【マッチレビュー】アーセナル対ウェストハム<列落ちの有効活用>
アーセナル2‐0ウェストハム
もくじ
試合のハイライト
両チームのスタメン
3-0で快勝した前節サウサンプトン戦からのスタメン変更はありません。
規律違反でキャプテンをはく奪されたオーバメヤンはベンチ外になっている。
ティアニーが負傷離脱している感にタヴァレスが良かった際も継続して起用していたことから今季のアルテタは上手くいっている時は下手に変えないというスタンスのようだ。
スコアレスドローに終わった前節バーンリー戦からはベンラーマとフォルナルスを入れ替えてきた。
最終ラインは11節のリヴァプール戦でオグボンナが右ひざ前十字靭帯を損傷し長期離脱、さらに今夏加入のズマも15節に行われた古巣チェルシー戦でハムストリングを負傷し、数か月の離脱と言われている。
また、クレスウェルも13節のシティ戦で負傷交代してからいまだに復帰できていない。
主力のCB不在も痛手だが、クレスウェル不在は3バックと4バックの可変システムを使えない点を含めかなり響いているのではないだろうか。
ジャカの列落ちの駆け引き
この試合もジャカはクロースロールの頻度は控えめでライン間に残り、ガブリエウのキャリーのスペースを確保していたが、時折見せる列落ちがウェストハムの4-4-2の守備ブロックに対していいアクセントになっていた。
先制点のシーンではジャカのクロースロールに対して、右SHのボーウェンが釣られて前に出たことで、その背後をカバーするためにボランチのソーチェクが本来の持ち場よりも右にスライド。
そのソーチェクの両脇にマルティネッリとラカゼットがいたことでどちらに絞るかの選択を迫られた。
そこにガブリエウが少しキャリーしてからラカゼットに縦パスを通すと、マルティネッリはソーチェクの背後から裏に飛び出し、前を向いたラカゼットからのスルーパスを受けて左斜めからエリア内に侵入、冷静にGKとの1対1を沈めて先制に成功した。
このシーン、ウェストハムは本来の4-4-2のブロックからずれたことでソーチェクのカバー範囲が広くなったこと、ラカゼットがCBはプレッシャーに来れない曖昧なポジションにとどまったことでプレッシャーをかけきれないままゴールを許してしまったように見える。
この試合では、ジャカのクロースロールでボーウェンやソーチェクをうまく釣り出せていたこと、これまでと違いジャカがクロースロールした内側をガブリエウがキャリーできたことで後ろが重くなるだけでは終わらなかったことが上手くいかない試合のジャカのクロ―スロールと違い好印象だった。
質的優位のサポート
この試合は右からの崩しの頻度が高く、特にサカの仕掛けから何度もゴールに迫ることができた。
シンプルにサカがマスアクに対して質的優位を保てたため、この力ではがすこともできたが、サカからの戻しのパスをマイナスの位置で受ける選手が常にいたということもポイントが高い。
マスアクがサカに対して後手を踏むとなると、1列前のランシ―ニもそのサポートに回らざるを得ない。
そうなると、サカは1対2の局面になるのだが、サカがこの2人を引き付けてからマイナスに戻すことで冨安はフリーで受けられ、ファーへのクロスを有効活用できた印象だ。
また、この位置で受けるのが冨安だけでなく、ウーデゴールがこの位置に流れてくることもしばしばあり、サカが仕掛ける際の約束事としてマイナスの位置で誰かが戻しを受けられるようにすることが決まっていたように見えて、ボールホルダーを追い越す動きが無くともこの試合ではサカが孤立しているという印象は全く受けなかった。
ちなみに、仕掛けるWGが孤立しているなと感じる時はだいたい戻しのパスコースすらない。
おわりに
試合はツォウファルがエリア内でのタックルで2枚目のイエローを貰い退場、PKは失敗するもその後、10人のウェストハム相手に後ろ重心にならずに戦えた。
そして、86分にカウンターからサカが内向きに運ぶ外側にこの試合はトップ下の位置で途中出場したスミスロウが流れてパスを引き出してカットイン、右足でラストパスを出すかに思われたが左足を振り抜き、ファビアンスキも反応できない見事なシュートを決めて今シーズン6ゴール目を記録した。
この試合の守備は、前からの4-4-2のプレスでウェストハムのビルドアップを捕まえて離さなかったことももちろん評価できるが、何よりもボールロスト後の前線プレスバックが素晴らしかった。
これにより、ウェストハムは良い形でロングカウンターに移れず、苦し紛れの形になったこともアーセナルのDFラインが地上戦全勝したことにつながっただろう。
今回遅くなった上に短くてごめんね
スパスィーバ
エジルに見惚れてグーナーになった人。18/19シーズンから戦術ブログを開設してリーグ戦全試合のマッチレビューを投稿している戦術系グーナーです。