【マッチレビュー】ウルヴァーハンプトン対アーセナル「割り切ったチームの怖さ」
ウルヴァーハンプトン0-2アーセナル
もくじ
両チームのスタメン
最下位に沈むウルヴスは打ち合いの末2-3で敗れた前節ブライトン戦からスタメンを2人変更してきた。
ファン・ヒチャン、ポデンスがベンチスタートになり、代わりにアダマ・トラオレとCBのトティ・ゴメスがスタメンに入りシステムも4-3-3から5-3-2に変更された。
また、ブルーノ・ラージを解任したウルヴスは後任にロペテギを招聘したが、労働ビザの兼ね合いでこの試合までは暫定監督のスティーブ・デイビスが指揮を執ることになっている。
首位をキープするアーセナルは1-0ながらスコア以上の完勝を収めた前節チェルシー戦からのスタメン変更は0人となっている。
また、ミッドウィーク開催のカラバオ杯ブライトン戦にもスタメン出場したのはサリバのみだ。
割り切ったウルヴス
ウルヴスの狙いは明確で5-3-2で引いて守って奪ったらCB脇に流れるゲデスかアダマ・トラオレを使うロングカウンター1本勝負で前からの守備はトーマスの両脇を2トップがケアするのみで今季のリーグ戦で対戦したチームで最も後ろ重心な対戦相手だったと言える。
この割り切った姿勢が前半はアーセナルを苦しめた。
今シーズンのアーセナルは5バックの相手と何度か対戦しているが、それらの試合の中でこの試合が最も苦戦したように見えた。
考えられる理由は2つ、1つ目は今シーズン5バックで挑んできたスパーズ、ブレントフォードと違い前からボールを奪うことを割り切ってあきらめてブロック守備の強度を高めたこと、もう1つはWGとの対面をWBが1人で担当してIHやCBが釣り出されないようにすることで中央でズレを作らせなかったことだ。
右サイドのサカは内側に入りながらパスを引き出そうとしたりしてズレを作るシーンもあったが、左サイドのマルティネッリは完全にセメドとの1対1で膠着状態に入り1対1で完結して守備のズレを作るには至らなかった印象だ。
また、前半はアーセナル側も普段よりWGが仕掛ける時にSBのオーバーラップで相手のDFラインを押し下げる動きが少なかったこともあり、縦も横もウルヴスは動かされずに対応できたことが大きかっただろう。
アーセナルは後ろのビルドアップ組がボールを持った時前線の選手は縦横にボールを引き出す動きも見せていたが、ウルヴス守備陣の視野の中での動きに留まっていた印象だ。
後半は開始してすぐはジンチェンコが内に絞って3-2-5の配置になるシーンもあったが、大枠の配置は前半と同じであった。
しかし、前半と違ったのは両SBがWGの仕掛けの際のオーバーラップの頻度の増加とウーデゴール、ビエイラがDFラインを押し下げるオフザボールの動きをするようになった。
ビエイラは先制点のシーンでは直線的にCBの視野の中を通るのでは無く回り込むようにCBの背後を突く抜け出しからの折り返しでウーデゴールのゴールをアシストしたが、それ以外のシーンでもニアゾーンランの動きでボールに絡んでいたことで前半より試合には入れていた印象だ。
2点目のシーンは相手のクリアをマルティネッリが高い位置で奪ったところからの崩しだったが、マルティネッリのカットインで相手の意識が少し前に向いたところでジンチェンコのオーバーラップで再び相手DFの視野はタッチライン際に切り替わり、ジンチェンコのマイナス方向へのクロスからのマルティネッリのシュートのこぼれ球に詰めたウーデゴールに対してのマークも甘くなっていた。
ファビオ・ビエイラについて
ジャカが試合開始してすぐ体調不良を訴え、その後はプレーを続行したものの16分にピッチを退いた。
そんなジャカに代わってピッチに立ったのはファビオ・ビエイラだった。
前半は試合には入れずに苦しんでいたが、後半に入るとニアゾーンランでチャンスに絡むシーンが増加、低い位置でも中盤のラインの前に顔を出してビルドアップにも絡み尻上がりに調子を上げていたのは良かったが、課題としてはフィジカルコンタクトを嫌ってかライン間でパスを受けることがほとんどなかったところだろう。
やはりビエイラはライン間での崩しに関与する中で視野の広さやパスセンスが光る選手だが、今の段階ではニアゾーンランで裏に抜ける以外のシーンではMFの手前や外で受けているためファイナルサードの崩しに関与し切れない印象だ。
幸いこの試合を最後にリーグ戦は中断しW杯期間に入る。
ビエイラは今回のW杯のポルトガル代表には選出されていないため、この期間はアーセナルのドバイ合宿に帯同することになるが、この期間にフィジカルトレーニングを積み重ねてプレミア仕様の肉体を手にしてほしい。
おわりに
この試合の前にシティがブレントフォードに敗れたことでアーセナルは勝ち点37を稼ぎシティと勝ち点5差をつけて首位でクリスマスを迎えることが確定した。
アーセナルが首位でクリスマスを迎えるのは07/08シーズン以来、さらには今シーズンの14試合消化時点での勝ち点37は03/04シーズンのインビンシブルズを上回る成績となっている。
今シーズンは異例のシーズンで消化試合数も普段より少ないが、アルテタの歩んできた道は間違っていなかったことは結果と試合内容が証明している。
ところでW杯中の期間のブログについてなんですがどうしましょうか。
アーセナルの選手の動向を追いかける記事は一応書くつもりですが、それぞれの試合に踏み込んだ記事はどうするか考え中です。
エジルに見惚れてグーナーになった人。18/19シーズンから戦術ブログを開設してリーグ戦全試合のマッチレビューを投稿している戦術系グーナーです。