【マッチレビュー】レスター対アーセナル「変らないもの」
レスター0-1アーセナル
もくじ
両チームのスタメン
レスターは前節ユナイテッドに0-3の敗戦したところからスタメン変更0人で挑んできた。
前節はユナイテッドに完敗だったもののその前の試合ではアストン・ヴィラ、スパーズにそれぞれ4-2と4-1で快勝を飾ったり、さらにその前にはリーグ戦5試合未勝利だったりとにかく浮き沈みが激しいのが今季のレスターだ。
アーセナルは前節アストン・ヴィラに4-2で劇的逆転勝利を収めたところからスタメン1人変更してきた。
エンケティアが怪我との情報もあったが、ベンチには入っており、代わりにトロサールがCFで起用されておりここは要注目だ。
怪我で離脱していたトーマスがこの試合でベンチに戻ってきている。
また、この試合ではロシアによるウクライナ侵攻からちょうど1年が経ち、ウクライナへの団結を示すためにジンチェンコがキャプテンマークを巻くことになったが、これはウーデゴールの提案だったようだ。
サイドの3人目の動きの復活
ジェズス離脱以降のアーセナルはジェズスの代わりにCFで起用されているエンケティアは両サイドに流れるジェズスよりもエリア内で勝負するタイプなこともあって左はマルティネッリの単騎突破が増え、両サイド共にCFが流れてこない分だけWGとIHの内外2人による崩しが増えた。
前節アストン・ヴィラ戦も積極的なニアゾーンランが見られたが、相手のボランチがついてくることで折り返しのクロスはほとんどがブロックされていた。
しかし、この試合ではエンケティアに代わりトロサールが起用され、久しぶりにサイドの崩しに流動性と3人目の動きが帰ってきた。
WGが大外でボールを持ちIHがニアゾーンランで相手のラインを押し下げてボランチを引っ張った時にトロサールがその手前に生まれるスペースに流れてきてパスを受けることで脅威になっていた。
この位置で受けたトロサールに対してレスターの守備陣は放置するわけにもいかず、潰しに来るが、後手に回っているため他のエリアが手薄になってピンチになったり、強く行き過ぎれば危険な位置でFKを献上することにもなる。
最近は大外に固定されていたマルティネッリだったが、左に流れてくるトロサールと入れ替わるように内側に入って行くシーンも見られた。
ブライトン時代はトロサールのCFはトロサール、三笘に加えて左SBのエストゥピニャンが突っ込んでくることで渋滞を引き起こしていたがアーセナルではジャカが気を利かせて低い位置に回り、ジンチェンコはもともとサイドの高い位置に突っ込むプレーよりも内側に入りたがることで、トロサールの左に流れる動きは年明け以降のアーセナルにかけていた流動性を取り戻させてくれた。
また、トロサールはサイドに流れる動きに注目されがちだが、低い位置からのビルドアップの時にCBとの駆け引きを得意とするエンケティアとは違い最初からボランチの死角から顔を出せるところまで下りてきていたことで、起点になりやすくなっていた。
ブレンダン・ロジャースの限界
レスターはアーセナルに対してこの試合の前の時点でリーグ戦4連敗、アルテタ就任後のアーセナルとのリーグ戦通算成績はレスターの1勝1分4敗となっている。
ちなみに4敗の内3試合では4バックを採用した試合となっている。
そして、どの試合でもレスターは4バックのビルドアップで低い位置でSBが張っており、そこにアーセナルのWGが内から外へプレスをかけてSBがレスターのWGに詰めて奪い切る形でアーセナルがボール保持を安定させて押し込んでいく展開になっている。
そして、4バックを採用したこの試合も例に漏れずレスターはアーセナルの前からのプレスに苦しみほとんどボールを持てずに90分でシュート1本というスコア以上の完敗を喫することになった。
レスターの守備は4-4-2の守備でもショーン・ダイシのエヴァートンのように90分間120%の強度を保ってミスを誘うわけでも無かった。
マイナスの折り返しのリスク
しかし、シュートこそ1本に終わったが、シュートにたどり着けないまでもカウンターからいくつかのチャンスは作れていた。
レスターのカウンターのチャンスはどれもアーセナルの押し込んだところからのマイナスのクロスをクリアしたところからだった。
ブレントフォード戦のマッチレビューでマイナスの折り返しのリスクについて触れたが、この試合のレスターのカウンターはそれを体現する内容だった。
マイナス方向のクロスを相手に引っ掛けると相手はボールを奪った時点でプレーのベクトルがアーセナルのゴールに向いている上にヘディングでの対応が求められる浮き球クロスと違いグラウンダー気味のクロスで足元にボールが収まりやすい所からのカウンターになるためにカウンターへの移行がスムーズになる。
また、押し込んだ状態でアーセナルの選手の多くがレスター陣内にいることで被カウンターの対処を少ない人数でなおかつ戻りながら対応しなければいけないことも対応の難しさに拍車をかけている。
結果的にレスターのロングカウンターはCB陣の好対応もありフィニッシュには結びつかなかったが、マイナス方向のクロスはより精度が求める必要があるだろう。
おわりに
試合は後半開始直後ガブリエウのクリアボールをトロサールが受けて股抜きパスに抜け出したマルティネッリがゴールに流し込んで先制、その後倒れ込んで怪我の心配もあったが、その後もプレー続行し虎の子の1点を守り切ってリーグ戦6試合ぶりのクリーンシートを達成した。
シティはボーンマスに4-1で快勝し勝ち点差そのままでアーセナルはミッドウィークに7節の延期分のエヴァートン戦を行い、これでシティと消化試合も並ぶことになる。
グディソンパークのエヴァートン戦から始まった悪い流れをエミレーツで迎え撃つこの1戦で断ち切って3月以降の優勝争いに勢いをつけたいところだ。
エジルに見惚れてグーナーになった人。18/19シーズンから戦術ブログを開設してリーグ戦全試合のマッチレビューを投稿している戦術系グーナーです。