【マッチレビュー】アーセナル対ノッティンガム・フォレスト「相手を見ながらするサッカー」
アーセナル5-0ノッティンガム・フォレスト
もくじ
両チームのスタメン
アーセナルは引き分けに終わった前節セインツ戦からのスタメン変更は0人でこれでリーグ戦は4試合連続で同じスタメンで挑んでいる。
また、ミッドウィーク開催のELグループステージPSV戦もスタメンだったのはラムズデール、冨安、サリバ、ジャカ、マルティネッリだ。
ノッティンガムはリーグ戦10試合ぶりの勝利を挙げた前節リヴァプール戦からは1人のスタメン変更を行ってきた。
今夏1700万ポンドでリヴァプールからノッティンガムに加入したネコ・ウィリアムズではなくアトレティコから加入したロディを左SBで起用してきた。
FWのラインの越え方
ノッティンガムは4-3-3でスタートし守備時は4-5-1の守備ブロックを形成しサイドはマンマーク気味に対応する布陣を採用。
後ろに人数をかける分前からのプレッシャーはCFのアウォニーが1人で担当することになり、アーセナルはCBにかかるプレッシャーが低く敵陣への侵入は容易であった。
アウォニーのプレスのかけ方はトーマスへのコースを切りながらCBに寄せる形だったが、この試合のトーマスはアウォニーよりも低い位置に降りる頻度が多く、その影響でアウォニーはプレスの基準点を見失っている印象だった。
普段ならFWより前で受ける動きは潰されやすくなるが、この試合ではアウォニー以外に前に出て圧力をかけられる選手がいなかったことと、アウォニーの脇をドリブルで前進できる体の向きでトーマスがパスを引き出していたことでFWのプレスのラインを越えるために有効だったと言える。
HT明けからアーセナルはビルドアップの形を少し変更、それまではトーマスの反対側のアウォニー脇を取る選手は不在だったりジャカやジェズス、冨安がその時その時で顔を出していたが、常に冨安が内に絞りトーマスと並ぶ形の3-2-5になった。
アウォニーの両脇を常に前進の選択肢として持てることで中央からの前進が容易になる上にSBにマンマーク気味で対応していたノッティンガムの両WGが内に絞ったことでガブリエウ、ホワイトからマルティネッリ、ネルソンへのパスコースが確保しやすくなりWGのドリブルで相手最終ラインを押し下げる形に持ち込みやすくなったことが後半の大量得点の要因の1つだと考えている。
そしてこの形が最も活かされたのが4ゴール目のシーンだ。
4点目のシーンは3-2の並びでノッティンガムの3トップを内に寄せつつ押し込みつつの確実なビルドアップで運びながら、ギブスホワイトの内側でパスコースを引いた冨安がガブリエウからパスを引き出すと前を向いてジェズスに縦パスを付けた。
ジェズスがレイオフでトーマスに落とすとトーマスが右サイドに大きく展開、ネルソンがドリブルで相手を押し下げてからのマイナスの折り返しをダイレクトでトーマスのがミドルシュートを突き刺した。
この時、ウーデゴールのネルソンの外を回るオフザボールの動きに対してノッティンガムは先制点の時とは違いマークの受け渡し自体は成功したが、チームとして意識と重心が完全にゴールの方向に傾いてしまい、トーマスがミドルシュートを打てるだけのスペースが生まれた。
ノッティンガムは64分にロディを下げてネコを投入、さらにCFのアウォニーを下げてCBのジョーを投入してシステムを5-3-2に変更した。
アーセナルはこの直前にマルティネッリを下げビエイラ、冨安を下げてセドリックを投入している。
4-3-3から5-3-2になったことでノッティンガムのFWの間が1つになったことでアーセナルはトーマスが1アンカーとして2トップの間に立ち左のセドリックと右のホワイトが偽SBとして2トップの脇を使える立ち位置になる2-3-5に戻った。
仮に選手交代が無くてもこの布陣変更は可能で、試合中にビルドアップの型を使い分けることができるようになったのは今季のアーセナルの大きな成長の1つだ。
ハイライト解説
サカの負傷というアクシデントにより前半途中から今季プレミアリーグ初出場となったネルソンは2ゴール1アシストの活躍を披露した。
1ゴール目はトーマスからのスルーパスをジャカが引き出してマイナスの折り返しをジェズスが受けると後ろからフリーで走り込んでくるネルソンにパス。
ネルソンはキックフェイントで1人かわしてシュート、そしてそのこぼれ球を自身で押し込んで久しぶりのゴールを奪った。
このシーンはネルソンのキックフェイントも完璧だったが、パスを受ける前に首を振ってネルソンが来てることを把握してパスを選択できるジェズスは流石に一言だ。
そして、2点目はその直後カウンターからジェズスとウーデゴールがエリア内でテクニックを披露して時間を作ってからのジェズスのクロスにネルソンが合わせてのゴール。
幅を取って仕掛けるだけな印象が強かったネルソンがフェイエノールトへのレンタルを経てこうしてドリブル以外のところで数字に絡める選手に成長してくれたのはうれしい限りだ。
おわりに
こうして無事に今節も首位で終えることができた。
ジェズスとサリバはチェルシー戦を累積警告で出場停止という事態は回避でき、ジャカはELで累積出場停止でチェルシー戦はおそらく万全に近いコンディションで臨める。
ジェズスも動き自体は良いのでゴールから遠ざかっているがそこまで心配はいらないと考えられるし、唯一不安なのが前半途中で負傷交代したサカの状態だ。
大事ないことを祈るばかりだ。
そして、パブロ・マリも1日も早い回復と復帰を期待している。
次節のチェルシー戦、そしてその次のウルヴス戦を連勝することが出来たら晴れてアーセナルはクリスマスを首位で迎えられることになる。
エジルに見惚れてグーナーになった人。18/19シーズンから戦術ブログを開設してリーグ戦全試合のマッチレビューを投稿している戦術系グーナーです。