【マッチレビュー】アーセナル対ブライトン~屈辱にまみれた敗戦~
皆さんこんにちは。こんなに胸糞悪い試合は初めてですよと、中の人です。去年のEL決勝も屈辱的な配線でしたが、今回はそれ以上にやり場のない怒りや降り注ぐ理不尽に対してはらわたが煮えくり返っております。モペイとアホキンソンに処分が下るのを祈りつつマッチレビューをやっていきましょう。
ちなみに嫌いな生き物はカモメです
アーセナル1-2ブライトン(H)
・得点者:68′ペペ(アーセナル)、75'ダンク(ブライトン)、90’+5モペイ(ブライトン)
・途中交代
アーセナル:40’マルティネスinレノout、78’エンケティアinラカゼットout、87’ティアニーinサカout、ウィロックinセバージョスout、ネルソンinペペout
ブライトン:46’マーチinムーイout、71’モントーヤinスケロットout、コノリーinグロスout、87’スティーブンスinトロサールout、90’+4アリスターinビスマout
・前半-1 4-1-2-3からの可変ビルドアップ
ビルドアップにおける重要な役割を担っていたジャカを欠くアーセナル。アルテタはこの試合4-1-2-3を採用してきました。そして、話題のサカのIHでの起用も見られました。サカのIH起用の考察の記事は下記リンクから飛べますので良ければどうぞ。
ジャカが普段やっていたビルドアップ時左CBですが、この試合では最終ラインが右肩上がりになり、コラシナツ親方が担当していました。そうして、3+1のひし形でのビルドアップからスタートします。+1の位置に入ったゲンドゥージはこの試合での出来は良かったですね。後半は違う形でのビルドアップもありましたが、そっちでも自分の役割を全うしていましたし、スタッツ面ではパス成功率92.9%、ロングパス成功3本に加え、インターセプト1回も記録していました。
さて、その前方に目を移しましょう。攻撃時3-2-5(3-3-4)の左右で少しメカニズムが違っていました。まずは左から見ていきましょう。
左ではオーバがWGの位置から中に侵入していき、その外にサカが流れていく見慣れた形です。相違点としてはサカがこの試合ではIHの位置から左の大外に流れていたことです。
次に右サイドですが、右サイドはペペが大外に位置取り、セバージョスがハーフスペースに侵入、その後ろにベジェリンが偽SB的な感じで中央に絞り、トライアングルを形成していました。ペペが大外で仕掛けてSBを釣り、セバージョスがハーフスペースのCB-SB間でボールを受けやすいメカニズムになっています。
9分のベジェリンからセバージョス、セバージョスの浮き球パスにペペが抜け出したシーンは最後ベジェリンがパスを受けてエリア内に侵入して、終わってしまいますが,このシーンの崩しは良かったですね。右サイドのトライアングルからの崩しは他にもベジェリンからペペへのパスが通るシーンもありましたし、現状チームで一番ドリブル突破の可能性が高い選手に良い位置で勝負させてあげられるのは良いですね。
このシステムの問題点は、快足を飛ばしてのオーバーラップが持ち味のベジェリンですが、そのオーバーラップを活かしにくいのが難点と言えます。また、ベジェリンはこの位置でのプレーはかなり窮屈そうでした。ナイルズが右SB起用を受け入れてくれればこの役割は適任だと思いますが、現実はそう上手く行きません。
・前半-2 アーセナルの守備
アーセナルは前からのプレスの際は4-1-4-1のような形で前の4-1がプレスに行く形に感じました。プレスの手順としては、ラカゼットがCB間を切り、ボールサイドに限定することをスイッチにして、両IHは目の前のボランチを捕まえ、ボールサイドのWGはコースカットプレスでSBへのコースを切りながらCBに圧力をかけていました。逆サイドのWG(図だとオーバ)はSBのケアをしながら少し低い位置にとどまりバランスをとっていました。WGのこのプレスのかけ方は再開後のアーセナルの一つのポイントと言えます。中断前はCFのラカゼットがCB間を切って、そのまま追い掛け回してサイドに追い詰める形でしたが、これはラカゼットの負担が大きすぎるように感じます。ラカゼットがゴールから遠ざかっていたのは守備時にエネルギーを消費過ぎてエリア内でクオリティを発揮できなかったというのは十分に考えられます。現に途中出場の際はゴール決めてましたし。そして、アルテタもその事実に気付いていたからプレスのかけ方に変更点を加えたのでしょう。
しかし、前からの守備だけでは成り立つはずもなく、後方でブロックを固めて守るプランも用意されています。前からの守備と撤退守備で別パターンを用意しているのは鉄板ですね。
さて、中断前は両WGが降りてきてSHになり、ラカゼットとトップ下のエジルで2トップの形になる4-4-2がメインでしたが、この試合では左WGのオーバがラカゼットとともに前残りし、左IHのサカが左SHの位置に流れて、アンカーともう一人のIHがダブルボランチを形成、右サイドはWGがそのまま降りてきてSHになる4-4-2でした。さて、どこかで見覚えのある形ですね、と。
まぁ、答えを言ってしまうと今のバルサの左右逆verです。バルサとの相違点は2トップの守備時の貢献度ですかね。
中断前と違う形を採用してきたのはメンバーによる違いでしょう。オーバはかなりサイドでのアップダウンを頑張ってくれますが、前で守備をしてくれるとカウンターの際は一番槍になってくれますし、この試合の布陣ならサカが左サイドでさぼらず守備をしてくれます。起用する選手ごとで役割を変えてくるあたりはアルテタの見事な手腕ですね。
・前半まとめ
攻撃の形を作れていましたし、アタッキングサードへの侵入をするための道筋を作るアルテタの手腕は見事ですし、サカのクロスバーを叩いたシュートやクロスでラカゼットのヘッドを演出したシーン等ゴールの匂いはしていました。4-1-2-3からの可変ビルドアップや前からの守備とリトリート守備の使い分けなど、アルテタはシティ戦同様見事な準備力を発揮していました。(どっちも予期せぬアクシデントで狂うんですが)
正直試合見ている時は前半終わった時点ではモペイにレノをぶっ壊されて、それに対してアホキンソンがカード出さなかったりで腸煮えくり返っていたわけですが…
・後半-1 ビルドアップの修正
後半に入ってからは前半同様4-1-2-3からの可変ビルドアップを継続していた一方時折サカがサイドにとどまり、セバージョスとゲンドゥージがダブルボランチのような形で4-4-2から、図のような可変ビルドアップの形も見せていました。この形のメリットは前半からやっていたビルドアップだと低い位置でプレーしていた両SBがオーバーラップしやすくなることですね。あとは、オーバやペペがより高い位置で連携をとれるのもメリットになります。
・後半-2 ペペの先制弾
セバージョスが見事なテクニックでグロスに尻もちつかせてかわしサカにパス、サカからペペへのパスが通り、ペペの右45度からのまくような見事なシュートで先制に成功!
これは流石の一言なシュートでした。
・後半-3 失点振り返り
同点シーンのコーナーキックは密集地帯で押し込まれるなんか見たことあるこの形。セットプレーの守備の脆さがずっと直っていません。
屈辱にまみれた逆転シーン。最後はモペイがスルーして裏に抜け出して決めたシーン。そこだけでも完全にしてやられていましたが、それ以上にその前段階でほとんどプレッシャーをかけられていなかったのが問題に感じました。
・後半-3.5 FAは審判の質を改善すべき
さて、レノが負傷交代に追い込まれたシーンやペペが倒されたシーンはじめアーセナルのファールに対しては理不尽なまでに緩かった今日の試合。とはいえ、これに関してはアホキンソンだけの問題ではなく、クレスウェルのペペへのカニばさみタックル(あわや大けが)やFA杯ポーツマス戦でのトレイラへのカニばさみタックル(こちらは大けが)など選手が壊されかねない(壊された例も)危険なタックルに対してカードが出されない事例が相次いでいました(オーバが足裏タックルをしてしまい退場になったことはありましたが、あれは妥当な判定でした)。
それだけでなく今回は流石に度し難い事件がもう一つ起きました。ティアニー交代認められなかった事件です。78分にアーセナルがエンケティアとティアニーを同時投入しようとした際、レフェリーがティアニーに気付かず試合を再開してしまいました。画面から見るにティアニーを投入しようとしていたのをアホキンソンは認識していたのにスルー、ティアニーを投入しようとしたところ交代回数に数えようとしたためアルテタはこの投入を取りやめざるを得ない状況になりました。コロナウイルスの影響による過密日程もあり今季のみ交代人数5人ですが、時間稼ぎ防止のためにハーフタイム以外での交代は3回までと決まっていました。そしてこの試合アーセナルはレノの交代に1回使っており、エンケティアのみで二回目を消費させられてしまうという事態に…結果、87分の3枚替えでようやくティアニーを投入できました。今回ティアニーの投入を見落としていたのは完全に審判側の落ち度なのにもかかわらず、アーセナル側がその損害を被る形になってしまいました。
この件は流石にFAも動くべきだし、審判側からも声を上げてほしい。審判の沽券に関わる問題だと思うので。
モペイとアトキンソンは「心があるべき場所にゴミ箱がある」と思ってる。
・総評
戦術的には上手く行っていたことも多かったですし、アタッキングサードまでのボールの前進のさせ方は今いるメンバーではよくやれている方でした。いままでは試合中基本的には1つのパターンしか見られなかったのが複数パターンを用意しているのがわかったのも今日の収穫ではあります。
ただ、課題も多いです。アタッキングサードまでは配置を動かしたりして運べましたが、アタッキングサードでの崩し、特にサイドでの1対1のクオリティが不足しているように感じました。上手く崩してシュートまで持って行けているシーンでは中央でもサイドでも近い距離で少ないタッチ数でのパス回しを流動的にできてそこからDFラインの裏にパスが出てシュートまで行けているシーンが多かったです。
それに対して、選手の距離感が悪いと、サカやペペがサイドで孤立し、強引に仕掛けてボールロストしたシーンのように1対2以上になり分の悪い仕掛けになっていました。
・あとがき
今回の記事はいかがだったでしょうか。正直、思い出すだけで腸煮えくり返りそうな試合だったと思います。ですが、乗り越えないと前に進めないと思うので今回は腸煮えくり返りながらも記事を書きました。
エジルに見惚れてグーナーになった人。18/19シーズンから戦術ブログを開設してリーグ戦全試合のマッチレビューを投稿している戦術系グーナーです。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません