【マッチレビュー】アーセナル対AFCボーンマス「What a game!」
アーセナル3-2ボーンマス
もくじ
両チームのスタメン
アーセナルはミッドウィークに行われた延期分の7節エヴァートンに4-0で快勝したところからスタメンを3人変更してきた。
トーマスがジョルジーニョに代わってスタメン復帰、ホワイト、ジャカはプレータイムの管理が理由で冨安、ヴィエイラが代わりにスタメン出場。
冨安はアーセナル50試合目の出場となりヴィエイラは9月のブレントフォード戦以来アーセナルで2試合目のリーグ戦スタメンとなっている。
また、足首を負傷したエンケティアがベンチ外になった。
そして、ジャカがベンチスタートになったことでアーセナルは37年ぶりにヴェンゲルの下でプレーしたことのある選手がスタメンに誰もいないということになる。
ボーンマスは前節シティに1-4と完敗を喫したところからスタメン2人を変更してきた。
特に引いて守って攻撃はロングカウンターのボーンマスにとって1人で陣地回復からフィニッシュまで持って行ける羽目ド・トラオレの不在は痛手だろう。
懸念が現実に
試合開始からわずか9秒で先制を許し、その後はすばやく撤退して5-4-1で固めて守るボーンマスに対してアーセナルは押し込んで崩して再回収してを繰り返してボーンマスゴールに迫る。
20分までのほとんどの時間をファイナルサードで過ごした。
22分にトロサール負傷により早い時間帯でスミスロウを投入、スミスロウが左WGに入りマルティネッリがCFに入ることになった。
その後も一貫してボーンマスを押し込み、試合のほとんどをボーンマス陣内でアーセナルはすごすが、その中でマルティネッリのCFに対する懸念点は現実となった。
マルティネッリのCFでの懸念材料は後ろ向きのプレーが増えることで仕掛けの良さが出ないことやそもそも試合から消えてしまうことだった。
そして、この試合CFに入ってからのマルティネッリは左WGでプレーしてた時間より試合から消える時間が増えた。
その後、積極的に下りてくるようになったが今度は降りてくるタイミングが早いことと、相手の中盤のラインよりも前に降りてきてしまうため、マルティネッリに楔のパスを当ててもボーンマスの中盤の選手がプレスに行けるためブロックの中の局面を変えられないという問題がある。
トロサールは中盤の横か少し後ろでパスを受けた時点で相手の守備を1列超えられる位置で受けることを徹底できていたためトロサールのいる時間帯の方がより押し込めていた。
マルティネッリがCFに移ってからもサイドからの崩しでボーンマスを押し込むことには成功していたので完全な失敗ではないが、この試合の流れならマルティネッリを左WGにしたままでスミスロウをCFにおいてトロサールと同じ仕事をさせた方が良い気がするようには見えた。
しかし、マルティネッリをCFに置くメリットもあり、この試合でも何度かあったカウンターの場面ではマルティネッリは単騎でボーンマスのゴールに迫ることができており、あれはマルティネッリならではの武器だ。
冨安交代の理由
冨安がこの試合HTでの交代を余儀なくされ、さらには交代で出場したホワイトが同点ゴールを決めたことで批判も集まっている。
ということで交代の理由を考察していこうと思う。
まず、冨安がオーバーラップからのクロスを上げそこなったシーンがあったがあれは交代との直接の関係は無いだろう。
今日の冨安のプレーはビルドアップ時の立ち位置も問題なく、守備の切り替えの強度も高かった。
ただ、この試合で問題に感じたのはオーバーラップの方だ。
良い時の冨安はオーバーラップを仕掛けるタイミングも良いが、それ以上にオーバーラップを仕掛けるか後ろで戻しのコースを作るかの判断が上手いが、この試合ではオーバーラップを仕掛ける必要のない瞬間にも迷いながらオーバーラップを仕掛けているように見えた。
そして、迷いながらのオーバーラップの時はスピードに乗っていないためボールを持ってるサカやウーデゴールとしても活かしにくいオーバーラップになっていた。
逆に、オーバーラップするべき時のオーバーラップはスピードにも乗っておりサカやウーデゴールがパスを出しやすそうに見えた。
そして、交代で投入されたホワイトは悩みながらのオーバーラップは無く追い越す瞬間にトップスピードに乗ったオーバーラップでサカが使いやすいお手本のオーバーラップな上にそれを繰り返すためボーンマス側も常に警戒するためボーンマスのDFラインを押し下げたりサカのカットインがしやすくなっていた。
今回のボーンマスのように引いて守る相手にはシンプルにオーバーラップを繰り返せるホワイトが有効だったが、冨安がレギュラーの座を奪い返すために必要なのはこの試合で見せたような中途半端なオーバーラップは市内で上がるべき時と後ろで戻しのコースを確保する時の判断をベストな時に戻すことと、クロス精度を上げることだろう。
What a game!
試合開始から9秒で先制を許した後はアーセナルペースで試合が進み、前半は85%のボール保持率と14本のシュートを記録するも前半は0-1で折り返し、後半もアーセナルペースで試合が進むもCKからのワンチャンスをものにしてボーンマスがリードを2点に広げる。
しかし、その直後にCKをネトがパンチングではじいたボールをスミスロウがヘディングで折り返してそれをトーマスが押し込むと70分にはスミスロウに変わって投入されてすぐのネルソンが中央で相手を引き付けてからのトーマスのパスを左足で折り返しホワイトがボレーで決めて同点に追いつくことに成功した。
その後、ヴィエイラを下げてジャカを投入するもなかなか逆転ゴールを奪えないまま後半ATに突入、97分にCKからのこぼれ球をネルソンが正真正銘ラストプレーでワントラップ挟んでからのボレーシュートで左足一閃、劇的逆転弾でエミレーツスタジアムは歓喜に包まれた。
おわりに
今季5度目の劇的逆転勝利で首位を堅持したアーセナル。
昨シーズンまでならリードされたところからズルズルと失速するチームだったが今季はリードを許してもすぐに取り返そうという気概を前面に押し出せるチームへと成長を遂げた。
そして、今週からELも再開して日程的にもタイトな試合が続くが、その中でこの試合はプレータイムの管理で30分ほどしかプレーできなかったスミスロウやリーグ戦2試合目のスタメンとなったヴィエイラはクオリティの高いプレーを見せてくれた。
あとはトロサールとエンケティアの負傷の程度が軽いことを祈るばかりで4月になればジェズスが万全の状態で帰ってきてくれるだろう。
毎試合が決勝戦のつもりで走り抜ける必要があるが優勝という19年ぶりの美酒が夢から現実的な目標にはっきりと変わっているため、最後まで走り抜いて欲しい。
それでは!
エジルに見惚れてグーナーになった人。18/19シーズンから戦術ブログを開設してリーグ戦全試合のマッチレビューを投稿している戦術系グーナーです。