【マッチレビュー】サウサンプトン対アーセナル「当たり前が当たり前である重要性」
もくじ
両チームのスタメン
セインツ(サウサンプトンの愛称)は勝利を収めた前節ボーンマス戦から3人のスタメン変更をしてきた。
メイトランド=ナイルズはアーセナルからのローンのため、ローン元のクラブとの試合に出場できないため欠場、代わりにウォード=プラウズの相方を務めるのはディアロだ。
また、前節負傷交代のカイル・ウォーカー=ピータースに代わって右SBにはリャンコが入っている。
アーセナルは辛勝を収めた前節リーズ戦からのスタメン変更は無しとなっている。
また、ミッドウィークに行われたELグループステージPSV戦から継続してスタメン出場しているのはガブリエウ、冨安、ジャカ、サカ、ジェズスの5人だ。
この試合の主審を務めるのはロバート・ジョーンズ、今シーズンのアーセナル対アストンヴィラにてサカがエリア内でミングスにつかんで投げられたのを見逃した主審だ。
緩い上に後手に回る
セインツの守備は4-4-2のオーソドックスな形で守ってくるのだが、最近では定番になりつつある2トップが中央を閉じてトーマスを消す形になるわけでも無く、試合開始からCBからトーマスへのパスは通るしパスが通ってからのトーマスへの寄せも緩く序盤はアーセナルが自由にボールを動かすことができた。
トーマスにパスが入るとディアロが前にプレスに出てくるが、完全に後手に回っているのでその背後を使いやすくなる。
また、両SBにパスが入った時も両SHが出てくるが、前節のリーズと違いパスが入ってから出てくるというタイミングだったのでここがボールの奪い所になるわけでも無くWGが幅を取って引き出したり、この試合は内側に走り込んでハーフスペースのパスコースに戦ではなく点で待ち合わせする形でパスを受けてスピードに乗ってカットインする形を多用することができていた。
開幕からこのハーフスペースのパスコースに点で待ち合わせしようとする動きはトライしていたが、これまではただ幅取り役がいなくなりパスコースが消えるだけだったがここに来て機能し始めている。
勝ちを取りこぼした理由
2回も3回もPK貰えるチャンスがありながらそのすべてが見逃されていたのでそれさえ無ければ勝っていたのは事実だが、アーセナルにも勝ち点を取りこぼす要因があったのもまた事実だ。
セインツは失点後は4-4-2から5-4-1に変更、自陣に押し込まれるまでは4-4-2である程度前からの圧力も意識しつつ自陣に押し込まれたらエルユヌシとA.アームストロングがそれぞれ1列下がる形で5-4-1に変化する。
4-4-2から5-4-1に可変したことでチャレタ=カーがジェズスにマークに付きやすくなり、チーム全体で見ても守備ブロックの隙間が狭くなった。
後ろのビルドアップ部隊に対しては相変わらずプレッシャーがかかりにくい状況だったが、受け手を潰しやすくなったことでアーセナルは縦パスを通せなくなった。
また、プレッシャーがかかりにくい上に縦パスを通しにくくなったことで後ろの選手たちがボールを持つ時間が長くなってパス回しのリズムが悪くなり、サイドに振れないまま縦パスを狙ってひっかけてカウンターを受ける回数が時間経過とともに増加していった。
前半はサイドに振ってから縦パスを狙ったり、当たり前にできていたことが途中からできなくなってしまった。
このように、焦りから普段通りのプレーができなくなることは今シーズンのアーセナルはコンディションがよくない時と強度の高い相手との試合で時間経過とともにその傾向が強くなっており、今のアーセナルにおける課題の1つだろう。
アルテタの修正
後半途中にアルテタはホワイト、マルティネッリを下げてティアニー、エンケティアを投入し冨安を右SBに移動させるとウーデゴールを下げてファビオ・ビエイラを投入した。
左サイドはWGのマルティネッリが幅を取りSBの冨安がビルドアップをサポート、ジャカがライン間に侵入する形だったがこの交代によってティアニーが幅を取りエンケティアがハーフスペースに侵入しジャカが配球役としてトーマスの脇に入る形になった。
この修正でトーマス脇にジェズスが降りてくる必要がなくなり、ライン間の受け手の人数確保を行っている。
また、ビエイラ投入の狙いは引いた相手にミドルシュートを狙えることや単純なパス精度の高さで狭いスペースをこじ開けることだったように感じるが、ビエイラにとっては初めて体験する試合終盤引きこもり肉弾戦を挑むプレミアの強度に戸惑い上手く試合には入れなかった印象だ。
おわりに
試合内容から考えるとこの試合は勝ち点3が妥当な試合だったが、前節リーズ戦のように内容よくなくても勝てる試合もあれば、この試合のように内容は勝ちに値するけど勝ち点3を取りこぼす試合があるのが長いシーズンというものなのだろう。
スパーズも敗れ、アーセナルは2位のシティと同様に1試合未消化ながら首位に立っているので、ひとまずは良しとしておこう。
それはそれとして、今後のロバート・ジョーンズが笛を吹く試合は要注目だ。
エジルに見惚れてグーナーになった人。18/19シーズンから戦術ブログを開設してリーグ戦全試合のマッチレビューを投稿している戦術系グーナーです。