【マッチレビュー】アトレティコ・マドリード対RBライプツィヒ~象徴か新進気鋭か~
CLですよ!CL!
というわけで、CLのマッチレビューやっていきましょう。扱うのはアトレティコ戦です。天敵CR7が敗退してCL制覇の千載一遇のチャンスとなったアトレティコ、対するは新進気鋭の若き名将ナーゲルスマン率いるライプツィヒです。さあ、どうなるのでしょうか・・・
アトレティコ・マドリード1-2RBライプツィヒ
【アトレティコ】71’フェリックス(P)
【ライプツィヒ】50’ダニ・オルモ、88’アダムス
・スタメン
・前半-1ライプツィヒボール保持時
ライプツィヒの攻め方の基本は最終ラインからWBに展開してそこからライン間にパスを入れて崩しを試みるというのが概要で幅を取る、釣りだす、中を崩すというお手本のような幅を取ってからの狙いが見えます。3-3-3-1からボール保持時はWBが高い位置を取り3-1-5-1のような形になります。
さて、対するアトレティコは代名詞ともいえる4-4-2のブロックを固めて迎え撃ちます。かなり中央を封鎖しますがサイドへのケアも欠かしません。WBへのパスが入るとSBが中央へのコースを警戒しながら、ここにプレスをかけていきます。そして、この時空いてくるハーフスペースにはCHかSHが下りてきて封鎖します。基本的にはライプツィヒの2列目の選手もここを狙うため、それについて行く形でCHがマンマーク気味に生きそのまま封鎖する形が多かったです。
この形で守られるとライプツィヒはボールは持てますが相手にとって脅威になるエリアになかなか侵入できません。結果、前半のボールポゼッションは62%のライプツィヒでしたがシュート数4本の枠内シュート1本にとどまりました。
アトレティコは基本的に後方のブロック守備を敷いてきましたが全く前から来ないというわけではありませんでした。前からプレスに行く際はCFが同サイドに圧縮するようなプレスをかけていくところから始まります。SHがWBへのコースを抑え、2トップで3バックの中央とサイドの2人に圧力をかけます。ここで中盤から降りてきてパスを引き出そうとする選手にはCHのどちらかが出ていく形で対応していました。
アトレティコに加入する選手だとアタッカーが守備強度などで適応に苦しんだりします(レマルやフェリックス)が、引いて守る際はハーフスペースを埋め、前から行くときは前プレスにも参戦するCHも並の運動量じゃ務まりませんね。
・前半-2 アトレティコのボール保持時
そもそも3-3-3-1ってリアルでは初めて見ました(笑)
さて、プレスのかけ方は1トップのポウルセンがCB間のコースを切るように寄せていくのがトリガーで、その後ろは2列目の3人が中央へのコースを封鎖する感じで中盤の前に壁を作ります。前線もきっちりマークがついてるのでSBしか出しどころがなくなりますが、SBに出してもそこから出しどころがなくなって、所謂詰みでした。この前プレスに苦しめられ手アトレティコは前半はなかなかボールを前に進められませんでした。結果、ボールポゼッションは38%にとどまっていました。
とはいえ、前半がライプツィヒ一辺倒だったかと言われるとそうでもありません。
サウールからカラスコにパスが入りカラスコが少し貯めてロディにスイッチ、ロディがサイドを駆け上がりマイナス気味の折り返しにカラスコが合わせたシーンです。今日も今日とてロディは高い位置でのクオリティを発揮し、気づけばこの試合5本のキーパスを記録していましたし、チームも前半はライプツィヒを上回る5本のシュートを記録しました。
・後半-1 左ハーフスペース
さて、後半に入ってまず目についたのはライプツィヒの守備時のシステム変更でした。前半途中から少し見受けられましたが後半から本格的に変更してきました。ボール保持時は変わらず3-1-5-1でしたが、守備時はダニ・オルモが1列上がり2トップになり、後ろは4-4のブロックを作るようになりました。アダムス投入前はザービッツアーがSH、投入後はCHの位置に入っていました。
前半ライプツィヒにとって最も脅威だったのはカラスコ、ロディのサイドアタックだったと思います。3バックだとWBが1対2の構図を作り出されやすいですし、そこからストッパーを釣り出されると危険な状態になると判断しての守備時4バックだと思います。ですが、これは功を奏したとは言いにくかったですね。
特に、ジョアン・フェリックス投入後はそれが顕著になりました。
フェリックスがライン間のハーフスペースに降りてきてパスを引き出して前を向くシーンが多かったです。図は65分のヒメネスがオルモのプレスを交わして縦パスを入れたシーンです。67分にはハーフスペースから左の大外に流れてカラスコからのパスを受けて股抜きでかわしてエリア内にパスを入れたシーンも惜しかったです。投入直後の61分にはこれまたライン間パスを引き出して前を向いてドリブルを開始、並走するロディにパスを送ったシーンは最終的にロディはシュミレーションでイエローを取られましたが惜しいシーンでした。どのシーンもライン間でプレッシャーの低い状態で受けて前を向いて攻撃を加速させていました。PK獲得シーンもうまく入れ替わり、ドリブルで持ち上がり、コスタとのワンツーでエリア内に侵入しました。
主戦場はライン間左のハーフスペースでしたがフリーマン的な感じで大外や低い位置にも顔を出し、効果的なプレーをしてライプツィヒがかみ合わせを重視して配置を変えてきたところに見事にかみ合わせを崩したという感じでした。
ちなみにこの試合、フェリックスはドリブル数3回を記録し、これはカラスコの4回に次ぐもので、あとはパス数13(100%)でロングパス2本(成功2本)、1対1地上戦6回(勝利5回)のスタッツも記録しています。
今日のフェリックスは次代の王様と表現したくなるようなプレーぶりでした。(ちなみにこういう感じのライン間で受けて前を向いて攻撃を加速させる選手が好きな私でした)
・後半-2 幅と深さの大切さ
ライプツィヒの先制点を見ていきましょう。押し込んだところから一度仕切り直しのような形でカンプル、ライマーを経由した後、幅を取っていたザービッツアーへのパスが通ります。ロディが対応に行きますがワンタッチでクロスを上げられてしまい、それをオルモに押し込まれてしまいました。このシーン、幅を取っていたザービッツアーのクロスもですが、ポウルセンの動きも見逃せません。ポウルセンがニアに走りこんだことでサビッチもこれについて行きます。そうしたことでその背後にわずかながら空白のスペースが生まれます。そこに走りこんだオルモがヘッドで押し込んだわけです。
続いて、88’のライプツィヒの勝ち越しゴール。ハルステンベルグからカンプルへのパスはズレてしまいアトレティコにわたるかと思いきやザービッツアーが走りこんでワンタッチでの超絶技巧なパスを出すとアンへリーニョが抜け出して、エリア内に走りこむ2トップではなくその背後のスペースに折り返しを入れるとそこにアダムスが走りこんでミドルシュート、ヒメネス、サビッチが体を投げ出しますが、体にあたりコースが変わってゴールに吸い込まれてしまいました。さしものオブラクでもこれはノーチャンスか…
まず、ザービッツアーのパスがすごすぎたのは置いておきましょう。ベストパスオブザイヤーに選びたいパスでした(そんな賞はないw)。
アンへリーニョが大外を駆け上がり、中にクロスを入れるわけですけど、この時即座に走りこんだ2トップの貢献も忘れてはいけません。チーム全体のこのポジティブトランディションの速さもこのチームの強みでしょう。2トップが走りこむことによって深みを作ります。その背後にできたスペースにアダムスが走りこんでのミドルシュート。今回も幅を取ったアンへリーニョ、深みを作った2トップの存在がかなり大きかったです(もちろん、あの状況デアのミドルを決めたアダムスも手放しに賞賛しますが)。やはり幅と深さの大切さがわかるゴールでした。
・あとがき
その後、最後の最後まで攻めるもアトレティコは1歩及ばずベスト8で敗退…CR7のいない今回は千載一遇のチャンスでしたが残念です。
さて、やはり、CLベスト8ともなればどの試合も魅力の塊みたいナ試合ばかりですね。普段のホーム&アウェイの2試合あるからこその戦略や大胆さ、2ndレグの大逆転も魅力ですが、567の影響で変則的な日程になり、1発勝負になった今シーズン。こちらも1発勝負ならではのひりつく感覚もいいものですね。
今回はなかなか内容の詰まったものになったと思うので、良ければ拡散してくれたり感想をいただけると嬉しいです。
準決勝は大学の課題の進み具合次第では書けなくなるかもしれませんができれば1試合は書きたいなと思っております。
スパスィーバ!
エジルに見惚れてグーナーになった人。18/19シーズンから戦術ブログを開設してリーグ戦全試合のマッチレビューを投稿している戦術系グーナーです。
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