【考察】アーセナル×ガブリエル・ジェズス「アーセナルの最適解」
6月25日にアーセナルがガブリエル・ジェズス獲得で合意との報道が一斉に出始めた。
エンケティアと契約延長はしたものの、冬にオーバメヤンが、夏にラカゼットが退団したアーセナルにとってCFの補強は必須だった。
そこに、シティがハーランドを獲得したことで退団に傾いたシティのジェズス獲得のうわさが流れだした。
アルテタがシティのアシスタントコーチ時代にジェズスは共にシティで仕事をしており関係良好だったこと、ペップのサッカーにジェズスは適応していたこともあり、CFの補強候補の最右翼として今夏のアーセナルのメインターゲットの1人になっている。
ジェズスの退団の意思、アルテタとの関係性もあり移籍は秒読みに思われたが、アーセナルがCL圏を逃したこともあり、スパーズやチェルシーのうわさも出たが、結局アーセナル加入で決着した。
移籍金は4500万ポンドで5年契約になる見通しだ。
もくじ
プレースタイル
シーズン序盤は右WGでの起用がメインだったが、冬場になるとCFでの起用が増加したと思ったらまた右WGがメインになり、4月23日のワトフォード戦で4ゴール1アシストの固め打ちを見せるとその次のCL準決勝1st leg マドリー戦からはシーズン終了までCFに固定されて出場している。
合間合間に左WGとしても起用されているが、メインは右WGとCFでそれぞれ約1000分と約800分の出場を果たしている。
まずはアーセナルでの主な起用が想定されるCFから見ていこう。
CF
プレー精度が高くてリンクアップに特化したCFがなおかつエリア内への侵入やシュートにも意欲的という今のアーセナルにとってこれ以上ないくらいマッチした選手と言える。
また、ドリブルでの前進意欲も高いため、楔のパスを受けてからレイオフで落として前向きの選手に預ける以外にも自分で仕掛ける選択肢も生まれることでアーセナルのビルドアップに新たな引出しをもたらしてくれるだろう。
プレー精度が高く、シティでも絶対的なストライカーにはなれないまでも主力として数シーズン常に安定した出場機会を確保しているためアルテタのサッカーへの順応も全く問題ないと見ている。
守備の質が高い一方で量が極端に少ないですが、インターセプト、タックル共に意欲的に行う選手なこと、この後載せるWGでは守備の量、質ともに極めて高い数値を記録していることからそれほど気にする必要はないでしょう。
これはおそらくサイドの時はアップダウンに加えて中央からサイドに追い詰めた先での守備機会が増える一方で、CFは同サイドに圧縮するためのプレスが主な守備タスクになり直接タックルやインターセプトなどの守備機会が減少するからだと考えられる。
ちなみに、アーセナルではサカは守備の質・量ともに高くマルティネッリも数値は少し下がるがグラフの形は似ているが、ラカゼットはジェズスのように量より質に寄った形になっており中央からサイドに追い出す守備を採用しているチームのCFの宿命だと言える。
デュエルに目を向けると地上戦はボール保持・非保持でともに安定した強さを発揮する一方で空中戦は平均的な数値に留まり、空中戦が得意でないということは特別割り引く必要はありませんが留意しておくポイントでしょう。
あとは決定力が課題に挙げられることもあるが、画像右側の数値を見てもらえばわかる通り決して低くないため、それほど心配していないのと、プレーを実際見るとシュートが下手なタイプでもないので気にする必要はない。
CFでのプレー時のヒートマップからわかるのは左右それぞれのハーフスペースでビルドアップに関与しつつエリア内にも侵入できる選手という点だ。
ショートパスメインでバイタルエリアではプレーに関与しエリア内ではシュートもしっかり打てているため、求められるものほとんどを満たしてくれている。
右WG
先ほど書いたとおり、右WGでは守備の量・質ともに飛び抜けた数字を記録しており、それに伴いインターセプト、タックル共にかなり意欲的になっている。
また、CFとしては弱点に該当するように空中戦が強くない一方でWGとしては空中戦はかなり強い部類に入る。
少し面白いのはCF時はドリブルによる前進がかなり意欲的だったのがWGとしてはドリブルでの前進にはそれほど意欲的ではないという点だ。
その一方でエリア内への侵入とシュート意欲は変わらず高いことも分かる。
右WGとしてのジェズスは右WG時のマルティネッリに似ていると感じる。
サイドで幅を取った状態から斜めの裏抜けでエリア内への侵入を好むスタイルはマルティネッリのそれだ。
マルティネッリと違うのは、ドリブルでの前進を好むかリンクアップによる前進を好むかの違いくらいだろう。
起用法考察
ラカゼット、エンケティアが昨シーズンやっていた役割ほとんどそのまま、何ならこの役割を任せる上での最適解の1人だと思う。
ビルドアップ時は中央で楔のパスの受け手になり、そこからエリア内に飛び込んでサイドからのグラウンダーのクロスを押し込む役割で、エンケティアやラカゼットと違うのはハーフスペースでのプレーを好む分、ジャカやウーデゴールがサイドに流れて起点になるプレーや逆に中央に入って逆サイドへの展開が増える可能性も考えられる。
それから、楔のパスを受けてから味方に預けるだけでなく自分で前を向いて運ぶパターンが増えることもジェズス加入のメリットの1つです。
考察というか妄想交じりな話にはなるが、右WG起用についても考えていこう。
右WGで起用された場合はサカほど質的優位で時間を作るというような形は作りにくいですが、その分、ゴールへ向かう意識と動き出しの質が良いので、偽9番に置くサカ(スミスロウ、ウーデゴールでも可)とIHが中盤で数的優位を作って崩して大外から両WGのマルティネッリとジェズスが飛び込んでくる形も観てみたいものだ。
CBが前に食いつけばその分背後も使いやすくなるし、割とありだと思う。
おわりに
今夏は着実に補強を進めているアーセナルのおかげでこの記事も毎週更新できております(笑)
冗談はさておき、来シーズンの4位フィニッシュはマスト、言い訳は許されないシーズンになってくるので、それに向けてフロントも気合が入っている様子でこの時点でターナー、マルキーニョス、ファビオ・ビエイラが加入、ジェズスも合意でリサンドロ・マルティネスも狙っている。
少し不安なのがここに来てティ―レマンス関連の話がめっきり出てこない点でしょうか。
とはいえ、着実に「各ポジション主力級の選手を2人ずつ」という形に近づいていることは現時点では評価できる。
もちろん、最終的な評価は移籍市場閉まってから下したいところだが、この調子で頑張ってくれと言った感じだ。
ジェズスはアルテタとはシティ時代にアシスタントコーチと選手という間柄で共闘しており、見知った中で関係良好だ。
なおかつペップの下でプレーしていたためサッカーIQも申し分ない。
確かに瞬間最大風速ならほかに噂のあったオシメンの方が上かもしれないが、シーズン通して、90分間通して、チーム全体の攻撃という面では今のアーセナルにとってベストなCFの補強はジェズスだ。
エジルに見惚れてグーナーになった人。18/19シーズンから戦術ブログを開設してリーグ戦全試合のマッチレビューを投稿している戦術系グーナーです。