【マッチレビュー】アーセナル対ウェストハム「パターンの使い分けの難しさ」
アーセナル3-1ウェストハム
もくじ
両チームのスタメン
アーセナルはジェズスと冨安がケガの影響でベンチ外、直前のルートンタウンとの親善試合を怪我でベンチ外となったジンチェンコが復帰してベンチスタートとなった以外はベストメンバーで挑んできた。
ウェストハムはスカマッカとアントニオがそろって怪我という事前情報だったがアントニオが間に合いスタメン出場、CBはレギュラーのズマとアゲルドが怪我で間に合わずドーソンとケーラーのコンビとなっている。
前半の問題点
アーセナルは冨安負傷、ジンチェンコも怪我明けということでティアニーがスタメンで起用されたが、親善試合ではティアニーがそのまま偽SBの役割をこなしていたためこの試合もそうなると予想していたが、この試合ではティアニーが高い位置で幅を取る3-2-5の形のビルドアップでスタートした。
その後、試合の中でティアニーが内に入るパターンも併用していたためティアニーの特徴に合わせた変更というよりWボランチをしっかり抑えるウェストハムの4-4-2の守備に対して3バックで運びやすくするための3-2-5を採用したと考えられる。
そして、実際に前半からCBがボールを持つ時間が長かった。
また、トーマスがクロースロールで右に列落ちしてホワイトが幅を取る立ち位置の3-2-5という新しい形も披露してきた。
その中で誤算だったのはトーマスのコンディションの問題からか複数の可変を使い分けたことで判断に迷いが生じた影響なのかトーマスがアントニオの前まで下りてCBからボールを受けることが多かった点だ。
トーマスがアントニオも前まで下りてしまうとウェストハムの守備ブロックの中から起点になることができずウェストハムは中央の封鎖が容易になり守りやすくなってしまう。
クロースロールで降りきった場合は右インサイドバックとして2トップの脇を持ち上れたり、右サイドのポジショニングの循環で3-2-5を維持できるため守備側の目線を変えるために有効だが、中途半端に下りた所で受けるとアントニオのプレッシャーを受けやすくなる上にホワイトも後ろにいるため、後ろ重心になるだけになってしまう。
結果、幻の先制点もありボールこそ握っているもののウェストハムの守備ブロックを崩し切れなかった印象の前半になってしまった。
後半の修正
前半終了間際のハンドによるPKがVARによって取り消されて結局1点ビハインドで折り返すことになったアーセナルはHTを経てわずかな修正を施した。
前半はアントニオの前まで下りていくことの多かったトーマスをFW-MF間で我慢させることによってウェストハムの4-4-2のブロックの中にも起点になりつつ、レイオフを受けて前進しやすい立ち位置に立てるようになったことでアーセナルの攻撃の停滞感が払しょくされた。
さらに、後半の早い時間帯に追い付いたことでウェストハム側も2トップがCBにもプレスに行く頻度が増えてより一層トーマスを起点にした展開がスムーズになった。
即時奪回の重要性
アーセナルはこの試合15回のタックルを記録し内、11回を敵陣で記録している。
試合を通してボール保持からの即時奪回が安定しており、特に前半は押し込んで中央の狭いスペースを攻略しようとしてひっかけても敵陣で奪い返すことでカウンターの芽を摘んでいた。
そして、同点ゴールと逆転ゴールも敵陣での回収からの崩しだった。
おわりに
アーセナルが終始ボールを保持して後半に立て続けに同点、逆転、追加点と力の差を見せつけて再開初戦を勝利で飾った。
3点目はジェズス離脱で代役としての活躍を期待されていたエンケティアにリーグ戦今季待望の初ゴールが生まれた。
ビルドアップで楔を引き出すための下りてくるタイミングがジェズスより遅かったり物足りない面もある一方で縦パスを受けてのターンで強引にチャンスに繋げられるのはエンケティアの強みで、3点目のシーンはそれが存分に生かされた形だ。
エジルに見惚れてグーナーになった人。18/19シーズンから戦術ブログを開設してリーグ戦全試合のマッチレビューを投稿している戦術系グーナーです。