【マッチレビュー】アーセナル対フラム「困った時に回帰できるスタイル」
アーセナル2-2フラム
もくじ
両チームのスタメン
前半途中からよりゴールに迫れた理由
フラムが試合開始直後、サカのバックパスのミスをアンドレアス・ペレイラが回収しそのまま冷静にゴールを決め先制に成功した。
アーセナルはこれまでの2節と同様にホワイトが右CBから右SBに流れてトーマスが右SBからアンカーに可変する配置を採用、さらにそこからトーマスが最終ラインに降りたことで一時的にトーマス右CB、ホワイト右SBという並びになる。
ホワイトからライス経由でサカに出すもサカは後ろからマークに付かれていたのでサカが右CBまで戻して仕切り直そうとしたが、トーマスが本来の持ち場のアンカーの位置に戻ったことで本来右CBがいる位置に誰もおらず、無人のスペースに転がったボールはアンドレアス・ペレイラの餌食となった。
その後はアーセナルが主導権を握るり押し込むが崩し切れない時間帯が続く。
今シーズンアーセナルがトライしている左右にそれぞれトライアングルを形成し循環を繰り返す3-1-2-4システムだが、前半の途中まではトライアングルの循環と細かい連携からの崩しに固執しすぎているように感じた。
もちろん、決まれば美しい攻撃が完成するが、狭いスペースで瞬間的な連携が求められるため難易度が高く、旋回のタイミングが合わずにパスミスをしたり、途中でパスが引っかかるシーンが多く見受けられた。
しかし、時間経過とともにピッチを広く使う攻撃が増え始めるとアーセナルはより効果的にフラムゴールに迫るようになる。
ビルドアップ時も同サイドで完結するのではなく、右から左、左から右に振ることでフラムのコンパクトな守備を広げてスムーズに前進できていた。
ポジショニングに課題のあるライスとキヴィオルだが、サイドへの大きな展開では持ち味を発揮していた。
そして、ファイナルサードの崩しでも同サイドの瞬間的な連携で崩し切るのではなく、ファーサイドへのクロスで相手にマーカーとボールを同一視野に収めさせないようなボールを入れたり、逆サイドまで展開してそこからさらに折り返すことでフラムの守備陣を揺さぶってマークをずらしてゴール前で決定機を迎えるシーンも作った。
前半の攻撃はいくつか決まってもおかしくないシーンがあったが、枠に飛ばなかったりレノに阻まれて0-1でHTを迎えることになった。
やはり慣れ親しんだ配置こそ
HTにトロサールを下げてエンケティア投入、56分にトーマスとハヴァ―ツを下げてジンチェンコとヴィエイラを投入すると右SBが内側に入る今シーズンからの配置を左SBのジンチェンコが内側に入る昨シーズンの配置に変更した。
すると、アーセナルの選手たちは今から試合が始まったかのように動きに活力が漲っていた。
全員が手探りな中で動いていた配置からだれがどこに動けばいいかを理解している配置に変わったことで迷いが消えたのだろう。
右サイドはサカの仕掛けとホワイトのオーバーラップから、左サイドはジンチェンコのキャリーや大外のマルティネッリの仕掛けからゴールに迫る。
また、途中出場のヴィエイラの動きもこの日はかなり良かった。
ライン間で我慢しつつ低い位置に顔を出してビルドアップをサポートする動きも良かったほか、ニアゾーンランも積極的に行い、同点ゴールのPKを獲得したのもヴィエイラだった。
その後、高い位置で奪い返した流れからヴィエイラの針の穴を通すようなクロスにエンケティアが合わせて逆転に成功。
試合はその後フラムのCBのベッシ―がカウンター阻止のプロフェッショナルファールでエンケティアを倒してイエロー2枚目を貰い退場するもCKから同点に追い付き、その後もアーセナルは押せ押せムードで攻め込み、ヴィエイラのバイシクルシュートやウーデゴールのミドルシュートなど惜しいシーンはあったが、かつてのアーセナルの守護神レノがシャットアウトフラムにとっては嬉しい、アーセナルにとっては悔しい勝ち点1を分け合う結果に終わった。
おわりに
まだまだツッコミどころはあるが、キヴィオルとライスはそれぞれ前起用した時よりも、前の試合よりも成長しているのはチームにとってはプラスだ。
また、常々自信が付けば確変に入るだろうと思っていたヴィエイラに自信が付いたのは個人的にうれしい限りだし、次節はスタメンで見たいと思う。
また、後半に昨シーズンの配置に戻して上手く行ったことでアルテタにもチームにも迷った時に回帰するべきスタイルを認識できたのは長い目で見た時にプラスになるだろう。
エジルに見惚れてグーナーになった人。18/19シーズンから戦術ブログを開設してリーグ戦全試合のマッチレビューを投稿している戦術系グーナーです。