【マッチレビュー】チェルシー対アーセナル「狙いの明確さが生んだ差」
チェルシー0-1アーセナル
もくじ
両チームのスタメン
チェルシーはポッターの古巣ブライトンに4-1と大敗を喫した前節からスタメンを4人変更してきた。
リース・ジェームス、フォファナ、カンテ、チルウェルに続きケパが負傷離脱という苦しい台所事情だ。
アーセナルはノッティンガム・フォレストに5-0と大勝を収めた前節からのスタメン変更は1人。
ミッドウィークのELチューリッヒ戦に途中出場した冨安が負傷交代、この試合の左SBには入れ替わるように復帰したジンチェンコが抜擢された。
両チームの分岐点
アルテタアーセナル、ポッターチェルシーどちらも守備では前から相手のビルドアップの形に合わせた守備の形を用意し高い位置でのボール奪取を目指し攻撃では後ろから丁寧なビルドアップと配置によって選択肢を増やすことでチャンスを増やすことのできるサッカーを目指しているがこの試合の2チームでは明確な差が存在した。
上の図は両チームのタックル数とその位置を示した図で左がチェルシー自陣、右がアーセナル自陣ということでチェルシーは自陣でのタックル数が、アーセナルは敵陣でのタックル数が多かったことが分かる。
チェルシーは自陣でボールを回収した時にボールホルダーは受け手を探すのに手間取り、その間にアーセナルの前線の選手がプレスバックをしてボール奪取をするパターンとチェルシーのビルドアップに対してアーセナルが前からのプレスをハメていきハーフウェイライン付近の位置で奪いきるパターンの2つに分類できる印象だ。
そして、インターセプトでも同じ現象が起きている。
特に、ホワイト、ガブリエウ、ジンチェンコ、トーマスが敵陣でインターセプトを記録していることからこの傾向は明らかだ。
また、タックル、インターセプトともに敵陣のサイド、ハーフウェイライン手前に多く集中していることが今のアーセナルの守備の狙いの明確さを示している。
アーセナルの前線からの守備はまず中央のコースを塞ぎながらプレスをかけて外に追い出すこと、そして袋小路のサイドでWGとSBのデュエルで勝利して奪うかアバウトに蹴らせたボールをジャカ、トーマスや2CBで回収してボール保持につなげる形をベースにしている。
昨シーズントーマスと両SBのティアニーと冨安が離脱してから成績が落ち込んだのはビルドアップの安定に加えてボールの回収役が不在になったという影響も大きかった。
そして、今シーズンホワイトが右SB、冨安が左SBで重宝されていたのもボール保持時のポジショニングと同じくらいこの位置でのデュエルで強さを見せられるからだ。
ホワイトはこの試合タックル1回インターセプト1回に加えてデュエル7回中5回勝利という安定したパフォーマンスを披露、そしてジンチェンコもこの試合ではタックル4回インターセプト1回、デュエル6回中5回勝利という見事なパフォーマンスを披露している。
チェルシー側からすると大外のスターリングが起点として機能しなかったことは大きな誤算だっただろう。
チェルシーの前からの守備はオーバメヤンがCB間を切り、スターリングは内に絞るジンチェンコを抑えるように内による立ち位置、中央はマンマーク色の強い守備を敷いてきた。
前からの守備はある程度機能していたと言えるが、アーセナルの守備と比較して奪い所の設定がはっきりしなかったことでレイオフでマークに付かれながらも縦パスを付けられドリブルで押し下げられじわりじわりとアーセナルペースで試合が進んだ印象がある。
おわりに
スコア以上の完勝と言っていい内容だろう。
先制後もチャンスを作り終始主導権を握り続け試合終盤にはエルネニーとホールディングを投入して逃げ切りに成功するお家芸も披露した。
W杯の中断まであと2試合、カラバオ杯ブライトン戦とウルヴスとのリーグ戦のみだ。
そして、W杯明けのリーグ戦再開は12月27日になるのでウルヴス戦を勝利したら晴れて首位でクリスマスを迎えることができる。
ということで、来週も楽しみにしましょう。
エジルに見惚れてグーナーになった人。18/19シーズンから戦術ブログを開設してリーグ戦全試合のマッチレビューを投稿している戦術系グーナーです。