【マッチレビュー】アストン・ヴィラ対アーセナル「シンプルにプレーする重要性」
アストン・ヴィラ2-4アーセナル
もくじ
両チームのスタメン
アストン・ヴィラは前節シティに1-3で敗れたところからスタメンを5人変更してきた。
CBはチェンバースから怪我から復帰したミングスがスタメン復帰、両SBもヤングとディーニュからキャッシュと今冬ベティ巣から加入したアレックス・モレノにに変更、右SHにはジェイコブ・ラムジーから同じくボランチが主戦場のマッギンに代えてきた。
そして、ブエンディアをセカンドトップに置き左WGにはエメリ体制では初スタメンとなるコウチーニョを起用してきた。
アーセナルはミッドウィークに12節の延期分の試合でシティに1-3で敗れたところからスタメンを2人変更してきた。
右SBは前節スタメンだった冨安に代えてホワイトがスタメン復帰、左WGはマルティネッリに代えてアーセナル加入後リーグ戦初スタメンのトロサールを起用している。
アストン・ヴィラは2連敗中、アーセナルはリーグ戦3試合未勝利という状況で両者ともに悪い流れを断ち切るために勝利が欲しい1戦となる。
新加入2人のプレー
アストン・ヴィラがセットされた4-4-2で構えてくることもあってアーセナルは2つの配置を行き来できる立ち位置ではなくホワイトが最終ラインに降りてジンチェンコががっつり中に絞る3-2-5で4-4-2に対してズレを作って運ぶ形を採用してきた。
左で幅を取るトロサールはガブリエウからのパスコースをつないで前を向いて仕掛けられるタカサでパスを引き出すのが上手く、左からの崩しでトロサールが受けて内側をジャカがニアゾーンランで抜けていく形が多く見られた。
また、裏に抜けると見せかけてキャッシュを押し下げてスペースを作ってから足元で受けたりシンプルに裏抜けをしたりパスの受け方のバリエーションも多く見せていた。
ジョルジーニョの足の遅さからアンカーとしての守備能力に疑問視する声もあるが、一概にそうとは言い切れない。
ジョルジーニョは確かに足が遅く被カウンター時に前線からのプレスが機能せずに広いエリアをカバーしなければいけない場面ではフィルター役として機能しないシーンもこの試合では何度かあった。
しかし、前からのプレスをかける場面やネガトラの瞬間に前線が出し先を制限できる場面では高い位置でのボール奪取もできており、ボール保持の安定や再回収には貢献していた。
エメリのチームの戦い方
アストン・ヴィラはセットした4-4-2でハイラインを維持した守備を敷いてきた。
コウチーニョはホワイトが下がるのに合わせて前に出ることで4-3-3のようになる時もあったが、基本的には4-4-2で守るが、アーセナルは3-2-5で配置のずれを活かしてくるため高い位置からのボール奪取はあまりできていなかった。
押し込まれてからもコンパクトな4-4-2でアーセナルの両IH、特にジャカが積極的にニアゾーンランで抜けてくるところにはCBかボランチのどちらかがしっかりとついて行き折り返しのクロスをブロックしていた。
その一方でWGの外を回るオーバーラップに対しては内に比べて対応が緩いように見えた。
アストン・ヴィラのビルドアップは4-4-2のままでビルドアップの時に自分でパスコースを作ってパスを受けて前を向いてゲームを作れる中盤の選手がCBからパスを引き出して自分で運んだり展開したりする形だ。
ビジャレアル時代はその役割をパレホが担いこのアストン・ヴィラでは主にドウグラス・ルイスとカマラが担っている印象だ。
アストン・ヴィラの2点目は前からのプレスがかかっていない状況で簡単にカマラがパスを受けて前を向いたところから、ハーフウェイライン手前まで悠々と運ばせてしまい、ウーデゴールが慌てて寄せるも降りてきたコウチーニョのレイオフを経由してかわされてアーセナル陣内に侵入、カマラからホワイトの背後へ抜け出したアレックス・モレノのマイナスの折り返しをブエンディアがスルーして最後はコウチーニョが決めたゴールだ。
後ろの対応がどうとかではなくこの失点は前からのプレスがかからずに楽にカマラにボールが入り、そこからすべて後手を踏んだことが問題だろう。
前3人は高い位置に残るも他のフィールドプレイヤー7人は撤退した状況で前線の3人も奪いに行くわけでも無く前進を許してしまった。
マイナスのスペースの活用
アーセナルの1点目はホワイトのオーバーラップから深くえぐってのクロスをミングスが処理を誤りマイナスのスペースのサカのもとに転がり込み、それをダイレクトボレーでサカが決めたゴールだ。
そして、2点目はCKからだったがショートコーナーで引き付けてからのマイナス方向へのパスにジンチェンコがダイレクトで合わせてニアに打ち抜いたものだ。
後半アディショナルタイムに生まれた逆転ゴールもマルティネッリがドリブルでエリア内に侵入、相手の意識を引き付けながらDFラインを押し下げてからのマイナス方向への折り返しにジョルジーニョがダイレクトでミドルシュートを放ち、1度はポストに当たりながらも、跳ね返りがエミ・マルティネスの頭に当たってゴールに吸い込まれた。
3点ともシュートの難易度が極めて高く、3人の個の質が高かったのも事実だが、それぞれ深い所から1手でマイナスのスペースにボールを提供できたことが大きいと感じる。
エヴァートン戦やブレントフォード戦でも押し込んで深くえぐった所からマイナスのスペースへボールを送る決定機は何度もあったが、ファーへのクロスを頭で落としたり、間に1人経由するパスで2手を使ってのシュートチャンスになり、時間を使う分相手が詰める余裕を与えてしまいシュートが相手選手にブロックされるシーンが数多く見られた。
その点、この試合では深くえぐった所から1手でマイナスのスペースに送り込むことで相手のスライドが追い付かず、ブロックされないままシュートを放つことができたのだと思う。
おわりに
リーグ戦3戦未勝利、公式戦4試合未勝利の悪い流れが続く中での試合開始早々の失点で悪いムードが続く中ですぐに追い付き再びリードを許すも、そこから同点に追い付き試合終了間際に逆転、ダメ押しゴールを決めて勝ち切ることができたのは勝ち点3以上の価値がある。
そして、ノッティンガムがシティと引き分けたことでアーセナルは再び首位に返り咲いた。
3月に入ってからはELが再開することもあり日程も詰まってくることもありローテーションも必須になり、チームの総合力が問われる戦いが始まる。
エジルに見惚れてグーナーになった人。18/19シーズンから戦術ブログを開設してリーグ戦全試合のマッチレビューを投稿している戦術系グーナーです。