【マッチレビュー】アーセナル対ワトフォード「史上4人目の快挙」
上位のライバルチームが軒並み敗戦したアーセナルの対戦相手は下位チーム。
勝てばCL出場圏内に届きそうという何とも既視感のある状況、そしてこういう時って大抵足元救われるよねなどと思いながら、負けられない試合をどうぞ。
もくじ
試合のハイライト
アーセナル1-0ワトフォード
両チームのスタメン
トーマスは負傷により、試合直前に急遽欠場することが判明し、急遽ボランチの代役にメイトランド=ナイルズが抜擢されました。
また、復帰が噂されたティアニーはこの試合もベンチ外ということで、タヴァレスが引き続きスタメン出場となっています。
以前なら多少コンディションが不安でもティアニーを起用するしかなかったのが今ではティアニーが万全になるまではタヴァレスで問題ないというのは大きいですね。
ワトフォードは前節セインツ戦からスタメン5人を変更してきました。
ワトフォードはリーズに敗れた翌日、10月3日にシスコ・ムニョスを解任し、後任にラニエリを招聘するもその後は1勝3敗と不安定なパフォーマンスが続いています。
前半のビルドアップの問題点
前半のアーセナルはメイトランド=ナイルズが左の低い位置に流れることで、中央はロコンガの1アンカーによる組み立てが求められていました。
右の冨安は最終ラインの右と偽SBを行ったり来たりしているような感じで中央のロコンガが孤立してしまう時間がありました。
崩しのメカニズムは左右それぞれ低い位置にいるメイトランド=ナイルズと冨安と、ライン間の2人の選手でトライアングルを形成し、このトライアングルが崩しにおけるベースとなっています。
左はロコンガとスミスロウ、タヴァレスの3人が頻繁にポジションを入れ替えながら、サイドからの侵入を試みるのに対して、右は低い位置からの配球役は冨安でラカゼットとサカのポジションチェンジが頻繁でした。
ワトフォードの左SBのローズはこの試合では注意力散漫で背後を取られ放題、守備は軽い、ラリアットはする、で散々な出来で、特に、大外に流れてくるラカゼットに合わせてローズの背後をついて斜めの動き出しをするサカに対して全くついて行けてない印象でした。
ワトフォードの守備は4-1-4-1で1トップのキングがアンカーのロコンガへのコースを抑えながらCBに圧をかけるか、CB間を切る素振りを見せる時は後ろからトゥファンがスライドしてロコンガに前を向かせないような守備をしていました。
高い位置で奪いきるというよりはワトフォードの狙いとしてはCBより前の中央、ロコンガのところで好きにゲームメイクはさせたくないというところにあったように感じ、アーセナルのビルドアップが4-1の並びでロコンガが孤立している時は機能していました。
ですが、サイドで受けた冨安やメイトランド=ナイルズが斜めに運ぶことでロコンガの横まで上がった時や、そもそも流れの位置でロコンガと近い距離にいた時はさらに後ろの選手が釣られることでライン間にさらにスペースが生まれているように見えました。
変化したダブルボランチの立ち位置
前半はビルドアップ時の並びが4-1(2-3)でしたが、HT明けからはメイトランド=ナイルズがサイドに流れずに中央に留まることで、ダブルボランチの距離が近くなり、3CB+2DHの3-2に並びが変わりました。
前半からボールは持てていましたが、この修正により、中央からの崩しやすさとサイドtoサイドがスムーズに行えるようになりました。
前半の1アンカーと違い、CBからダブルボランチへのパスコースをキング1人で抑えるのは困難で、なおかつ前に出てくる両WG(SH)を含めた3トップに対しても大外に張っているWGへのコースと合わせて3バックそれぞれから2本のパスコースが生まれ、ワトフォードのFWのプレスを無力化できます。
また、サイドに振る役割もロコンガ1人ではなく、近くにメイトランド=ナイルズがいることでショートパスの交換をしながらサイドへの展開も狙えるようになり、後半はサイドtoサイドで振ってから大外の選手が仕掛けるシーンが生まれやすくなりました。
73分のウーデゴールの幻のゴールはガブリエウからパスを受けたメイトランド=ナイルズが左に運ぶとみせて中央のオーバメヤンに当てて落としをロコンガが受けてウーデゴール→サカで右の大外まで展開し最後はマイナスの折り返しをウーデゴールという形でした。
これは1アンカーではできない揺さぶりでしょう。
メイトランド=ナイルズのあれこれ
トーマス欠場で急遽代役に抜擢されたメイトランド=ナイルズはこの試合でMOTMに選出されました。
そこまでか?とは思いますが、活躍したのは間違いありません。
この試合のナイルズが最も光ったのは相手のカウンターの初速を殺すネガトラ時の強度の高い守備でした。
オフサイドで取り消されたサカのゴールの起点もナイルズの後ろからの寄せとボール奪取から始まりました。
先制点のシーンもファールすれすれだったとは得言え、あそこで前を向いて時間を与えないという狙いは良かったです。
また、後半のデニスのカウンターからのドリブルを遅らせた守備も見事なものでした。
前からのチームとしてのプレスの際の寄せの甘さはありますが、ネガトラ時の守備強度は以前からナイルズが持っていた長所でこの試合ではそれがうまく引き出されたという印象です。
おわりに
試合は55分にワトフォードがカウンターに移行しようとするところをホワイトがインターセプトからの持ち上がりでエリア手前まで迫りこぼれ球をスミスロウがダイレクトでシュートを放ち、これが決勝ゴールになりました。
スミスロウはヴィラ戦に続きこぼれ球に対する見事な反応を見せたゴールです。
これでスミスロウはリーグ戦3戦連続ゴールとなり、21歳以下のアーセナルの選手としてはアネルカ、レジェス、セスクに続く史上4人目の快挙となります。
代表ウィーク明けに対戦するリヴァプールは今節でウェストハムに敗れたことでアーセナルとの勝ち点差は2となり、次の直接対決でアーセナルは勝利すればリヴァプールをかわして4位に浮上できます。
スミスロウはなぜかイングランド代表に選出されていませんが、サカ、ホワイト、ラムズデールは無事にイングランド代表に選出されており、他には冨安も日本代表に召集されています。
また、ティアニーはスコットランド代表に合流し、トーマスはこれから判断するということでできればアーセナルで回復に努めてほしいと思ってます。
代表ウィークに誰もケガすることなく次節を迎えたいところです。
スパスィーバ
エジルに見惚れてグーナーになった人。18/19シーズンから戦術ブログを開設してリーグ戦全試合のマッチレビューを投稿している戦術系グーナーです。