【考察】アーセナル×ファビオ・ビエイラ~起用法徹底考察~
シティがハーランド獲得を早々に発表し、ヌニェスのリヴァプール行きも決定、スパーズはフォースター、ペリシッチの獲得を決め、さらにはアーセナルにラブコールを送り続けたビスマにも手を出し、あっという間に合意までまでもっていく一方で、我らがアーセナルはというとサンパウロからマルキーニョス獲得を決めた以外はティ―レマンスとの個人合意の報道が少し出た以外ではジェズスがだんだん値上がりしていることくらいしか話題が無く煮え切らない日々を過ごしていた。
そんな中、文字通り降って湧いたのがポルトのファビオ・ビエイラ獲得の噂だ。
うわさが出るとあっという間にロマーノ氏から合意報道まで出てくるスピード感であっという間に話をまとめて見せた。
補足すると、この文章を書いている段階でジェズスも合意間近、ティ―レマンスも決まりそうなところまで来ている。
オフシーズンまでジェットコースターのようだ。
ファビオ・ビエイラのプレースタイルと起用法を考察していこうと思う。
もくじ
プレースタイル
21/22シーズンのファビオ・ビエイラは27試合出場(15試合先発)でトップ下と2トップの一角でのプレータイムがそれぞれ500分前後で、どちらも同じような役割でのプレースタイルだった。
守備ではDisrupt(タックルなどの相手の保持を断ち切るプレー)、Recover(インターセプト)の数値がともに高く、守備の量と質のバランスに目を向けると量は平均より低いくらいで質は平均以上の数値で効率よく守備をするタイプだ。
数値に差はあるが、ウーデゴールと傾向としては似ている。
攻撃面を見ると、攻撃への貢献は決して高くないが、ウーデゴールも似たような数字なので心配する必要はない。
プレー精度は平均程度だが、ショートパスよりもゴールに向かう長いパスを好む選手であることを加味すれば十分な数字に感じる。
ショートパスによる連携も平均程度にはこなすが、それ以上にゴールに直結するようなパスを好む傾向にあり、ドリブルによる前進やエリア内への侵入の頻度は高くなくクラシカルなトップ下の雰囲気を醸し出している選手だ。
また、空中戦も平均程度にはこなせることに加えてボール非保持時の地上戦の強さも評価できる。
チャンスクリエイト数やパス本数、成功率ではウーデゴールが上回っているが、ロングパスの本数、精度ではファビオ・ビエイラが上回っており、特に本数については2倍弱の開きがあり、それぞれのスタイルが色濃く出ている。
自陣・敵陣でのパス本数についてはリーグ内の立ち位置による部分もあると考えるので両者の評価に特別な影響を及ぼすものではないだろう。
前、横、後ろ方向へのパスの本数も前へのパスはファビオ・ビエイラ、横・後ろへのパスはウーデゴールの方が多く、リーグでの立ち位置の影響も考えられるが、これはボールを受ける位置が影響している部分もあるので、この後詳しく考察していく。
デュエル関連のスタッツの多くでファビオ・ビエイラが上回っており、特に1対1での突破の回数ではファビオ・ビエイラが大きく上回っている。
突破率ではウーデゴールの方が高い数字だが、ファビオ・ビエイラの方がボールを持った時積極的に自分で仕掛けるタイプと見ていいだろう。
ファビオ・ビエイラのプレー集を見て感じたのはトップ下としてライン間で受けてからのラストパスや仕掛けもできるが、ライン間より少し前、相手の中盤の前で受けてそこから1本で決定機につなげるようなパスを出すことも多く、これがSmarterScoutでのPass toward goal(ゴールへ向かうパス)の数値の上昇とスタッツの前方向へのパスが多いことにつながっているように感じる。
ウーデゴールのヒートマップと比較すると右サイドに専念している分低い位置から高い位置まで色濃くなっている一方、2トップの一角やトップ下としてより自由を許されているファビオ・ビエイラは広範囲に顔を出しているが、色濃くなっているエリアが全体的に少し低い位置に分布している。
これもおそらくライン間でしっかり待つよりも相手の中盤の前まで下りてきてパスを受けているからだと考えている。
プレー集を見るとパスを受けて相手を置き去りにしたり、前を向いてから1本のロングスルーパスで決定機を演出するか自分で仕掛けてライン間に侵入するプレーが目立っていたが、それが許されるほどプレミアは優しい世界ではない。
左足のキック精度や足元のテクニックと創造性は目を見張るものがあるが、プレミアではボールを受ける位置で苦戦を強いられそうな予感がする。
また、ボールを受ける位置についてはずっと治らない選手もいるが、監督の指導で改善する選手もいること、ウーデゴールも全く降りてこないわけではなく、降りる位置さえ工夫すれば全くダメな訳ではないことも同時に覚えておいて欲しい。
それはそれとして相手の視野の中で背を向けてボール受けて強引に前向こうとするプレーはどうかと思うけどね。
起用ポジション考察
もっともオーソドックスなのは本職のトップ下のままウーデゴールを休ませるためにEL中心にリーグ戦でもローテーションしつつ起用して右ハーフスペースでのプレーをベースにする形です。
低い位置に降りてくる場所をサカがSBを、冨安が相手のWGを引き付けて空いたスペースに限定することで前向きにボールを持ってそこからの長いレンジのパスでのゲームの組み立てを活かしつつ、プレミアへの適応を促せる起用法になるんじゃないかなと考えられる。
いきなり悪癖を完全に矯正することは難しくてもこの形なら徐々に直していけるのではないだろうか。
また、右足もいいキックを持っててロングスルーパスを好むので、ファイナルサードではサカがハーフスペースに入る分ファビオ・ビエイラがサイドに流れることでサカをゴールに近づけつつファビオ・ビエイラのキック精度も活かせる形になるだろう。
もう1つの可能性は4-1-2-3のIHか4-2-3-1の左ボランチでジャカの代わりに起用するという攻撃的なオプションだ。
プレースタイルのところでも書いたように、ライン間より手前に降りてきてボールを受けたがる傾向がある。
それなら、その位置で受けられる役割を与えるというのも1つの手ではないだろうか。
図のようにマルティネッリが外から斜めに入って行き、代わりにティアニーが幅を取ってファビオ・ビエイラが3列目に降りて低い位置からのロングスルーパス1本で裏に出す形もありだと思う。
この形の難点はシンプルにプレミアで戦う体の出来ていないファビオ・ビエイラにボランチとしての守備を任せるのが不安という点だ。
守備ができないタイプではないし、むしろ守備のやり方は理解している選手だが、プレミアの選手と競り合った時に当たり負けしたり切り替えの強度でワンテンポ遅れて穴になるところがイメージしやすいのが難しい。
ELやプレミアでの下位のチーム相手なら試すのもありだが、同格以上を相手にすることは厳しいだろう。
おわりに
冬の時点で決まっていたGKのターナー、今夏サンパウロからの加入のマルキーニョスに続く3人目の補強だが、欧州でも注目の選手としてはライバルに少し遅れを取ったがアーセナルにとっての今夏の補強1号とも言える。
まだまだ不安要素もあるが、それを覆せるポテンシャルを持っていることも事実だ。
スタートはウーデゴールの控えからになるだろうが、少ない出場機会をものにしていって欲しい。
エジルに見惚れてグーナーになった人。18/19シーズンから戦術ブログを開設してリーグ戦全試合のマッチレビューを投稿している戦術系グーナーです。