【マッチレビュー】ウェストハム対アーセナル「重心の置き方」
ウェストハム2-2アーセナル
もくじ
両チームのスタメン
ホームのウェストハムは前節フラム戦で0-1の勝利を挙げたところからスタメン3人を変更してきた。
また、ミッドウィークにはヘントとのECL準々決勝1st legも戦い、この試合含めた3試合連続スタメンなのはライス、ツォーファル、ボーウェンの3人となっている。
アウェイのアーセナルは前節アンフィールドでリヴァプールと悔しい引き分けに終わった所からスタメン1人を入れ替えてきた。
リヴァプール戦で鼠径部の違和感を抱えていたジンチェンコがこの試合を欠場、代わりにティアニーが久しぶりのリーグ戦スタメンとなった。
ジンチェンコの負傷は軽度のもので次節のセインツ戦には復帰見込らしい。
意識の外から生まれた得点
試合開始から立て続けに2点を奪ったアーセナルだが、この2点に共通するのはどちらもサカの背後を有効活用した点だ。
アーセナルの戦術の基本ではサカが大外で幅を取るところからスタートする上に対戦相手もサカの突破力は頭に入っているため1対1でも1対2でもかなり集中して対応するためにサカが幅の大外として設定されているように感じる。
だからこそサカの外側のスペースは守備側からは盲点になりやすく、この試合でも1点目でサカの外を上がってアシストを記録したホワイトと2点目をサカの外から押し込んだウーデゴールも見事にフリーになっていた。
サポートの意思が生む悪循環
試合開始10分で2点を先行する理想的な試合の入りを見せたアーセナルだが、その後はロンドンスタジアムで苦しい時間を過ごすことになった。
前節のアンフィールドと違い、相手が試合の途中から強度のギアを上げて来たのではない。
アーセナルが失速したという表現が合っているのだろう。
ジンチェンコの不在でティアニーが代役に抜擢、ジンチェンコ同様に偽SBで内に入るタスクをこなそうとするが、この役割に向いていないことも知られておりパスミスやボールの扱いにバタつく場面も見受けられポジショニングも迷いながらの様子だった。
ティアニーのビルドアップをカバーするためにジェズスがこの試合ではかなり積極的にMF-FW間にまで下りてきて縦パスを引き出すが、ジェズスがここまで下りてきてしまうとライン間の人がいなくなる。
ウーデゴールもいつも以上に低い位置に顔を出し、チーム全体として後ろ重心になってしまった。
ティアニーが内に入りボーウェンを釣り出した外側でボールの出し手になるジャカが高い位置に入れ替わるように入って行く動きも見せていたがそれだけではどうしてもライン間の人数が足りず、後ろでブロックを組んで待ち構えるウェストハムに対していつもよりも後ろ重心のまま強引に縦パスを通してこじ開けようとするも阻まれてアーセナルは時間だけを浪費していく。
ウェストハムの強度が特別に高いわけでは無かったが苦戦を強いられたのはブロックの外からの出し手が増えて受け手が減ったにもかかわらずいつも以上に縦パスからの崩しを狙ったからだろう。
試合終盤にティアニーを下げてヴィエイラを投入、ジャカが左SBから出し手に専念してヴィエイラがライン間で受け手になったことでバランスが少し良くなったがチーム全体の後ろ重心を払しょくするには至らず、何より時間が足りずにそのまま引き分けで試合終了となった。
おわりに
自陣でのロストからのPK献上とクリアからのラインを押し上げる中でマークが曖昧になりすぐに戻ってきたボールに対応できずにボーウェンに押し込まれて同点ゴールを許して2試合続けて2-0からのドローとなった。
これでシティとの勝ち点差は「4」
シティが未消化分を勝利したら勝ち点1差となり、いよいよ1試合も取りこぼしが許されない状況になり、エディハドでの勝利が必須となった。
そのためにもまずは次節のセインツ戦の勝利は必須、できればターンオーバーした上で勝利したいところだ。
エジルに見惚れてグーナーになった人。18/19シーズンから戦術ブログを開設してリーグ戦全試合のマッチレビューを投稿している戦術系グーナーです。