肢も限られていましたが、後半はより、ドリブルで仕掛けたりするシーンが目立ちました。
今回のような追いかけるための修正ができたことは多かれ少なかれ今後に向けてプラスになったと思います。
スパシーバ
エジルに見惚れてグーナーになった人。18/19シーズンから戦術ブログを開設してリーグ戦全試合のマッチレビューを投稿している戦術系グーナーです。