【マッチレビュー】ニューカッスル対アーセナル「アルテタに喝」
もくじ
試合のハイライト
両チームのスタメン
ニューカッスルは前節の5-0と大敗したシティ戦からスタメン1人を変更。
クリス・ウッドに代えてカラム・ウィルソンをスタメン起用してきた。
我らがジョー・ウィロックはシティ戦に引き続き今節のアーセナル戦も負傷によりベンチ外となっている。
アーセナルは前節、屈辱的な敗戦を喫したノースロンドン・ダービーから3人のスタメンを変更してきた。
イエロー2枚で退場となったホールディングに代わり怪我明けのホワイトが起用されたほか、タヴァレスが左SBで起用されスミスロウが左WGで起用されている。
それに伴い日本代表DF冨安は普段の右SBに戻っている。
左サイドのこの並びはボールを握って押し込みたい狙いだろう。
冨安負傷の要因の1つ
ニューカッスルは4-3-3の布陣から可変をするわけではなく、冬に加入したギマランイスの展開力を活かして前線のカラム・ウィルソンやサン=マクシマンで崩す形だった。
アーセナルは対4バックで4-4-2の前プレスでエンケティアがCBにプレスをかけるとウーデゴールもCB→ギマランイスのパスコースを切りながらプレッシャーをかけにいき両WGは内から外に追い出すプレスをかける形を採用。
後ろからのスライドもエルネニーが待機しつつジャカがスライドする形だったが、問題だったのはアンカーのギマランイスを後ろから捕まえられない形だったこと。
いかにウーデゴールがパスコースを切っていてもその後動き直されたらプレスは剥がされるため、ここでギマランイスに自由に前を向いてボールを持たれていたのはこの試合のアーセナルにとって致命的だったと言える。
そして、ウーデゴールのプレスを回避されたところからのギマランイスの展開を許し続けた結果、広いスペースで受け手になれるサン=マクシマンとの1対1で振り回された冨安はハムストリングを負傷、途中交代を強いられる結果となった。
また、冨安はサン=マクシマンに苦しめられ、結果負傷交代に追い込まれたが、それ以外にも右に左にサイドに流れてタメを作るカラム・ウィルソンにもこの試合には良いようにやられていた。
ハイラインの守備を敷く以上後方には広いスペースが広がり、蛇口を全開にした状態で水を出しっぱなしにしたらどんな桶でもいつかは水があふれるのと同様にボールの供給が止まらない以上ジリ貧になるのは明白であった。
ギマランイスのところに後ろからのスライドができない構図ならば、4-4-2のプレスから4-4-1-1のプレスに切り替えてウーデゴールをギマランイスのマンマークで自由にさせず、エンケティアはCB間を切って同サイドに圧縮する形を取れれば、ニューカッスルの4-1-2-3のビルドアップに対して4-4-1-1でハメに行くこともできたのではないだろうか。
左サイドのチグハグに喝
この試合、ビルドアップ時に左サイドは仕組みの面で上手く行っていない時間が多かった。
ニューカッスルの前からのプレスでスムーズに前進できなかったここともあるが、それでもタヴァレスが低い位置にいたままスミスロウが中に入ることで幅取り役がいなくなりスムーズに前進できていないシーンはかなり気になった。
左からチャンスになりそうなシーンは決まってタヴァレスが裏を狙う動き出しをして、そこにガブリエウがフィードを通す形だった。
しかし、このタヴァレスが高い位置でプレーする時間よりもスミスロウが外に流れるか、幅取り役がいない中で中央に入ってくることでビルドアップが機能しない時間の方が長かった。
マルティネッリ投入直後に先制を許したことでニューカッスルがいくらか後ろ重心になったことも影響しているが、タヴァレスが継続的に高い位置を取るようになり、それに伴いWGのマルティネッリは中に入る時間が増えた。
この試合、マルティネッリのコンディションは決して良いとは言えず、スミスロウがプレーしている時間帯からタヴァレスが高い位置を取れていればもう少しチャンスが増えていたかもしれない。
その後は、タヴァレスを下げてラカゼット、ガブリエウを下げてぺぺを投入する捨て身の策に打って出るが、時間を追うごとにチームのバランスは悪化し、85分には2失点目を喫する始末だ。
タヴァレスは低い位置でのポジショニングもそうだが、トラップが大きくなり、奪われるシーンもあり、明らかにこの位置でのプレーは向いていない。
ガブリエウも中央に寄りすぎるきらいがあり、ただタヴァレスを高い位置取らせただけでは今度はパスコースが無くなっていただろう。
なら、ジャカをガブリエウの外に開かせてタヴァレスを押し上げさせて左で起点になる形でよかっただろう。
これはただの妄想ではなく、ジャカが左から起点になる形は以前流行っていたのに、なぜ相手の形や左SBの適性に合わせて使い分けなかったのか。
中途半端な対応に喝
55分になぜかタヴァレスのファールスローを取られ、ニューカッスルボールで再開すると左サイドに展開、大外少し降りて受けたサン=マクシマンに釣られるようにセドリックが前に出るが、中途半端に出ていった結果、サン=マクシマンにプレッシャーがかかるわけでも無く、背後のスペースはがら空きの状態になり、そのスペースに走り込んだジョエリントンへのパスを許した結果、サイドをえぐられてからのクロスはホワイトのオウンゴールを誘発、先制点を許してしまった。
そもそもなぜついて行ったのか、いや、ついて行くこと自体はまだいい。
問題なのはあの緩さだ。
あれではついて行った意味が分からない。
飛び込んでかわされることを恐れたのかもしれないが、それにしてももう少し寄せるべきだった。
最悪、イエロー覚悟でも潰しに行くくらいでよかっただろう。
ノースロンドン・ダービーのPK献上は頑張ろうとした結果だったから、気迫は見せていたから擁護できた。
だが、このプレーは無理だ。
おわりに
まさかの2連敗、いや、まさかではなく必然だったのかもしれない。
勝てば4位フィニッシュ確定のノースロンドン・ダービーで完敗、メンタル的にもフィジカル的にも立て直し切れないまま乗り込んだセントジェームズパークでも完敗だ。
これで、自力での4位フィニッシュは消え、アーセナルは最終節のエヴァートン戦に勝利することは前提というか必須として、ノリッジがスパーズに勝利するというウルトラCを願うしかなくなった。
少し話題になっているジャカのインタビューの件だが、30という数字が入っていて17や19が入っていない時点で年齢が背番号の暗喩というのはナンセンスだ。
むしろ、エンケティアはこの試合トップクラスに頑張っていた。
それから、「監督のプラン通り動かず自分勝手に動いた」というところに関しては、虚を突かれた結果普段なら監督のプラン通りできていたことができなくなりてんぱった結果に感じる。
今シーズンの前半戦の一時期、リードした途端ボールを持つのを恐れるようになり、そこから取りこぼしが続いた件、この試合同様に相手の強烈なプレスに戸惑いいつもと同じようなビルドアップができなくなった4月のクリスタル・パレス戦。
今のアーセナルは選手が想定外の事態に陥った時に自分たちのプレーを見失う傾向があり、チームの若さが弱点として露呈する典型例だろう。
と、まぁこの試合は選手もやらかした、しかしアルテタもやらかした。
ギマランイスを野放しにした件、タヴァレスの立ち位置、捨て身のファイヤーフォーメーション(冨安だけでなくスミスロウ、ガブリエウもケガが原因の交代との話もあるが)、多分采配に関しては今シーズンで1番理解不能なレベルでやらかしている。
この試合の主審を務めたダレン・イングランドも申し訳ないが褒められたジャッジじゃなかった。
アンソニー・テイラーを見習ってほしい。
しかし、それ以前の問題だ。
この試合に関しては例え審判がまともだったとしても結果は変わらなかった可能性が高い。(ファールスローの件はあるけどそれでもどこかで流れからやられていただろう)
ジャカの言う通りこの試合のプレーはCLにはふさわしくなかった。
なら、せめて最終節ではエミレーツで少しでも今シーズンを通して成長した姿を見せて終わってほしい。
そして願わくば、その試合の前にノリッジが奇跡を起こし、カナリアが鶏を倒すところを見せて欲しいものだ。
エジルに見惚れてグーナーになった人。18/19シーズンから戦術ブログを開設してリーグ戦全試合のマッチレビューを投稿している戦術系グーナーです。