【ライト版マッチレビュー】カタールW杯準々決勝イングランド対フランス「質的優位の使い方」
イングランド1-2フランス
もくじ
両チームのスタメン

イングランドはラウンド16でセネガルに3-0で快勝した試合と全く同じスタメンをサウスゲートは送り出した。
また、自宅が強盗被害に遭い一時帰国していたスターリングも復帰しベンチ入りを果たしている。
フランス代表もラウンド16でポーランドを3-1で破った時と全く同じスタメンを送り出している。
なんといっても注目なのはウォーカーとエンバペのマッチアップだろう。
質的優位の活かし方

フランスは4-2-3-1スタートで守備時はジルーとグリーズマンが2トップ気味になり4-3-2の守備ブロックを形成、エンバペは高い位置に残りイングランドのビルドアップに対してウォーカーをピン留めし監視しつつカウンターで真っ先に攻め手になれるように前残りしていた。
中盤3枚もスライドはするがエンバペが戻らない分、本来の4-4-2なら浮かない右サイドのスペースにはヘンダーソンが流れてくることが多く、その分サカはハーフスペースに侵入して楔のパスを引き出す頻度が多かった。
イングランドの崩しはサカのカットインに合わせてヘンダーソンがオーバーラップする形やケインが右サイドに流れてきて連携する形が多く、時折べリンガムも右に流れてきて、とにかくサカの仕掛けに合わせて周りも動いていた。
また、サカ自身も対面のテオ・エルナンデスに対して質的優位を保ち、カットインの形から被ファール4回を記録し、そのうち1回でPKも獲得している。
対するフランスはカウンターが軸で両WGの質で勝負してくる。
先制ゴールのシーンはカウンターからエンバペが左でキープし右のデンベレに展開、デンベレに対してイングランドは2人で対応、最終ラインが押し下げられたところで戻しのパスでグリーズマンを経由してチュアメニに渡り、チュアメニのミドルシュートが決まった。
守備を免除されたエンバペは数字に残る活躍こそなかったものの先制点の起点になったほかにもらしさは出していた。
55:45~のシーンではウォーカーとの1対1をスピードで振り切るという圧巻のパフォーマンスも見せている。
ウォーカーがスピード勝負で負けるところは初めて見た。
しかし、フランス代表は普段ほど両WGの質で蹂躙しているという印象はなく、それはイングランドがフランスの両WGに対して基本的には1対2以上を徹底していたからだろう。
しかし、WGの対応に人数を割くとその分マイナスのスペースのケアが手薄になり、先制点のシーンはまさにそこを突いた形だ。
おわりに
質的優位を生かして他のスペースを使った攻撃をしたフランスと質的優位が確保できるエリアで勝負したイングランド、それぞれの形で挑んだ試合は試合終盤CKからの流れでジルーが決めたフランスが勝利した。
1本目のPKを決めて一時は同点にしたものの試合終盤にえた2本目のPKはケインが外してしまい追いつくことは叶わなかったが今日のメンバーでケイン以上のキッカーはいなかったと断言してもいい。
サカにとって初のW杯となった今大会は十分すぎるほどに爪痕を残したと言える。
年齢的に4年後も主力でいると思うので次回に期待したい。
そして、今大会は出番のなかったホワイトとラムズデールや、今回はメンバーに選ばれなかったスミスロウが4年後はW杯のピッチに立っていることを楽しみにしている。
エジルに見惚れてグーナーになった人。18/19シーズンから戦術ブログを開設してリーグ戦全試合のマッチレビューを投稿している戦術系グーナーです。