【考察】アーセナル×ユリアン・ティンバー「見事な1本釣り」
ティンバーがユナイテッドの試合を観戦していたことで昨夏に引き続きユナイテッドがティンバー獲得に動くと見られていたが、実際に動いたのはアーセナルだった。
アヤックス側の要求額は£50mだったが、£34.2m+アドオン£4.3mの総額£38.5m(€45m)で決着した。
右CB、右SBでのプレーが期待されるティンバーのプレースタイルと起用法を考察していく。
もくじ
プレースタイル
今シーズンのティンバーは右CBメインでプレーし、ゴール期待値への貢献度、プレー精度、守備の量・質、どれも高い数値を記録している。
空中戦が弱点になるが、地上でのデュエルは非保持時の強さが際立つ。
守備のスタイルはタックル、インターセプトともに平均以上の意識の高さを記録している。
スタッツではタックル数は平均以上のスタッツを記録しているが、注目するべきはエリア別のタックル数だ。
アヤックスのスタイルとリーグ内での立ち位置の影響もあるが、リーグ内でのタックル数の位置付けがファイナルサード>ミドルサード>ディフェンシブサードとなっており、高い位置でのタックル数の多さが際立っており、非保持時のデュエルの強さと併せて前からの守備への連動性の高さが期待できる。
また、% of dribblers tackled(ドリブラーへのタックルの成功率)とChallenges Lost(ドリブラーへのチャレンジの失敗数の少なさ)も高い数値を記録しており、前を向いた相手への対応力の高さも評価できる。
ビルドアップ時はショートパスによるビルドアップの意識とキャリー意識がかなり高い一方で、ロングフィードによる展開の意識は高くない。
ロングフィードの本数は少ないが、精度は低くなく、苦手というより長いキックを使う機会が無かったのだろう。
パス精度、プログレッシブパス数、パスによるファイナルサードへの侵入、キーパス全て高いレベルにある。
ボールタッチ数、キャリー数、プログレッシブキャリー数、1対1の突破成功数と成功率においても高いスタッツを記録している。
CBの位置からホワイトのように正対を挟んでキャリーして切り崩していくことも得意な上に360度からプレスを受けるような状況でボールを受けても動じずに相手をいなせそうなのはアーセナルでそのままホワイトのコピーでは終わらなさそうで期待ができる。
起用法
ティンバーは右SBからホワイトと同様にそのまま右のインサイドバックに入る形も可能だと思うが、大外のレーンの使い方はホワイトに軍配が上がる。
それならボール保持時は右でジンチェンコのタスクを任せる方がティンバーの良さを引き出せるだろう。
ボール保持時はアンカーの脇に入り、相手を引き付けてCBにキャリーのスペースを提供しつつ、狭い所でボールを受けてから相手をはがして運び、ファイナルサードへのパス出しが期待できる。
この位置ならロングフィードで左サイドへの展開も見られるだろう。
また、ネガトラ時にトーマスと中央の広いスペースをカバーするフィルター役になれるだけのアストリーと能力も有しているため、ボール保持以外の局面でもアーセナルのボール保持の安定に貢献してくれそうだ。
ネガトラ時は前線の選手がパスコースを制限するプレッシング、トーマス、ティンバーがアバウトなパスをインターセプト、残りのバックライン3人が裏へのボールの対処と相手CFとの競り合いを担当する形でさらにネガトラ時の安定感が増すだろう。
おわりに
ハヴァ―ツ、ライスに続きティンバー獲得、それもメインターゲット全て7月に決着となれば近年で最高の移籍市場となる。
特に、ティンバーは1本釣りに加えて当初の要求額を下回る額でまとめたフロントの仕事ぶりは高く評価できる。
サリバ、ネルソンの契約延長も発表され、向こう数年の勝負のシーズンに向けての準備が進んできており、新シーズンが楽しみだ。
エジルに見惚れてグーナーになった人。18/19シーズンから戦術ブログを開設してリーグ戦全試合のマッチレビューを投稿している戦術系グーナーです。