【考察】エミール・スミス=ロウの凄さを徹底解説
年末のチェルシー戦で今季プレミア初スタメンに抜擢されるとそこから9試合連続スタメン出場を果たし、その間チームは5勝2分2敗で勝ち点17を稼いでいます。
これはスミスロウが出場していなかった14試合4勝2分8敗で稼いだ勝ち点14を上回る数字です。
さて、この成績を見てスミスロウのことを「彗星のごとく現れた救世主」と考える人はきっといるでしょう。
ですが、それは適切な言い回しではないと思います。
「眠れる獅子が目を覚ました」、「主役は遅れてやってくる」こういった表現の方がスミスロウを表しているのではないかと私は思います。
もくじ
スミス=ロウのプロフィールと略歴
ポジション:OH(トップ下)
身長:182cm
利き足:右
背番号:32
2010年にアーセナルのアカデミーに加入し、2016/17シーズンには16歳でU-23チームに出場、その後2018年にはインターナショナル・チャンピオンズ・カップ(通称ICC)のアトレティコ戦で引き分けに持ち込むゴールを奪いました。
このアトレティコの背番号5はトーマスですね(笑)
このゴールも素晴らしかったですが、その後のICCのPSG戦でもアシストを記録し勝利に貢献。
そして、18/19シーズンELGSのFCヴォルスクラ・ポルタヴァ戦で途中出場でデビューし、2000年以降生まれの選手としてはアーセナルでの最初のデビューでした。
そう、デビューはサカよりも先なんです。
さらに、カラバフFK戦でゴールを記録し、2011年にチェンバレンが記録したクラブ最年少ゴール記録も塗り替えることに成功。
その後、18/19シーズンの後半はRBライプツィヒへレンタルされるが、負傷の影響で3試合の出場にとどまるも買い取りの話があるなど間違いなく評価はされていました。
19/20シーズンは前半戦はアーセナルで過ごし後半戦はチャンピオンシップ(英2部)のハダースフィールドへレンタル移籍、ハダースフィールドで19試合出場2ゴール2アシストを記録し、アーセナルへ帰還。
20/21シーズンはELでは3試合1ゴール2アシスト、リーグ戦では9試合3アシストを記録しています。
長所
足元のスキルやパスセンスの高さをはじめ様々な非凡な才能を持っているスミスロウの長所をいくつか紹介しましょう。
ポジショニング
スミスロウはライン間で常に足を止めることなくどん欲にポジションを取り直します。
仮に、立ち位置が良くても棒立ちでパスを要求していたら守備側も対応しやすいですが、スミスロウはライン間で足を止めずに動き回り、パスが入る瞬間にパスを受けられる位置に入ってくるため、守備側の対応を一気に困難にさせることができますね。
必要な立ち位置にいるのではなく現れることこそがポジショニングにおいて大事だと言えるでしょう。
スミスロウのこの能力のおかげで、それまで前線のボールを引き出す動きが乏しく、相手の守備ブロックの外を回すだけの状況から、守備ブロックの中にもパスコースが作れるようになりアタッキングサードへの侵入手段が増加し小気味のいいアーセナルらしい崩しが帰ってきたと言えます。
共有力の高さ
アカデミーからの長い付き合いになるスミスロウとサカ。
この2人の阿吽の呼吸の連携はお互い目を瞑ってもどこにいるか把握してそうなレベルの連携には目を見張るものがあります。
しかし、好連携を築けている相手がサカだけではないのがスミスロウの凄いところ。
ともにプレーした期間が短いペペとも好連携を披露しています。
共有力が高い選手は視野が広いだけではなく、他の選手と同じビジョンを共有してプレーできるため、連携の中での崩しでも特に、1タッチ2タッチでの連携を正確にこなすことができ、それは狭いスペースの攻略の有効打になる能力です。
そして、共有力の高い選手は他の選手のパフォーマンスも引き上げることができるため、チーム全体をおしあげることもできます。
サカとラカゼットは元からスーパーな選手ですが、スミスロウと一緒にプレーする時はさらに一段階上の選手になっているように思えます。
(他に共有力の高い選手の例としてはメッシやエジルは該当するでしょう。)
短所
スぺ体質
RBライプツィヒへのレンタルの際もケガで大半を棒に振り、今シーズンも開幕直前の肩の負傷で出遅れたりと負傷がちなのが数少ない短所でしょう。
特に、今のアーセナルでスミスロウは替えが利かない存在として、ほぼ毎試合スタメンの状態で疲労もたまっているため、負傷には気を付けてほしいですね。
まとめ
「スミスロウはエジルの後継者か?」と聞かれたら私は即座に「はい」と答えるでしょう。
ですが、今のスミスロウの姿は「アーセナル時代のエジル」よりも「マドリー時代のエジル」と被るところが多いと思います。
そして、エジルは年齢によるアジリティの衰えからは逃げられませんでした。
スミスロウもいつか同じ課題に直面するのではないかと思っています。
アタッカーだった選手が晩年ポジションを下げたり、スピードではなくサッカーIQで勝負する選手になったりする例はいくつかありますが、スミスロウも晩年はプレースタイルやポジションを変化させて長いキャリアを、そして願わくばアーセナルのワンクラブマンとして惜しまれながら最後は引退してほしいです。
スパスィーバ、ここまで読んでいただきありがとうございました。
エジルに見惚れてグーナーになった人。18/19シーズンから戦術ブログを開設してリーグ戦全試合のマッチレビューを投稿している戦術系グーナーです。