【マッチレビュー】クリスタル・パレス対アーセナル「アルテタの成長」
先日、クリスタル・パレスのロイ・ホジソン監督が勇退を発表。
イングランドではFA杯決勝から有観客での試合を再開、プレミアリーグでは最後の2節は観客を入れて行うことになりホジソン監督にとってクリスタル・パレスでのホーム最終戦は観客の前で試合をできることになりました。
一方のアーセナルは上位陣のPL毎年恒例欧州カップ行きのチケットの壮絶な譲り合いの影響で他会場の結果次第ではEL出場できるかもしれないという状況で負けられない1戦となっています。
プレミアリーグ第37節クリスタル・パレス対アーセナルのマッチレビューです。
クリスタル・パレス1-3アーセナル
もくじ
両チームのスタメン
前節はお休みしていた正GKグアイタはスタメン復帰。
エゼは練習中のアキレス腱の負傷で離脱、年内絶望と報道もされており、パレスの今後を担う選手なのできついですね。
トムキンスのスタメン復帰に伴いCBを務めていたクヤテは本職の中盤でこの試合はスタメン出場となっています。
チェルシー戦ではCB3人起用の3バックを採用していましたがパレス戦では普段の4-2-3-1に戻してきました。
また、ベジェリンは残り2試合を欠場の見込みでチェルシー戦の途中出場がアーセナルのユニフォームを着て戦う最後の機会になるかもしれないとのことです。
長年貢献してくれた選手が最後にファンの前でプレーを披露できないのは残念ですね。
ボール保持時3-2-5
アーセナルのボール保持時は4-2-3-1から右SBのチェンバースが上がらない左肩上がりの3-2-5で敵陣に押し込んだらチェンバースがオーバーラップをする形を引き続き採用しています。
この試合のエルネニーとトーマスのダブルボランチは斜めに展開するパスを多用し、サイドからの崩しを狙っていました。
右サイドはペペが大外で幅を取り、内側に視野を取った角度から仕掛けてスミスロウがその大外に流れて代わりに幅を取ったりニアゾーンランをしてDFを引っ張るランニングをすることでペペがカットインするためのコースを提供していました。
この試合のぺぺはゴールゲッターとしても素晴らしかったですが、ドリブラーとしてはスミスロウのサポートもあり右サイドで時間を作れる存在になっていました。
大外とハーフスペースを2人で入れ替わりながら活用していた右サイドと違い、左サイドは大外がティアニー、ハーフスペースがサカで基本は固定で崩していました。
先制点のシーンは最初ティアニーが大外でパレスの守備2人を釣りだし、その背後をサカが走り込みヒールでティアニーに戻してティアニーのクロスにペペが合わせて先制ゴールを決めました。
右SBチェンバースのポジショニング
チェンバースは最近はビルドアップ時には高い位置を取らず3バックの一角として振舞っていて、ボール保持時のバランスはとれてますし、狙いは良いですがチェンバースの立ち位置は改善の余地があります。
3バックに可変する時でも4バックのSBのように開きすぎた位置にいることが多いのが気になりました。3バック化した時に開きすぎると最終ラインの横の距離が間延びして前線からのプレスのリスクにさらされます。
そして、タッチライン際まで広がると前線のぺぺに対してのパスコースに角度がつかず、ペペが前を向いてボールを受けにくいことも難点です。
また、ライン間で待つスミスロウへのパスコースを通しにくくなります。
ビルドアップ時はもう少し内側にポジションを取ることで、ライン間で待つスミスロウとその手前のトーマスという選択肢もありますし、ドリブルで持ち上がって相手守備を釣りだしてから楔のパスを通すこともできるでしょう。
チェンバースは低い位置での立ち位置を改善すれば右SBとしてアーセナルでも今後も立場を確立できるのではないかと思っています。
アルテタの交代策と二次的な修正
65分にウーデゴール、78分にジャカとマルティネッリを投入し、4-2-3-1から4-3-3に変更、ビルドアップ時はそれまでは低い位置でプレーしていたチェンバースが高い位置を取り、左SBのジャカが低い位置に残りエルネニーが1アンカーになるビルドアップの形を採用。
パレスは守備時は4-5-1からザハが守備時は2トップに入る4-4-2に変更、これにより1アンカーのエルネニーは2トップに抑えられ、中央からの前進が難しくなりました。
また、スミスロウとウーデゴールの2IHがライン間で受けるためにはCBからの楔のパスしか選択肢がなく、パレスのダブルボランチの守備は整理されて守りやすくなった印象です。
そのためスミスロウとウーデゴールはパスを引き出すために低い位置に降りてくるしかなくなり、前線の人数を増やして攻撃的にしたはずなのに前線に人数をかけられないという状況になっていました。
そこで、ジャカが1列上がりチェンバースが3バックの右に入る3バックと2ボランチ、前線の幅取り役がペペとマルティネッリという攻撃的な3-2-4-1にシステムを変更。
この変更で、スミスロウとウーデゴールのもとにパスを届ける選択肢がCBからの楔のパスとボランチを経由して届ける選択肢が生まれてパレスのボランチにアーセナルの2ボランチを抑えるために前に出るかライン間のスミスロウやウーデゴールを抑えるために残るかの2択を強いることができます。
その結果、3-2-4-1に変更後は再びウーデゴールとスミスロウが高い位置でボールを受けられるようになった印象です。
まるでエジル
ウーデゴールのエジルを彷彿させるようなアシストにマルティネッリが斜めに走り込みゴールを決めて勝ち越しに成功。
内側の選手ではなく一番外側のマルティネッリを見逃さず、しかもGKとDFの間に落とすようにコントロールされたパスはまさしくエジルのそれです。
それから、エルネニーがウーデゴールの内側を上がっていきシュルップはそれが気になり一瞬スペースが生まれたたことを考えるとエルネニーのフリーランも見事でした。
そして、あの位置に走り込み冷静にゴールを決めたマルティネッリのストライカーとしての嗅覚は素晴らしいものです。
まとめ
試合終了間際にペペがドリブルで密集を抜け出して左足でゴールを決めて1-3で勝利。
MOTMは2ゴールのぺぺです。
ペペの活躍もですが、この試合はアルテタが試合中に修正ができたというのが良かったですね。
交代選手を投入してのプランはとん挫したことは見逃せませんが、それでも以前ならそのプランをごり押ししてドローかカウンターから失点して敗れていた可能性が高いことを考えるとこれは明確な成長だと言えます。
最終節はブライトンとのホームゲーム、ついにエミレーツスタジアムに観客が帰ってきます。
残念ながらウェルベックはシティ戦で負傷交代しているため出場できるかは不透明です。
そして、ウェストハムがWBAに勝利したためアーセナルのEL出場への道は残念ながら閉ざされてしまいました。
最終節はエミレーツスタジアムのピッチに立つ若手たちも見てみたいですね。
スパスィーバ
エジルに見惚れてグーナーになった人。18/19シーズンから戦術ブログを開設してリーグ戦全試合のマッチレビューを投稿している戦術系グーナーです。