【マッチレビュー】リヴァプール対アーセナル「前後半それぞれの勝者」
リヴァプール2-2アーセナル
もくじ
両チームのスタメン
リヴァプールはミッドウィーク開催の8節の延期分チェルシー戦スコアレスドローからスタメン4人変更してきた。
そして、チアゴ・アルカンタラが怪我から復帰しベンチ入りをしている。
アーセナルは前節リーズに4-1で快勝したところからスタメン変更は1人となっている。
サリバはこの試合も無理はせずにベンチ外となった。
お株を奪った前半
リヴァプールのビルドアップはアーノルドがコナテよりも内側に入るアーセナルやシティと似た3-2-5を採用してきた。
試合開始からしばらくはアーセナルはマルティネッリがアーノルドに引っ張られて内側でマークしていたが、途中の給水タイムを挟んだ後からはジャカがアーノルドを抑えマルティネッリがコナテにプレスに行く形に修正された。
前線は5対5の数的同数、後方もホールディング、ガブリエウがガクポ、サラーを抑えていた。
特に、ガブリエウはサラーとのマッチアップで圧倒していた。
また、前からのプレスでサイドに追い詰めてからの両サイドのIHにはトーマス、中盤まで下りてきてボールを受ける時のガクポもトーマスが潰してアーセナルのボール保持に繋げていた。
アーセナルのビルドアップもいつも通りの3-2-5の形だったが、リーズ戦同様にホールディングのビルドアップの不安があるからかジンチェンコとトーマスが降りていきすぎる傾向があった。
それもあってヘンダーソンとカーティス・ジョーンズも前がかりになり5対5の数的同数になり、その分サイドに流れるジャカがフリーで前向きで受ける頻度が増えた印象がある。
特にカーティス・ジョーンズが積極的に前にプレスに行っていた。
先制点はアーセナルの左でのビルドアップに対してリヴァプールも強気のプレス、カーティスも前にプレスに出て行き、その分ファビーニョもスライドして中盤より前が左にスライド、アーセナルはそれに対して仕切り直して右からの前進を選択。
リヴァプールもそれに合わせてカーティスも持ち場に戻り、チームとして右にスライドし直したが、ジョタ、ファビーニョ、ファン・ダイク、ロバートソンの間にスペースが生まれ、サカがこのスペースにアラコルタ(フットサルの用語で外から中に入ってパスを引き出す動き)で侵入し、ドリブルで押し下げてからウーデゴールへ預けてサカが裏を狙うも、ダイクが引っ掛けてそのこぼれ球をマルティネッリが広いゴールに流し込んだ。
試合開始早々に良い形で先制に成功した。
2点目はトーマスがリヴァプール守備陣を引き付けてからジャカに出すと、ジャカが裏を狙うマルティネッリへのパスを通すとマルティネッリからのクロスをジェズスが決めて追加点を決めた。
アーノルドが背後を取られたり、1対1でかわされる前提で動いてるかのようにコナテがカバーに回る構図もリヴァプール戦では日常になりつつある。
結果、ファンダイクが右CBのような立ち位置になり、その背後でフリーになったジェズスがリーズ戦で決め損なったのと同じような状況から今度はしっかりと決めてみせた。
しかし、前半終了間際にジョタのオーバーラップで押し下げてマイナスの折り返しで視線を変えさせてヘンダーソンがワンタッチでファーに流しガブリエウの背後から飛び出したサラーが押し込んで1点返して反撃の狼煙を上げた。
オーバーラップ→マイナスの折り返し→ファーへのパスと3回の視野の切り替えによって最終的にサラーが完全にフリーになっていて前後の出し入れとしては敵ながらお手本のようなゴールだった。
息を吹き返した後半
前半終了間際にジャカとアーノルドの衝突でアンフィールドに火がついたこととそれに合わせてリヴァプールの運動量が増した一方で前半から飛ばした結果、後半に入って運動量が落ちたこともありアーセナルがリヴァプールのプレスに晒されて高い位置で奪われて跳ね返してもセカンドボールをコナテとファビーニョに回収されるか後ろから繋ごうとして引っ掛けるシーンが続きリヴァプールペースで後半は試合が進んだ。
その中でもアーノルドとマルティネッリのマッチアップから何度か決定機をを迎えるが、アリソンに阻まれた。
前半はハイラインからのロングボールの競り合いでサラーを封じ込めたガブリエウが後半は劣勢の中でサラーとのマッチアップで踏みとどまり前を向かれてからの対人の強さも見せつけた。
早すぎた逃げ切り態勢
リヴァプールはチアゴを投入、さらにはファビーニョを下げてフィルミーノを投入するなど攻勢を強めていく一方でアーセナルはウーデゴールを下げてキヴィオルを投入し早くも5バックの逃げ切り態勢に入ったが、このお互いの交代が明暗を分けることになった。
ウーデゴールを下げたことでアーセナルは前からのプレスが機能しなくなり、5バックにはして逃げ切りを図るもののピンチの回数も増えていく。
アーセナルの矛はボール保持と見られがちで、実際にそれも武器の1つだがもう1つはハイプレスからのショートカウンターという武器もあるが、その武器の1つを放棄し5バックという盾に持ち替えたことでリヴァプールはより一層攻勢に出てくる。
そして、87分にジンチェンコがアーノルドに股抜きでかわされたところからのクロスにフィルミーノが合わせて同点ゴールを許す結果となった。
ウーデゴールの前プレスでボールの出しどころを抑えて後ろの負担を軽減しつつショートカウンターという攻撃手段を残しておく方が寄り失点のリスクは抑えられたように感じる。
また、5バックに移行するならその時はティアニーの投入もセットだっただろう。
ジンチェンコがアーノルドの突破を許したことで結果論に聞こえるかもしれないが、5バックにした時点で押し込まれることを想定できる上に攻撃に移行した時もWBは大外レーンの担当になる。
そうなると5バック時は攻守においてティアニーの方が適任と言えるだろう。
おわりに
試合は終盤ラムズデールの鬼気迫るスーパーセーブの連続でアンフィールドから勝ち点1を持ち帰ることに成功した。
シティが1試合消化の少ない中で勝ち点6差、つまりエディハドでシティに敗れれば勝ち点で並ばれることになるため、エディハドが絶対に落とせない1戦となる。
その前に、他の試合での取りこぼしも許されないのでこれまで通り毎試合決勝戦の気持ちで臨んで欲しい。
それではまた次節お会いしましょう。
エジルに見惚れてグーナーになった人。18/19シーズンから戦術ブログを開設してリーグ戦全試合のマッチレビューを投稿している戦術系グーナーです。