【マッチレビュー】アーセナル対ニューカッスル・ユナイテッド~前回対戦時からの上積み~
プレミアリーグ第19節アーセナル対ニューカッスル・ユナイテッド、前半戦のラストゲームとなります。
わずか10日ほど前にFA杯3回戦で激突したニューカッスルと今度はプレミアリーグで相まみえることになりました。
前節のクリスタル・パレス戦はスコアレスドローに終わり、勢いがトーンダウンしてしまったアーセナルはここで勝ち点3を確保し再び上昇気流に乗りたいところです。
前回対戦時の内容の復習にどうぞ。
アーセナル3-0ニューカッスル
もくじ
両チームのスタメン
アーセナルは前節のクリスタル・パレス戦からは3人の変更です。
ティアニーは筋肉の緊張で前節はお休みでしたが無事スタメン復帰を果たしました。
そして、トーマスも12月のNLD以来のスタメン復帰となっています。
さらに、セドリックは今季プレミアリーグ初スタメンを飾っています。
対するニューカッスルは前節のブレイズ戦からは8人を変更してきました。
新型コロナ感染から復帰し、練習には復帰していて試合への復帰もささやかれていたサン=マクシマンは今節もベンチ外の様子です。
両チームの二次配置
アーセナルのボール保持時
ニューカッスルは前回対戦時の5-4-1から今回は4-4-2に変化したことで、アンディ・キャロルが1人でアーセナルのDFの前を走っていたところから2枚で制限をかけられるようになりました。
しかし、目的はあくまでも中央へのコースの制限であり、奪うことではないためCB陣が焦らされるような形にはなりませんでした。
アーセナルはトーマスが復帰したことでビルドアップの形が整備されました。
ジャカがクロースロールで最終ラインに降りたら、トーマスは2トップの背後の位置で待機することでパスコースを確保できました。
逆に、トーマスが下りる時はジャカは中盤に残るということも徹底されているように感じました。
右サイドで、セドリックはサカとスミスロウがどちらも内寄りにいる時のオーバーラップのタイミングが適切でしたし、サカ、スミスロウとのトライアングルでのポジションの入れ替えもスムーズでした。
ニューカッスルのボール保持時
ニューカッスルは基本的に後ろ4枚からビルドアップがスタートして、アンディ・キャロルとカラム・ウィルソンがターゲットのロングボールかサイドからの崩しを狙っていました。
とはいえ、ニューカッスルのビルドアップはほとんどプレスがはまっている状態で、奪ってからのロングカウンターが攻め手のメインでした。
アーセナルはラカゼットはCB間を切り、スミスロウが下りていくボランチのマークで、空いているボランチはアーセナルも同サイドのボランチが出て行って抑える形を取っていました。
両WGはSBからSHへのコースを抑える立ち位置からプレスをスタートし、SB→CBにプレスをかけることもありました。
この時、ボランチとWGどちらかが前に出る時はどちらかは後ろに残りバランスを取ろうとする意図も見えました。
トーマスの存在感
まず、守備時は前に出たジャカの背後もしっかりカバーし、CBの手前で中央にしっかりカギをかけていました。
スタッツではトーマスはインターセプト2回、空中戦勝利1回、タックル2回を記録していました)。
しかし、このスタッツ以上に、トーマスが後ろにいることで、ジャカのプレーもよくなっていたように感じます。
さらに、攻撃面でも際立っていました。
左右にロングフィードを振り分けたり、46分のシーンのように中央のラカゼットに楔のパスを入れてそこからチャンスになるシーンもありました。
トーマスは最終ラインからパスを引き出すときに2トップの背後や間に立ってパスを引き出していたため2トップのプレッシャーを受けることなく、ローリスクに前進することが可能でした。
また、2トップの背後でパスを受けられれば、2トップの目の前で受ける時の相手のプレスをはがす1アクションがいらなくなるため、よりテンポよく前進させることが可能になります。
さらに、26分のトーマスがスミスロウへロングフィードを送り、スミスロウが最後オーバメヤンに折り返したシーンや、トーマスのロングフィードにオーバメヤンが抜け出してゴールを決めたシーンなどカウンターに関しても質が上がったと思います。
先制ゴールのシーンはトーマスが自陣で1人はがしてからオーバメヤンにパスを送り、オーバメヤンが最後は左足で決めました。
まず、自陣で冷静に1人剥がしてから正確なフィードを送ったトーマスが見事でした。
このシーン以外でも、トーマスのロングフィードは基本的に受け手がトラップしやすいようにスピンをかけている感じな球質なこともカウンターの際に勢いを殺さないでアタッカーが走れる要因の1つだと思います。
サカとスミス=ロウ阿吽の呼吸
14分のスミスロウがドリブルで切り込んでSBを引き付けてからのパスでサカが右足でのシュートを放ち、そのこぼれ球をオーバメヤンが詰めるもクロスバーを叩いたシーン。
このシーンに限らず、サカとスミスロウはハーフスペースと大外のレーンのポジションチェンジがかなりスムーズにできています。
さらに、お互い自分で仕掛けられるため、相手SBは2対1で難しい判断を強いられ、結果としてそこから崩されるシーンが多かったです。
また、追加点はスミスロウのラストパスをサカが決めたゴールでした。
カウンターでスミスロウが左から仕掛け、細かいタッチと緩急で半歩抜いたとこからのマイナスの折り返しました。
そして、サカもDFの意識と視野がゴールとボールの方に向いているところに走り込むのではなく、少し下がったところでフリーで待ち構えていました。
そして、WBA戦同様にお互いにどこにいるのかが見なくてもわかっているようなゴールでした。
SBの位置取りの重要性
クリスタル・パレス戦とニューカッスル戦の平均ポジションです。
一番わかりやすい変化は両SBの位置取りです。
ニューカッスル戦のセドリックとティアニーはそれぞれパレス戦のベジェリンとメイトランド=ナイルズと比較して、より高い位置でしっかり幅を取っていることがわかります。
特に注目してほしいのは左SBのメイトランド=ナイルズとティアニーの違いで、SBの位置取りに加えてWGのオーバメヤンとの位置関係です。
パレス戦ではメイトランド=ナイルズが幅を取っても位置取りが低かったり、幅を取れてなかったりしたためにオーバメヤンが大外から仕掛けるシーンやスミスロウが流れてくるシーンが目立ちました。
結果として、スミスロウもオーバメヤンもパレス戦では本来プレーしたいエリアでのプレーが減ってしまいました。
一方、ニューカッスル戦ではティアニーが高い位置で幅を取ってくれたおかげでスミスロウは(カウンターで左に流れるシーンはありましたが)中央から右でサカと近い距離でのプレーが増え、オーバメヤンも、よりゴールに向かう動きができていました。
さらに、65分のシーンのようにティアニーが直接決定機を演出することもできるようになります。
また、右サイドに関してもパレス戦のベジェリンよりもニューカッスル戦のセドリックの方が、オーバーラップのタイミングもよく、攻撃に厚みをもたらしていました。
最終的にセドリックはサカとの内外の入れ替わりの連携からタッチライン際をえぐってからのグラウンダーのクロスでオーバメヤンの2ゴール目をアシストすることに成功しました。
スパシーバ、ここまで読んでいただきありがとうございました。
エジルに見惚れてグーナーになった人。18/19シーズンから戦術ブログを開設してリーグ戦全試合のマッチレビューを投稿している戦術系グーナーです。