【マッチレビュー】バーンリー対アーセナル「2-3-5とオーバメヤン」
開幕4試合終えて1勝3敗のアーセナルが1分3敗で未勝利のバーンリーのホーム、ターフムーアに乗り込んで迎えたこの1戦。
昨シーズンはジャカの退場からのオーバメヤンのオウンゴールもあって1-0で敗れたり、エリア内での明らかなハンドが見逃されたりして1-1のドローに終わったりと苦戦を強いられた対戦カードでした。
バーンリー0-1アーセナル
もくじ
両チームのスタメン
先制するもその直後に3失点を喫し敗れた前節エヴァートン戦からのスタメン変更はなしということになりました。
昨シーズンは最後方にニック・ポープとタ―コウスキ、ベン・ミーをそろえた時は安定感がありましたが、今季はこの3人をそろえながらドローのリーズ戦以外は複数失点を喫している状況です。
1-0で勝利したノリッジ戦からは2人のスタメン変更。
前節途中出場で復帰を果たしたトーマスが今季初スタメン、代表ウィーク中の体調不良からベンチスタートとなったスミス=ロウが無事スタメン復帰を果たしています。
注目が集まるGKのチョイスですが、ノリッジ戦で高パフォーマンスを披露したラムズデールが引き続きスタメンに名を連ねており、本格的に守護神の交代が現実的になってきました。
2-3-5のビルドアップ
バーンリー戦のアーセナルの前半のビルドアップは3-2-5ではなく2-3-5ビルドアップとなっていました。
トーマスが中央でボールを引き出すために動き直すとバーンリーの2トップはトーマス経由で前進されるのを嫌い中央を閉めます。
そのため、2-3-5の「3」の両脇が空きやすくなり、特に左のウーデゴールを中心とした組み立てが顕著でした。
また、ホワイトとガブリエウはキャリーが得意なため、自分で運んで縦パスや斜めのパスを狙うことも可能です。
ガブリエウの右から来たボールを左足で納めて内から外にプレスをかけるFWから遠いところに置いて運ぶのが相変わらず上手いです。
先制点はサカがドリブルで仕掛けてエリア手前で相手のファールを誘い、獲得したFKをウーデゴールが華麗に沈めて生まれたものでした。
そのFKを獲得したシーンは狙い通りの形でゴールに迫った瞬間だったと言えるでしょう。
CBから2トップの脇でウーデゴールがボールを引き出し、ライン間に上手く顔を出したサカに縦パスを刺すと、サカが前を向いてドリブルで攻撃のスイッチを入れました。
この時、オーバメヤンもサカが前を向くと斜めに走り込みCBを引き付けてドリブルのコースを提供していました。
惜しむべくはここでボールを持ったのが左利きのサカではなく右利きのスミスロウならファールが無かった場合、カットインからのシュートでゴールが生まれていたかもしれないという点です。
また、後ろから組み立てる際は直接トーマスに通せない場面でもIHが下りてきてパスを引き出してレイオフでトーマスに繋ぐパターンも見受けられました。
4-1-4-1の守備のリスク
アーセナルは守備時の配置は4-1-4-1でオーバメヤンはCB間を切り、同サイドに追い詰める役割、2IHはボランチを捕まえて前に出る役割になっていました。
2IHが前に出ると、その背後のアンカーの両脇ががら空きになり、前線からライン間に降りる選手がいたら危なくなるところでした。
前から捕まえに行く守備がだめなのではありません。
ゾーン1からプレスをかけて高い位置で奪うのが目的ならばそれでもいいのですが、ゾーン2(ミドルサード)でやるにはリスクが高すぎる印象です。
途中から、ボールサイドのボランチはIHが前に出て捕まえて逆サイドのボランチはサイドハーフが中に絞ってみる形で、IHはトーマスの脇に降りる形に変更していましたが、降り方が甘いように見えました。
もう少し割り切ってIHが前に出る4-4-2にしてもいいような気がしました。
3-2-5ビルドアップへの変更
スミスロウと交代でロコンガがピッチに入ったことで、ビルドアップの配置を2-3-5から3-2-5に変更。
この変更でウーデゴールはトップ下に移動し、プレイエリアも右ハーフスペースに移動しました。
また、その後、トーマスがメイトランド=ナイルズとナイルズに交代し、メイトランド=ナイルズとロコンガでダブルボランチを組む形になりました。
2-3-5ビルドアップとオーバメヤン
2-3-5システムの場合、3の選手が持った時に、相手の中盤4枚がライン間の選手を抑えやすくなります。
もちろん、先制のFKを獲得したシーンのようにライン間の選手の動きによって一瞬パスコースを作って打開することは可能ですが、常時できるわけではありません。
また、この形だと、オーバメヤンは2CBが見れるため、ボランチから直接得意な形のボールを届けることは困難になり、その結果、この試合ではポストプレーで受ける形はありましたが、最も得意とする形では受けられていませんでした。
では、仮にラカゼットがいたらどうなっていたでしょうか。
中央でタイミングよく下りてくるラカゼットに対して、2CBがついて行くかの判断を迫られます。
ついてこなければ前を向いて仕掛けることや、レイオフで前向きのライン間の選手に繋ぐことが可能になります。
ついてきた場合、ハーフスペースの選手が入れ替わるように飛び出して最終ラインのずれを狙うことも可能です。
CFのライン間での動きが重要になる2-3-5システムではラカゼットの方が適性があるでしょう。
逆に、3バックの脇からの縦パスでハーフスペースに起点を作りやすい3-2-5システムの場合、ハーフスペースの選手からラストパスを狙えるため、オーバメヤンがゴールに専念できる形になり、オーバメヤンに向いているシステムと言えます。
2-3-5システムならラカゼット
3-2-5システムならオーバメヤン
おわりに
苦しみましたが、無事2連勝でターフムーアでは久しぶりの勝利を挙げることに成功しました。
ホワイトはバックパスが緩くなり、大ピンチを迎えたシーンもありましたが、それ以外では良さを出せていました。
守備では競り合いも勝てなくても大体の場面で体を寄せたり、やることはやっている印象でした。
その一方で、安易に背後を取られたシーンがいくつかあったのは少し気がかりです。
ですが、前に出てインターセプトをするシーンは光っており、やはり前に出る守備は得意なようで、4バックのCBよりもSBが合っているのではと感じました。
相棒のガブリエウは昨シーズン前半の無双していた時の状態に戻った印象でこれ以上ないくらいに頼りになる存在です。
次節はトッテナムとのノースロンドンダービー。
きっと来週にはサカとスミスロウの位置を入れ替えてくれると信じて楽しみに待ちましょう。
スパスィーバ
エジルに見惚れてグーナーになった人。18/19シーズンから戦術ブログを開設してリーグ戦全試合のマッチレビューを投稿している戦術系グーナーです。