【考察】22/23シーズン展望「勝負のシーズン」
いよいよ8月6日にプレミアリーグ開幕を控えている。
そのオープニングゲームを飾るのがアーセナルだ。
昨シーズンブレントフォード戦、一昨シーズンフラム戦に続き3年連続でオープニングゲームはアーセナルの試合となっている。
開幕に向けて積極補強で層の厚さを充実させ、プレシーズンマッチでは強さを見せつけ5連勝と乗りに乗っている。
一方で課題だった放出にも着手し始めた所だ。
開幕を控えた今、アーセナルの今シーズンの展望を考察していきたい。
もくじ
予想順位
4位
昨シーズンのシティ戦などの多くの試合や、今シーズンのプレシーズンマッチからベストメンバーを組めた時のクオリティはプレミア上位2チームにも肉薄するクオリティなのはもはや疑いの余地もないだろう。
その中でアーセナルの課題は離脱者が出た時に如何に勝ち点を取りこぼさないかという点だ。
それも今夏積極補強で層の厚さも充実してきたため、昨シーズンほどの落ち込みはないはずだ。
ライバルチームもテン・ハーグ新監督の元補強を進めるユナイテッド、ハイジャック補強連発で層の厚さは随一、監督の質も疑う余地もないチェルシー、コンテの元で今季がタイトルラストチャンスと言わんばかりの補強を進めるスパーズとシティリヴァプール以外のチームもなかなかに手ごわそうだ。
ただ、この中でも今のアーセナルにとって4位は十分手の届く目標で、なおかつ手に入れなければならない目標だ。
あくまでも怪我人がほとんどいなかったらの話になるが、今シーズンは3位に挑戦する権利もあるだろう。
スカッド
図としては一応この通りになるが、右SB冨安不在時はプレシーズンマッチ同様にホワイトが右SBに回りサリバが右CBに入る形でビルドアップの安定感と守備の強度を両立できる形を形成できているため、セドリックは実質的には3番手だろう。
また、セビージャ戦では左SBで出場しており以前も左SB出場経験があって、タヴァレスをローンで出してティアニーも怪我がちなので左SBの3番手も兼務しているかもしれない。
左SBはプレシーズンマッチでも加入してすぐにフィットしていたのでジンチェンコが序列的にはレギュラーになっていてもおかしくないだろう。
CBは右はホワイトとサリバで盤石な一方で左CBの層は不安が残る。
一応、ホールディングを入れたが、右利きなので右CBの3番手兼守備固め要員としての役割に重きを置くと考えると実質的にガブリエウ1人になる。
また、冨安も左CBでのパフォーマンスも問題ないため、ここに当てはめることも可能だが、問題なのは冨安の稼働率が低いと結局ガブリエウが不在時に人がいないかもしれないという不安要素も残る。
3列目はレギュラーの質は高いが、控えになると左SBの1番手濃厚で必要な時にボランチ起用が可能なジンチェンコかクオリティが1段落ちる2番手組と考えるとこのまま何も補強が無ければ一抹の不安を覚える。
トーマスは今年もプレシーズンで無双しており、トーマスがいる時の成績は今年も安心していいだろう。
エルネニーは昨シーズン終盤にはポジショニングの面で成長を見せたことと持ち前の献身性で守備固めや完全な控えとしては頼もしい選手だが、トーマス不在時にスタメンで起用する選手としてはポジショニングは90分通して見るとトーマスほど完璧ではないのが懸念点だ。
ジャカは昨シーズン後半から今のプレシーズンマッチにかけてIHの役割における成長著しいため、今シーズンもトーマスの相方としての立場は堅いだろう。
ティ―レマンス獲得の噂はあるが、現状ジャカの控えはロコンガになっている。
前を向いてボールを受けやすい分アンカーよりIHの方が適性はあると思うが、守備時の緩さが目立つためELやプレミア下位のチーム相手なら問題無いがプレミアで同格以上の相手になると不安が残る。
ティアニーが起用できる状態ならば、ロコンガよりジンチェンコの方がボランチの序列は上の可能性が高いし何よりジャカがケガしないと考えればティ―レマンスが来なくてもそれなりに安泰、ティ―レマンスが来たらかなり安泰と言えるはずだ。
2列目はベースは昨シーズンのスタイルを継続してサカ、ウーデゴールがレギュラーで左WGはスミスロウとマルティネッリが争う形になるだろう。
トップ下の新戦力ファビオ・ビエイラは負傷の影響で出遅れたたためカラバオ杯やELから徐々にチームに慣らしていくだろうと考えている。
あとは両WGできるペペとネルソンが控えからどれだけ食い込めるかというところだろう。
それから、サカ不在時はジェズスを回すことも可能だが、セビージャ戦で見せたマルティネッリを右に回してペペを左に置く形の可能性もあるため、昨シーズンほど「サカいなくなったら詰み」という状況にはならないと考えている。
それでもサカが離脱したらクオリティの低下は避けられないだろう。
また、いきなりサカの控えとしての期待を寄せるのは酷かもしれないが今夏加入のマルキーニョスも右WGでカラバオ杯やELから出番を得てマルティネッリルートを歩んで欲しいものだ。
CFはジェズスとエンケティアであくまでもレギュラーはジェズスで控えはエンケティアだが、劣勢の終盤2トップ起用や過密日程を見越してのローテーションも行うと考えるとエンケティアにも出番はあるだろう。
アンカー、左CB、右WGを除くと各ポジションレギュラークラスを2人揃えられているため、層の厚さという点でも充実してきただろう。
裏を返すとアンカー、左CB、右WGについては主力の選手が抜けた時、他のポジションの離脱状況次第だが、クオリティの低下が懸念される。
基本戦術
まず、ベースとなる戦術は昨シーズンのものを継続する形になるだろう。
昨シーズンのボール保持時2-3-5の正しさは正月のシティ戦含め多くの試合で証明済みで更なる上積みを目指す中で、キーになるのは間違いなくジェズスだ。
サイドでのIH(ウーデゴール、ジャカ)、SB、WGのトライアングルに両サイドでジェズスが顔を出してトライアングル+1の崩しになることで引き出しが増えるだろう。
そしてそれは実際にプレシーズンマッチの結果につながっている。
さらに、セビージャ戦ではジンチェンコがライン間に侵入してジャカが低い位置に降りるだけでなくジャカよりも中央に位置取りジャカが外に流れるシーンもあり、これは昨シーズン苦戦を強いられた3トップの前プレスに対するアンサーにもなりうると考えられる。
守備も昨シーズンの形がベースで、プレシーズンマッチ特徴的だったのはジャカが昨シーズン以上に前プレスに加わることが増えた点だ。
相手が1アンカーの場合はウーデゴールがアンカーを抑えてジェズスがCBに寄せる(逆パターンも)形でジャカの役割はIHが降りた時について行くことだが、相手がダブルボランチの場合はジャカもかなり前目に出ていくようになっていた。
WGはSBをマークしつつCBに寄せる場合は後ろのSBも連動して前にスライドすることで相手陣内に押し込むことができる。
前プレスがはまらなかった場合は4-4-2に移行して相手の攻撃を遅らせつつ、自陣に押し込まれたら4-5-1に変化してジャカとウーデゴールがそれぞれのハーフスペースをカバーする役割に変化することでハーフスペースのランニングのケアも可能になるだろう。
ボール保持、非保持ともに昨シーズン対応できなかった戦術に対しての対抗策をこのプレシーズンマッチで見せてくれたため、選手だけでなく戦術的な上積みも望めると思う。
おわりに
今夏も若手中心の補強で今シーズンだけでなく来シーズン以降も見据えたチーム作りにはなっているが、サカの契約延長のためにCL圏を確保する必要があるため、今シーズンはアーセナルにとっても勝負の年になる。
チームとしての大枠は完成し、今夏の補強で更なる底上げと層の充実にも成功。
一部のポジションは層の薄さが不安だが、それでもベストメンバーのクオリティではかなりのものがあるので、今シーズンこそTop4フィニッシュを見たいものだ。
冨安が開幕に間に合わなさそうということで、プレシーズンマッチでも機能していたサリバ右CB、ホワイト右SBの布陣でセルハーストパーク(クリスタル・パレスの本拠地)に乗り込むことになるだろう。
昨シーズンは1分1敗と煮え湯を飲まされた相手だが、アーセナルはプレシーズン通してコンディションも良くやるべきことをやれば勝てるだろう。
そして、パレスにはキャラガーがいない。
昨シーズンアーセナルを混乱に陥れたプレスの旗頭であったキャラガーが保有元のチェルシーに帰還したことはクリスタル・パレスにとっては大きな痛手だろう。
それでは、この辺りで今回は閉めさせて頂こう。
次回はクリスタル・パレス戦のマッチレビューで。
それと、今シーズンの選手名鑑は移籍市場が閉まり次第取り掛かる予定だ。
それでは
エジルに見惚れてグーナーになった人。18/19シーズンから戦術ブログを開設してリーグ戦全試合のマッチレビューを投稿している戦術系グーナーです。