【マッチレビュー】リヴァプール対アーセナル<現在地と授業料>
プレミアリーグ第12節リヴァプール対アーセナル。
リーグ戦8試合負けなし(6勝2分)と好調をキープするアーセナルが敵地アンフィールドに乗り込んで行われる4位5位の直接対決。
アーセナルがもう1ステップ上のチームになるためにはこのリヴァプールのようなチームにも勝つ必要があります。
果たしてアーセナルはどんな戦いを披露してくれるのでしょうか。
もくじ
試合のハイライト
リヴァプール4-0アーセナル
両チームのスタメン
負傷でイングランド代表を離脱したヘンダーソンがベンチスタート、デンマークとの代表戦でハムストリングを負傷したロバートソンがベンチ外となっています。
その他、フィルミーノら主力も数多く負傷離脱、さらにはマネも出場が危ぶまれましたが、普通に復帰してます。
いつものやつですね
ワトフォード戦を負傷で欠場し、代表の活動も回避したトーマスですが、この大一番に無事間に合いました。
一方、11月の代表ウィークの2試合で実践復帰を果たしたティアニーがいきなり活躍したことで左SBのチョイスに注目が集まりましたが、ティアニーはベンチスタートで好調を維持しているタヴァレスがこの大一番に抜擢されました。
プレスで捕まえきれなかった理由
ここ数試合、WGはあまり前に出ない守備をしていたアーセナルですが、この大一番ではWGも前に出て必要に応じてSBもスライドする攻撃的な守備を採用し、リヴァプールと真っ向からやり合う意思表明をしました。
両WGはSBへのコースを抑えながら出ていく外切りのプレスでCBにプレッシャーをかけ、中央からはオーバメヤンが前に出てラカゼットはファビーニョを抑える守備をしていました。
外切りのプレスに行く時、スミスロウはがっつり外から行けているのに対してサカが内寄りに見えたのはリヴァプールの両IHのタスクが関係しています。
スミスロウの背後、リヴァプールの右IHのチェンバレンはビルドアップの手助けより高い位置での飛び道具的な仕事がメインで、後ろからつなぐ際あまり下りてきません。
そのため、チェンバレンはロコンガが見やすい状況になり、スミスロウはアーノルドへのパスコースを抑えることに専念できていました。
一方、サカの背後、リヴァプールの左IHのチアゴは後ろからのビルドアップに大きく貢献、タスクはシティの頃のダビド・シルバのようでした。
サカが外切りのプレスで前に出ようとするとチアゴがサカとラカゼットの間に降りてきてCBからボールを引き取るため、サカとしてはチアゴも気になり立ち位置が内に寄っていた印象です。
また、サカやラカゼットの斜め後ろや横で、なおかつトーマスからも離れた位置に降りるため、トーマスがついて行けばCBの前のスペースがガラガラになり、直接このスペースを使われてピンチになることは避けたいため、前半はあまり前に出ていけてませんでした。
結果、アーセナルは前半、リヴァプールに64%のポゼッションを許しチャンスも多く作られ、結果、前半終了間際にセットプレーから失点を喫することになりました。
また、右の冨安、ホワイトと比較して左のタヴァレス、ガブリエウのデュエル勝率が高いのは左は右サイドと比較してプレスが機能していたため、DFが有意の形になりやすかったからではと考えることもできます。
剥がせなかったビルドアップ
リヴァプールは十八番の4-3-3からWGの外切りプレスでアーセナルのビルドアップにプレッシャーをかけるのに対して、この試合のアーセナルは両SBが普通にSBをやっていたことでプレスのかみ合いが良くなってしまっていたように見えます。
また、試合開始直後にホワイトが大胆な持ち上がりを披露しましたが、それが引っかかってしまい、ロストからピンチになったことでこの試合はそこからホワイトが得意のキャリーをほとんどしていなかったこともプレスをはがせなかった要因の1つになっているかもしれません。
また、チェンバレンも前に出ることで、3トップの中央のジョタと合わせて、ダブルボランチが自由になれなかったという構造的な側面もありました。
授業料は高かった?
タヴァレスのミスから2失点目が入り、ここからリヴァプール川により試合が傾いてしまいました。
タヴァレスのミスに関しては、あの極限のプレッシャーの中での1つの軽率なミスという感じで試合通してはそこまで悪くなかったです。
むしろ、ロコンガとメイトランド=ナイルズの2人の方が高い授業料を支払う結果になりました。
ロコンガは以前からボールを受けてから選択肢を探す癖があり、どうしてもボールを受けてからワンテンポ挟むことでプレーがトーンダウン、ここをボールの奪い所に設定されて失点の原因になった試合もありました。
この試合でもボールを受けてから選択肢を探すそぶりを見せることでリヴァプールにプレッシングに行く時間を与えたことでビルドアップに詰まってしまうシーンがいくつかあり、結果としてアーセナルの中央からのビルドアップの停滞を招く結果になりました。
次に、メイトランド=ナイルズですが、やはりボランチではこのレベルでのプレーは無理でしょう。
パスの出し先の状況を考えずにパスを出すことで受け手が苦しい状況に追い込まれるシーンもありましたし、逆に相手の密集しているところに突っ込んでのロストもありました。
また、ビルドアップの際にはパスコースを作る動き直しの意識も足りません。
ナイルズの良さはフィジカル能力と対人守備の強さで、逆に弱点は高いインテンシティの中でのプレー判断やオフザボールの質です。
ナイルズの良さを生かし弱点をカバーするためには現状ではSBでの起用しかないでしょう。
おわりに
前半終了間際のセットプレーからの失点、後半一気に崩れての大量失点、GKのビッグセーブの数々が無ければよりひどいスコアになっていた。
結果だけ見れば19/20第3節のエメリ時代のリヴァプール戦と似ているかもしれませんが、ただ後ろに引きこもるだけだったあの時とは違い、真っ向からやり合う姿勢を見せて耐えた前半など、内容は雲泥の差です。
若い今のアーセナルにとっては苦しい経験になりましたが、間違いなく次につながるものはあったと思います。
あとは、アルテタが今回失敗した交代を次はやらないことを信じています。
ウーデゴールのボランチ見たいな~(ずっと言ってる)
スパスィーバ
エジルに見惚れてグーナーになった人。18/19シーズンから戦術ブログを開設してリーグ戦全試合のマッチレビューを投稿している戦術系グーナーです。