【マッチレビュー】アーセナル対リヴァプール~後手に回り続けてしまった
プレミアリーグ第30節アーセナル対リヴァプール
代表ウィーク明けの試合となっています。
ホームアンフィールドでは6連敗中ですが、代表ウィーク直前のウルブズ戦に勝利しホーム以外(アウェイと中立地)では4連勝中で復調の兆しも見えるリヴァプールをアーセナルがホーム、エミレーツスタジアムに迎えての1戦です。
アーセナルは代表ウィーク前はオリンピアコスとの2nd legは敗戦(2戦合計スコアで勝ち抜け)、ウェストハム戦では前半に3失点を喫したところからのドローで2戦勝ち無しという状況。
最低限、EL争いに踏みとどまるためにもこの7位と9位の対決を落とすわけにはいきません。
アーセナル0-3リヴァプール
もくじ
両チームのスタメン
ダビド・ルイスは膝、サカは右ハムストリング、スミスロウは右太ももの負傷でそれぞれ欠場、ジャカは体調不良で欠場。
ホールディングは脳震盪で負傷交代したシティ戦以来の出場となっています。
ビルドアップの起点、ライン間での受け手、それぞれの中心選手を欠く中でどのような戦いを披露してくれるのでしょうか。
ウルブズ戦は負傷で欠場したフィルミーノがスタメン復帰。
CBとヘンダーソン以外はベストメンバーといえる構成だ。
CBの2人はプレス体制に少し難ありだが、それ以上にファビーニョをアンカーで起用できるようになったのは大きいだろう。
敗因を探る旅【ボール非保持編】
ゾーン2までのリヴァプールのビルドアップは4-3-3からSBが高い位置を取りファビーニョがCB間に降りるダウンスリー、IHがクロースロールでダウンスリーでボール保持時は3-2-5になるのがメインでした。
対するアーセナルの守備はSBに対してはWGがついていき、中央はラカゼットとウーデゴールが3-2-5の2の部分をへの最終ラインからのパスコースを抑える立ち位置で中央からの前進を阻む狙いが感じられました。
ですが、最終ラインに対してのプレッシャーは緩く、そこから左右への展開を許したことで、ボールの奪いどころが定まらず後手に回る展開を強いられていました。
アーセナルの守備としては、ファビーニョにこれだけ自由に展開させることを許してしまったのはまずかったでしょう。
2トップが前からのプレスに行くときは内から外に向かって追い出すようにCBに圧力をかけていました。
SBはWGが抑えているため、CBにアバウトに蹴らせて回収するのがおそらくアルテタの狙いだったのでしょう。
ですが、ウーデゴール(もしくはラカゼット)が中盤へのコースを切りながら寄せる際、中盤の選手を後ろからボランチが捕まえる必要がありましたが、ここの縦スライドが前線の選手とボランチの選手でずれていて、前線の選手のプレスが徒労に終わるシーンが多かったのもアーセナルが後手に回った理由の1つでしょう。
リヴァプールはアーセナル陣内に侵入し、押し込む形になると2-3-5に変化。
この形になるとメインの球出し役は中盤3人になっていました。
対するアーセナルは自陣まで撤退するとウーデゴールが1列下がり4-5-1のブロックに変化。
リヴァプールのIHにボールが入るとセバージョスとウーデゴールが前に出て圧力をかけるが、チアゴとミルナーは難なく対処していました。
WGがSBについていく分、IHにかかるプレッシャーが緩くなるため、プレスをかわすのが容易になったのではないでしょうか。
パスマップからもわかる通り、チアゴはアーセナル陣内でもボールにかかわり、ショートパスでの連携やサイドチェンジを行い、アーセナルの守備を振り回していました。
一方、4-5-1にシフトすることでトーマスがフィルミーノを監視することでフィルミーノにゾーン3で決定的な仕事をほとんどさせなかったことは評価できます。
敗因を探る旅【ボール保持編】
まず、大前提としてボール保持率35%でゾーン3への侵入すらままならなかったことそのものが大問題です。
では、なぜそのような事態になってしまったのか。
アーセナルのビルドアップは普段と同じ型ですが、人が変わったことで相手からすると途端に対処しやすい形になりました。
まず、ジャカに代わってボランチから降りる役割を務めたセバージョスは足元の技術と、単騎で相手のプレスをいなす術はジャカよりも長けていますが、ポジショニングやキックの精度ではジャカに軍配が上がります。
ジャカと比べて、降りる位置が内側なので、SBとの距離が遠くなるうえに、WGがパスコースを抑えやすくなるため、パスコースが1本減ることになります。
ドリブルで持ち上がろうとするのですが、縦パスのコースを塞いでいるIHを釣りだすような持ち上がり方ではなく、自分で運んでどうにかしようとしているように感じました。
それから、球離れが悪かったこともあり、セバージョスは自分の技術を有効活用できていないように感じました。
右CBはダビド・ルイスに代わりホールディングが入りましたが、ホールディングはダビド・ルイスと違い、ビルドアップの際に縦に持ち上がって相手を釣りだすことができないため、縦パスのコースが開かず、ライン間を有効活用できていませんでした。
それから、2人に共通するのが、それぞれセバージョスとホールディングはジャカとダビド・ルイスよりもパスのレンジが狭いことも選択肢を狭めていたと考えられます。
スミスロウや、サカを欠いたことも事実ですが、それでもラカゼットやウーデゴールもパスの受け手として秀でています。
ですが、ビルドアップ時の3バックの左右の選手の質の低下がボール保持の質を下げてしまったと考えられます。
機能したジョタ投入
リヴァプールはロバートソンを下げてジョタを投入。
ミルナーが左SBに下がり、ジョタがワントップに入る-2-3-1に変更してきました。
サイドtoサイドでアーセナルを振り回すことに成功していたリヴァプールは後ろを1人削りエリア内でのクロスの受け手を1人増やすという交代策に出ました。
ビルドアップ隊が4人になりましたが、フィルミーノがパスを引き出し、出し手にもなれるためここを削っても問題にはなりませんでした。
こも交代が功を奏し、直後に先制ゴールを決め、3点目もジョタがエリア内に走り込んで最後押し込んで奪ったゴールとなりました。
ELスラヴィア・プラハ戦に向けて
スラヴィア・プラハはラウンド16レンジャース戦で人種差別発言があったとか問題になっていますが、おそらく、処分が下るのは少し先でしょうし、アーセナルはCL出場権のためにも勝つしかありません。
ダビド・ルイスはひざのけがで手術も必要かも知れず、もしかしたらシーズン絶望との報道もありましたから少なくとも、プラハ戦は無理でしょう。
サカとスミスロウは4月2日の公式サイトでの発表では「土曜日に状態を確認する」という感じだったのでそこまで重い負傷ではないでしょう。
なので、サカとスミスロウはスタメン復帰もあり得るでしょう。
左SBのティアニーが負傷したのでここはセドリックが入り、そうなると左で幅を取る選手が代わりに必要になるので、ここにペペを起用してくる可能性は十分にあります。
スミスロウが先発するとしたら左WGかトップ下のどちらかでしょう。
スパスィーバ
エジルに見惚れてグーナーになった人。18/19シーズンから戦術ブログを開設してリーグ戦全試合のマッチレビューを投稿している戦術系グーナーです。