【マッチレビュー】アーセナル対チェルシー「サッカーは相対評価のスポーツ」

2023年5月3日

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アーセナル3-1チェルシー

両チームのスタメン

ホーム、アーセナルは前節ミッドウィークにシティとの首位決戦で1-4の大敗を喫したところからスタメン3人変更してきた。

キヴィオルは左利きながら右CBとしてプレミア初スタメンを飾っている。

アウェイ、チェルシーは前節ミッドウィーク開催でブレントフォードに0-2で敗れたところからスタメン2人を変更した。

ジョルジーニョとオーバメヤンはそれぞれ古巣対決となった。

よくないアーセナルと最悪のチェルシー

試合開始から大方の予想通りアーセナルがボールと主導権を握る展開で試合が進む。

アンカーのジョルジーニョが最終ラインに降りてホワイトを押し上げつつ自分で右の展開を担っていた。

直近数試合のこの形の問題点はウーデゴールが3列目に降りてくることでサカが孤立することだったが、この試合ではチェルシーの前からのプレスが機能していなかったこともありウーデゴールがライン間で我慢できていたことで右からの崩しが機能していたように見える。

チェルシーの前からの守備はカンテが1列上がって4-4-2の配置で前からの圧力を強めるか4-1-4-1気味でコヴァチッチとカンテがジンチェンコとジョルジーニョを見るような配置になっていたが右はジョルジーニョの列落ち、左はガブリエウがワイドに広がることで容易にプレスを回避できていた。

また、押し込む時間帯が増えて自然と2-3-5の並びになり、チェルシーの撤退守備の4-5-1でアーセナルのバックラインにプレッシャーがかからなかったことも理由の1つだろう。

そして、チェルシーのチーム状況の深刻さを象徴するのが失点シーンだ。

3失点ともクロスからの失点だったが、特に最初の2失点が典型的だ。

アーセナルの1点目、2点目は共にジャカのクロスにウーデゴールが合わせたゴールだったが、どちらもDFラインを押し下げるランニングもあり、ウーデゴールがマーカーの背後から顔を出してマイナス気味のクロスに合わせるものだったが、全くと言っていいほどウーデゴールを捕まえられていなかった。

人数はエリア内にそろっていたが誰が誰を捕まえるかが全く見えてこず、決められた後もお互いが責任を押し付け合っているような様子だった。

もう1つチェルシーの深刻さを象徴するのはネガトラのシーンだ。

ネガトラの瞬間に抑えるべきコースを全く抑えられていないのはランパードの問題でもあるが、それ以前に強度が低い。

全員が即時奪回を目指すわけでも無ければすばやく自陣に撤退するわけでも無くひたすらに切り替えが遅かった。

アーセナルの前からの守備は2トップがチェルシーの2CBを捕まえに行く形で、エンツォ・フェルナンデスをジャカが抑えジョルジーニョもコヴァチッチを捕まえにいつも以上に前に出てきていた。

チーム全体で前がかりになり、CBの手前のスペースがかなり不安になる配置だったが、このエリアを有効活用されることはほとんどなかった。

最前線のオーバメヤンは前線に張りっぱなしだが、競り合いやポストプレーではガブリエウ、キヴィオルに対して分が悪く全くボールが収まらず、結果としてボールタッチ9回で前半を終えHTにベンチに退くことになった。

アーセナルのこの試合のネガトラは縦のコースを真っ先に抑えてディレイするという原則は徹底されていたが、1番いい時と比較すると強度の面で見劣りするように見えた。

（それでも最低限の強度の高さは保っていたが）

低い位置での守備の緩さから撤退した時に後手を踏むシーンも多く、失点シーンもジンチェンコのマークの担当だったが完全に置き去りにされ、結果としてガブリエウが釣り出されている。

この辺りの緩さはチェルシー相手のこの試合はしっぺ返しを食らわなかったが、次節のニューカッスル、その次のブライトン相手には許されないだろう。

おわりに

この試合ついにプレミアデビューを飾ったキヴィオルだったがまさかの右CBとなった。

コラシナツを左CBに置いてまで利き足CBにこだわったアルテタが右CBに左利きのキヴィオルを起用したから驚きだ。

守備対応では空中戦、前に潰しに行く守備、前を向かせない守備ではこの試合では合格点のクオリティを見せてくれた。

その一方でボール保持では厳しいプレッシャーに晒される場面はなかったが、ガブリエウへのパスを出す時にがっつりとガブリエウに向いてパスを出すシーンが多かったことが気になる。

前からのプレスを仕込める相手にそれをやってしまうと同サイド圧縮のプレスの起点になりやすく、ピンチにつながりやすいだろう。

ただ、ホールディングとどちらがいいかと言われればビルドアップ時の不安はあれど守備面でのプレーを考えたらキヴィオルを選びたい。

もう１つ気になるのは後半途中にハムストリングを痛めた素振りを見せて、その後足首も痛めて負傷交代したガブリエウだ。

ガブリエウにいてもらわないと困るが、ガブリエウ不在の場合はティアニー/キヴィオル/ホワイト/トーマスの4バックがベストだろう。

再び暫定首位に返り咲いたが、以前シティが優勝争いをリードしている。

アーセナルにできることは勝ち続けてシティが取りこぼすのを祈ることだけだ。