【マッチレビュー】アーセナル対チェルシー「諸刃の剣の保持時3-1-5-1」

フロリダカップへの参加を見送り、その代わりにミルウォーム、ワトフォードとの親善試合を経て、このプレシーズントーナメントであるThe MIND Series(通称ロンドントーナメント)がスタート。

この試合の前日にベン・ホワイトの加入が発表されて、いきなりベンチ入り、ロコンガ、タヴァレスと新加入選手がそろってエミレーツスタジアムのファンにお披露目となりました。

本記事の内容・試合の流れの振り返り
・アーセナルの前プレスとボール保持時の解説
・ボール保持時3-1-5-1のメリットデメリット

アーセナル1-2チェルシー

試合ハイライト

両チームのスタメン

両チームのスタメンと交代選手

アーセナルはここまでのプレシーズンを踏まえたベストメンバーと言ったところでしょうか。

チェルシーはオドイとプリシッチが両WBを務めるかなり攻撃的な布陣。

試合の流れ

アーセナルの前プレス

チェルシーの3-4-3でのビルドアップに対してアーセナルは3バックに3トップをぶつけ、その手前にいるコヴァチッチ(orロスタフチーク)をスミスロウが抑え、ダブルボランチのもう1人をエルネニーが前にスライドしてマーク、浮いてくるWBにはSBが縦スライドする攻撃的なプレスでチェルシーを制圧。

前に蹴らせたところを後ろで回収してボール保持につなげる形で前半はアーセナルはアルテタのやりたいことがやれているように感じました。

アーセナルのビルドアップ時の配置

ボール保持時はエルネニーがビルドアップ時に最終ラインに降り、チェンバースが上がる形でビルドアップ時3-1-5-1の配置を採用。

チェンバースは偽SBとして内側に絞るのか大外駆け上がるのかあいまいで低い位置にとどまっているシーンもありましたが基本的にはワイドにいる時間帯が多かった印象です。

トーマスからの縦パスに抜け出したオーバメヤンなど惜しいシーンもあり、ボール保持は上手くいっているように見えました。

しかし、ロングカウンターからピンチを招き、26分に先制点を許しました。

失点シーンは前に突っ込んだホールディングも剥がされ、ハーフウェイラインを超えた時点でヴェルナー、ハヴァ―ツ対マリの数的不利の形になっており、この失点をマリを責めるのは酷というものです。

しかし、この試合でのマリの相手に前を向かれてからの対応は褒められたものではありませんでした。

その後、前半終盤にトーマスが負傷交代、どうやら復帰には4~6週間を要するとのことで、リーグ戦第2節のチェルシー戦には間に合わない雰囲気です。

アーセナルは後半頭からホワイトがデビュー、途中から最終ラインがタヴァレス、コラシナツ、ホワイト、ベジェリンということでホワイトのいに穴が開きそうでした。

セットプレーで1点返した後、後ろからのビルドアップ時の不用意なミスからエイブラハムにゴールを許し、その後80分台のウィロック確変でゴールが決まり、同点かと思われましたが、ここは判定に嫌われて同点ならず。

アーセナルが控えや若手を多く後半に投入した一方、後半にかけてチェルシーが主力を入れたこともあり、後半はアーセナルがボールを握る時間が短くなり、ホワイトは真骨頂発揮とはいきませんでしたが、それでも守備で存在感を存分に発揮していました。

諸刃の剣なボール保持時3-1-5-1

昨シーズン終盤に採用していたボール保持時3-2-5と比較して相手のFW-MF間に立つ選手が少ないですが、ここはスミスロウがパスが入る瞬間に降りてきてワンタッチで落として揺さぶりをかけていました。

そして、3-2-5との大きな違いはスミスロウが左サイドにも関与しやすくなる点です。

この試合はスミスロウのプレーエリアがかなり広く感じました。

また、ペペもゴールに近い位置でプレーが可能になります。

そして、5バックで守る相手には5バックに対して、前線5枚をぶつけ、そこにスミスロウが随時サポートをすることでサイドで3対2の数的優位を形成可能な点から、リーグ戦では引いて固めてくる相手に対して取りこぼしを防げそうです。

しかし、被カウンターの対処の人数が少なくなるため、この配置は諸刃の剣となります。

3-1-5-1の穴

ボール保持時3-1-5-1の場合、ロストしてロングカウンターを浴びる場合、3-1の4人での対応を迫られ、中央はトーマスでフィルターをかけられますが、サイドにロングボールを放り込まれた場合、CBが出て行って対応を強いられます。

この試合でも、CB、特にマリが広いスペースでの1対1を強いられてそこで後手に回っていました。

ホールディングもサイドに釣り出されてからの1対1は強くありません。

このシステムを成立させるためには両CBにハイラインで広いスペースでも守れるガブリエルとベン・ホワイト、その前に1人で中盤を制圧できるトーマスの3人の存在は欠かせなくなります。

この試合での1失点目はホールディングが不用意に前に出たことも原因ですが、後ろの人数を削っている以上は避けられなかった部分かもしれません。

終わりに

負け(実質引き分け)に終わりましたが、収穫、課題ともにえるものの多いプレシーズンマッチでした。

残念なのは、ここまでのプレシーズンマッチで絶好調だったトーマスが負傷離脱で開幕スタートダッシュに暗雲が立ち込めたことです。

あとは、後方からのビルドアップの不安定さを残りの開幕までの期間で快勝してほしいですね。

レノはショートパスに固執するきらいがありますが、前半にはゴールキックから1本チェンバースへの浮き球パスもあったのであれを増やせればショートパス一辺倒も解消されて、ビルドアップの改善にもつながるでしょう。

スパスィーバ

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