【考察】エミール・スミス=ロウ徹底解説~スミスロウ契約延長記念~
7月22日、15年前にベルカンプが引退した日にスミスロウが契約延長、新たな生え抜き10番が誕生しました。
アストン・ヴィラからの2度のオファーを拒絶、アルテタも「スミスロウは100%残る」と明言していました。
そしてついに全グーナーが待ち望んだ契約延長です。
もし、わかっててベルカンプの引退の日まで引っ張ったのだとしたらなかなかのエンターテイナーですね。
そんなスミスロウについて解説していきたいと思います。
スミスロウのこれまでの歩みはこちらをどうぞ
もくじ
プレースタイル
攻撃数値や守備の質、量は高くありませんが、プレー精度がかなりの高水準です。
スタイルを見ると、守備はタックルの数値は低いですが、インターセプトに長けています。
攻撃面ではリンクアップ特化でショートパスによる周りとの連携を得意とする一方で、ドリブルで仕掛けたり、エリア内に自分が侵入していくという意欲はあまり高くありません。
トップ下の選手ですが、ヒートマップは両サイドでのプレーが多いことを示しています。
これは、中央からサイドに流れて両WG、特に右WGの選手のためのスペースメイクに長けたスミスロウらしいヒートマップですね。
オフ・ザ・ボールの動き
スミスロウの飛び抜けた才能の1つはオフザボール、この1点においては世界最高と言っても過言ではないでしょう。
そして、そのオフザボールの中でも、縦パスを引き出す才能も素晴らしいですが、アーセナルの後半戦を支えたもう1つのオフザボールが3人目の動き出しです。
DFの注意がボールに向くと、パスの出し手と受け手のケアはしやすいですが、そうでない選手のマークが緩くなりやすいです。
そのため、3人目の動き出しというのは守備側からすると厄介な動きで、さらに、パスを一度出してすぐ動くことで、余計に守備側の意識の外に行きやすくなる印象があります。
20/21シーズン17節WBA戦の2点目のサカのゴールをアシストしたシーンはこの動きを完璧にできていて、フリーでDFラインの背後に飛び出してアシストにつなげることができました。
また、ウルブズ戦でもペペとの好連携もありました。
この2つに共通するのはパスを出してすぐ、ボールに意識が向くDFの意識の外に流れてフリーになる動き出しです。
そして、これを試合中散発的にではなく継続してできるのがスミスロウです。
20/21シーズンの前半戦にはこれをできる選手がいなかったため、ぼーーるは持てるけどブロックを崩す術が無いという状況に陥り、後半戦はスミスロウがこの動きで流動性を吹き込んだことにより、クリスマス以降の好成績につながりました。
また、右サイドに流れて、右WGが仕掛ける際にはその外を回るランニングやWGと対面しているSBの背後を突くランニングでWGの突破を手助けするランニングもスミスロウの得意な動きの1つです。
オンザボールの判断
ここまで、スミスロウのオフザボールの良さについて書きましたが、決してそれだけではありません。
20/21シーズンのスパーズ戦や先日行われたプレシーズンマッチのレンジャーズ戦では切れ味のあるドリブルも披露しています。
派手なフェイントを使うわけではありませんが、相手の出方を見て、緩急を使ったドリブルで抜けていくのが上手いタイプで、相手に体をぶつけられてもそれを逆手にとって突破することもできる印象です。
そして、ドリブルで仕掛けるべき時とシンプルに味方を使うべき時の判断を間違えないため、強引に仕掛けて奪われて被カウンターというシーンがほとんどないのも好印象です。
守備
スミスロウは献身的に守備に走り回れます。
前からプレスに行く際トップ下のメインタスクはCBからボランチへのパスコースを抑えながらCBにプレッシャーをかけることですが、SBへのパスで逃げられた場合にはすぐに切り替えてSB→ボランチのパスコースを抑えに行ける選手で、この動きができるからこそSmarterscoutでRecoverが評価されているのだと思います。
課題
ゴール数が物足りないと言われることもあるでしょうが、シーズン終盤にかけて、エリア内に飛び込んでのシュートシーンを増やしていますし、それ以上に期待感のある惜しいミドルシュートも放っていることから、来シーズン、ゴール数は自然と増えていくでしょう。
また、長いキックの精度は解決するべき課題だと思います。
展開が詰まった時に、リズムを変えられるようなサイドチェンジを蹴れるようになれば、今よりもっと素晴らしい選手になれると思います。
あとは、フルシーズン闘い抜けるフィジカルですね。
おわりに
スミスロウ「私の夢はここで伝説になること。もし、すべてが上手くいけば、アーセナルでワンクラブマンとして引退できるだろう。」
最高じゃないですか!
15年後か20年後かにスミスロウがアーセナルですべてを勝ち取りワンクラブマンとして惜しまれながら引退する日が来るでしょう。
エジルに見惚れてグーナーになった人。18/19シーズンから戦術ブログを開設してリーグ戦全試合のマッチレビューを投稿している戦術系グーナーです。