【マッチレビュー】アーセナル対ブレントフォード「プレミアの洗礼」
アーセナル1-1ブレントフォード
もくじ
両チームのスタメン
前節19位のエヴァートンにまさかの敗戦を喫したアーセナルはスタメン変更0人で得意のロンドンダービーに臨む。
前節セインツ相手に3-0の快勝を収めてリーグ戦9戦無敗と好調を維持するブレントフォードはスタメンを3人変更しシステムも4-3-3から対強豪仕様の5-3-2に変更してきた。
循環による切り崩し
ブレントフォードは5-3-2のブロックを組みローラインでの迎撃を選択、アーセナルは4バックがかなりゆとりのある状態でボールを持てていた。
守備ブロックの形は違うが、アーセナルが押し込み相手チームが弾き返すという構図が2節続くことになったが、アルテタもただ手をこまねいているだけではなかった。
エヴァートン戦では選手それぞれの役割が明確な一方でレーン移動や列移動が少なく守備側は状況が整理されたまま弾き返しに徹することができたが、この試合では今シーズン通して右サイドで多く見られたホワイトやウーデゴールが低い位置でボールを持った時にサカが大外からハーフレーンに侵入してパスを引き出す動きを多用、さらには左サイドでも同じ試みが見られた。
それ以外にも大外で受けて仕掛けることが多かった両WGが内側に侵入し、それに合わせて両SBかIHが幅を取ることで選択肢が中だけにならないようになっていた。
そして、CBの前で孤立気味だったエンケティアは中盤の死角から顔を出して起点になる動きでボールに絡み,相手が待ち構える守備ブロックに対して楔のパスの選択肢を増やせていた。
ブレントフォードは合え空のプレスには行かずに撤退することを選択、エヴァートンの全員が死に物狂いに走る守備とは違い全員が整った5-3-2のラインで近い距離感でブロックを組み、エリア内をスカイブルーのアウェイユニで埋め尽くした。
WGに対してツーマンセルで対応したエヴァートンとは違いブレントフォードは基本的にはWBが1人で対応、クロスを上げることに対しては寛容的でそれよりも中を固めることに重きを置いていた印象だ。
先制ゴールのシーンではサカとヘンリーがマッチアップするところにホワイトがオーバーラップでヘンリーを釣り出してサカとイェンセンとのマッチアップに変更、これまでサカ相手に1人で保たせていたヘンリーをサカから引き離すことに成功した。
サカはウーデゴールにアづけた所から裏に走ってパスを引き出して速いクロスをファーのトロサールに届けることに成功した。
アーセナルは押し込むところまではスムーズに行えていたが、押し込んだところからの選択肢がふわっとしたクロスが多く、高さのあるブレントフォードのCB陣にはじき返されることが大半だった。
個人的には高さのある相手だからこそ速いクロスやマイナスの折り返しを活かしたいところだったが、あれだけブレントフォードの選手も密集していると速いクロスやマイナスの折り返しはニアで引っ掛けてカウンターの起点になるリスクを考えたら守備側が下がりながらの対応になるファーへのふわっとしたクロスに大外から折り返してそこでマイナスを使う形はリスク管理も考慮した選択としては間違ったいなかっただろう。
また、引いて守る相手に対してミドルシュートが有効と言われるが、この試合ではトーマスのミドルはブレントフォードの選手によってコースを制限されてGKの正面に、サカのユナイテッド戦の再現にもなり得たミドルはブロックされて終わったように、あれだけ人で密集するとそれも難しい。
だからこそ個人的にはエヴァートン戦から感じていたのはここまで押し込み切る前に攻撃を完結させるスピーディーさが欲しいという点だ。
押し込み切る前のファーへのアーリークロスで高さ勝負に持ち込まずに合わせられたり、完全に守備ブロックがセットされる前ならば少ないタッチ数の連携も途中で引っ掛けにくくなるだろう。
繋がないことが対策に
アーセナルはブレントフォードの3バックに3トップをぶつけてエンケティアはそのままGKのラヤにもプレッシングに行くが、ブレントフォードは後ろからのビルドアップは放棄して潔くトニーへのロングボールでの前進を目指した。
トニーはサリバの方に流れてトニーを当ててムベウモが裏を狙うシンプルな崩しでアーセナルのゴールに迫る。
トニーはこの試合空中戦14回中12回勝利、地上戦7回中5回勝利という圧倒的なデュエルの強さでサリバにプレミアの洗礼を浴びせる結果になった。
おわりに
オフサイドの線の引き忘れというリー・メイソンのやらかしなどもあったりしながら1-1のドローに終わり、アストン・ヴィラを一蹴したシティに勝ち点差3に詰め寄られることになった。
リーグ戦2試合未勝利だが、アーセナルとアルテタはやることはやっており、得点に関してはファイナルサードでのわずかなズレで全く違うものになっていただろう。
そして、ミッドウィークに迎えるシティとの首位争いの天王山は相手関係では間違いなく強くなるがここ2試合引き籠った殻をこじ開ける作業ではなく真っ向からの殴り合いになり、チームの成熟度やクオリティが結果やスコアに直結する戦いになるはずだ。
エジルに見惚れてグーナーになった人。18/19シーズンから戦術ブログを開設してリーグ戦全試合のマッチレビューを投稿している戦術系グーナーです。