【マッチレビュー】リーズ・ユナイテッド対アーセナル~主役はGK?~
みなさんこんにちは、長い代表ウィークが明け、多数の負傷者やコロナ陽性者が出たりと代表って今やる意味ある?とか思いながらも久しぶりのリーグ戦です。
相手は奇人ビエルサが率い、17年ぶりにプレミアへと帰還を果たし、リヴァプール、シティを追い詰めたリーズです。
リーズ・ユナイテッド0-0アーセナル
もくじ
スタメン
リーズは、前節のクリスタル・パレス戦からは1人の入れ替えで、ストライクに代わりカルヴィン・フィリップスが復帰。
対するアーセナルは、前節アストン・ヴィラ戦からは4人の変更です。
それぞれコロナ陽性と負傷で欠場するエルネニーとトーマスに代わってジャカとセバージョスがダブルボランチを務め、ラカゼットがベンチスタートになりペペがシティ戦以来のスタメンでの出場です。
それから、代表戦での疲労も考慮してサカがベンチスタートでした。
代わりにスタメン出場したのはプレミアリーグ今季初先発のウィロックでした。
これはこの試合におけるサプライズでした。
もう1つのサプライズはラカゼットがベンチスタートになったことで3トップは左からウィリアン、オーバメヤン、ペペの並びになったことです。
両チームの二次配置
リーズのボール保持時
リーズのボール保持時は基本的に4-3-3のビルドアップで、それに対して、アーセナルは1トップのオーバメヤンがCB間を切るような動きをして簡単に逆サイドに振らせないようにし、トップ下で先発のウィロックがフィリップスにマンマークにつくことでアンカーを経由するビルドアップも阻害、この2人がリーズのビルドアップを妨げるうえで重要な役割を担っていました。
また、リーズのSBのアップダウンにはWGがマンマーク気味についていってましたし、アンカーが抑えられたためビルドアップ時にリーズはIHが下りていくシーンもありましたが、そこはボランチから出ていく形でジャカ、セバージョスが対応しており、全体として人にフォーカスした守備でした。
アーセナルのボール保持時
次にアーセナルのボール保持時です。
アーセナルの攻撃の組み立ては2CBと2ボランチがスタート地点になっていて、特にボールの前進に重要だったのはマガリャンイスとセバージョスでした。
マガリャンイスはCBの位置で受けて斜めにドリブルで運びながら楔のパスを狙いセバージョスはボールサイドに寄ってパスを引き出してドリブルでの前進でピッチの幅広いところでのボールの前進に貢献していました。
前線では左WGに入ったウィリアンが左のハーフレーンに侵入して周りと連携しながらドリブル突破など、開幕戦のフラム戦に次ぐくらいの存在感を発揮していました。
それだけにHTでの負傷交代は残念でした。
右はペペが大外に張ったところから横にドリブルで切り込んでいく役割で、右のハーフスペースにウィロックが構えていました。
ペペの1人で2人を相手取ることができるドリブルは可能性を感じさせるものがありました。
一方、ペペをサポートする動きを周りの選手が少ないため、1人で仕掛けるか後ろに戻すかの2択しかなかったのがチームとしての課題です。
下がりすぎるボランチ
守備時のポジションで一つ気になったのはボランチの立ち位置です。
自陣で守備をする際にボランチの2人がほとんど最終ラインに吸収されているようなポジションだったのでバイタルエリアががら空きになってしまい、そこを使ってサイドへの展開やミドルシュートで何度も危険なシーンがありました。
マンマーク気味に守ることで前に出たりサイドに引っ張られたりするシーンもありましたが、マークについてる状況なのでマークをはがされなければ問題ないのです。
ですが、マークについているわけではない状態でバイタルエリアをがら空きにしてしまえばそのスペースを使われてしまうのは必然です。
前からのプレスの時はフィリップスをマークしていたウィロックも撤退守備では後方のブロックに加わるのですが、ウィロックも下がりすぎるため、リーズはバイタルエリアで受ける選手がある程度の余裕をもってボールを受けられた
おそらくそれもリーズが主導権を握れた要因の1つでしょう。
4-2-3-1のプレスの問題点と修正策
この4-2-3-1のプレスに対して、リーズは前半30分あたりからCBがドリブルで持ち上がってから展開するようになった印象です。
このプレスではCFのオーバメヤンはCB間を切りながらプレッシャーをかけることになるので、後追いになる上に消耗も激しくなってしまいます。
それから、奪いどころも普段やっているプレス程明確でないという問題点もあります。
その弱点を突かれて前半30分当たりからはより一層アーセナルはボールを持てなくなりました。
そこから後半に入ると修正策を見せてきたアルテタ。
前半はオーバメヤンが両CBどちらもケアしていましたが、後半頭から見せてきたプレスはより前がかりなプレスを見せてきました。
前半の4-2-3-1の前プレスとは変わりオーバメヤンがコッホを監視し、ペペがクーパーからアリオスキへのコースを抑えるコースカットプレスをしてくる左右非対称の4-3-1-2の前プレスに変えてきました。
これにより、チーム全体が受け身になっていた前半のプレスから、自分たちから攻勢に出るプレスになりました。
そして、これリーズが左サイドでボールを持った時はネルソンとペペの役割が入れ替わるのかなと思ってましたが…
ペペがすべてを台無しにしました…
ペペの退場によりアーセナルはここから4-4-1で引いて守るしか術がなくなりました。
修正が機能し始めるかなってところでのあれは受け入れがたいものだろう。
ポジション変更の結果
ウィリアン
ポジションの変更は功を奏したと言って差し支えないでしょう。
右ではコンビネーションの相手が基本的にベジェリンのみなこともあって存在感が発揮できずに中途半端な位置でのロストばかりが目立っていましたが、この試合では左のハーフスペースを主戦場に、ティアニーやオーバメヤンを中心に周りへのパスの供給役として、そして時折見せるドリブル突破でも違いを生み出していました。
オーバメヤン
こちらはかなり評価が割れているようですが、個人的には改善点はありますが一定の効果は示したと言えるでしょう。
ラカゼットの相手を背負ってのポストプレーやキープ力は特筆すべきものです。
しかし、ラカゼットは身長があるわけではないので、空中戦になると身長のある相手DFとの競り合いでつぶされてしまう印象がありますし、実際、今シーズンのプレミアリーグでの空中戦に勝利1.0回(35%)に留まっています。
(エヴァートンのキャルバ―ト=ルーウィンは空中戦に勝利4.6回(49%)、ヴィラのワトキンスは空中戦に勝利4.4回(49%)、スパーズのハリー・ケインは2.4回(48%)です)
オーバメヤンは今シーズン通しての1試合平均の空中戦勝利数は1.6回(47%)です(WG起用時なのであくまで参考程度に)。
そして、この試合においては空中戦5回で3回勝利となっています。
純粋に身長が高いから競り合えるというのもありますが、オーバメヤンは競り合う前の体のぶつけ方が上手い印象があります。
それから、この試合は久しぶりにシュートチャンスにも恵まれました。
十八番の左斜め45度の角度のシュートの他にも、ゴール正面、ゴール右側からのシュートチャンスもありました。
左WGからのエリア内への侵入だとどうしても多少チャンスの形に制限が付きますが、中央でのスタートならその制約なくチャンスに顔を出せるため、これはオーバメヤンにとってポジティブなことだと思います。
19歳の救世主Bukayo Saka
投入直後の58分、ハーフウェイライン付近で1枚はがして外を走るティアニーにパスを出すと内側を並走、完璧なニアゾーンランでティアニーからのパスを引き出してマイナス気味の折り返しでオーバメヤンのシュートをおぜん立てしました。
83分、千載一遇の決定機を迎えましたが、ここはメリエのスーパーセーブでした。
倒れそうになったところを腕1本で支えて最後サカのシュートに食らいついてのシュートストップでした。
サカもすぐ打つのではなく少しドリブルしてからのシュートは狙いもよかったのですが、ここはメリエがわずかに上回ったシーンでした。
レビュー
この試合、レノとポスト選手の大車輪の活躍が無ければ大敗を喫してもおかしくありませんでした。そんな試合で、数的不利で勝ち点1を持ち帰れたのは良いことですが、改善すべき点は山積みです。
クリエイティビティは言わずもがなですが、ボールホルダーをサポートするフリーランがほとんどないのがかなりまずいです。
リーズはサイドでボールホルダーを追い越し、パスを出したら出した選手はすぐに動き出して、受け手の選手を追い越していました。
あそこまでやれとは言いませんが、それでも半分くらいはそういう走り込みが欲しいです。
今日の前半のぺぺの突破は良かったですが、それをサポートする動きがほとんどありませんでした。誰もサポートしないから1人で仕掛けてシュートまでいければいいですが、そこでロストしてカウンターにつなげられてしまいます。
昔のアーセナルはパスを出したら走る、パスを出したら走るこの繰り返しでのダイナミックで魅力的な攻撃を展開していました。
あれこそ今のアーセナルに欠けているものだと思います。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
スパシーバ
エジルに見惚れてグーナーになった人。18/19シーズンから戦術ブログを開設してリーグ戦全試合のマッチレビューを投稿している戦術系グーナーです。