【マッチレビュー】ノリッジ対アーセナル<2つの優位性>
ノリッジ0-5アーセナル
もくじ
試合のハイライト
両チームのスタメン
0-2で敗れたアストンヴィラ戦からスタメンを3人変更した。
GKクルルがコロナ陽性でガンが代役に抜擢された。
一方、契約の問題がこじれてシーズン序盤はリザーブチーム送りにされるなどあったキャントウェルはここ最近は出場機会を得ていたが、この試合は再びベンチスタートとなっている。
4-1で快勝した前節リーズ戦からのスタメン変更は1人。
ロコンガ、マリがコロナ陽性から復帰したと思いきや、今度は冨安にコロナ陽性反応。
ホワイトが右SBに回り右CBにホールディングが起用された。
ホワイトの右SB起用については加入発表時の考察記事に書いているので良ければこちらもどうぞ。
質的優位と位置的優位
アーセナルはノリッジに対して2つの優位性を保ちながらボールを握ることで効果的なポゼッションが行えたと言える。
その2つの優位が質的優位と位置的優位だ。
質的優位は言わずもがな、大外のWGとSBの1対1、特にサカはノリッジの左SBウィリアムズに対して優位に立てていた。
ボール保持時、サカは大外に張ることが多いが、その目的はSB-SH間(ファジーゾーン)でパスを引き出すことよりも高い位置にとどまり、SBをピン留めする事で、代わりにウーデゴールが外に流れてパスコースを作るシーンが目立つ。
そして、ビルドアップからファイナルサードに侵入すると、サカはSBと正対してボールを受けると1対1の勝負で勝つことでアーセナルにチャンスを、得点をもたらした。
次に位置的優位だ。
ノリッジの4-4-2の守備ブロックに対してアーセナルは4-2-3-1から中盤ダイヤモンドの3-4-3を構成した。(大分いびつだけど便宜上の表記だから許して)
トーマスは2トップの間、ジャカとウーデゴールはノリッジのボランチとSHの間、ラカゼットはダブルボランチの間かその背後に立つことで、ノリッジに後ろからのビルドアップの際にどちらに寄せるかの選択を迫ることができる。
4-4-2から同サイド圧縮でマークを引き渡して同サイドに追い詰めてくるレベルのチームもあるが、ノリッジのプレスは戦力の同時投入ではなく逐次投入、ボールの出た所にそれぞれが寄せるため、アーセナルはプレス回避が比較的容易だった。
また、CBが2トップの脇をキャリーしたところからライン間へのパスの通りが良かったこともこの試合のボール保持のリズムの良さにもつながているように感じた。
特に、ガブリエウが左から運んでラカゼットに通した縦パスは攻撃のトリガーとして非常に機能していただろう。
トランジションとポゼッション
この試合、ボール保持がスムーズに行えていたのは事実だ。
しかし、試合のペースを握り続けた要因はもう1つ、ボールロスト後のネガトラがかなり整備されていたことも挙げたい。
この試合で受けた印象として、まず大きいのは誰がどこに行けばいいのかが明確だったこと、次に1人で行くのではなく2人で挟み込んだり、1人が人に寄せて1人がボールを奪う形が再現性高く作れていたことだ。
そして、この2つの現象の下地になったのが、この試合のボール保持時の立ち位置だと考えられる。
ノリッジの4-4-2のブロックの中間ポジションに立っていたアーセナルの選手はボールロストして即時奪回を目指す際に陣形全体がアンバランスになることなくネガトラに移行し、奪い返して先制シーンのようなショートカウンターに繋げたり、ボールを落ち着かせて再びポゼッションから崩しにかかることができた。
これまでのアーセナルは高い位置でボールを奪う機会が少なかったこともあり、ポゼッションとトランジションがどこか分断されていた印象だったが、この試合ではポゼッションとトランジションが1つのつながりを持てたように感じる。
おわりに
サカの2ゴール、ラカゼットにも久しぶりのゴール、そしてスミスロウは出場した4試合で連続ゴールを記録するなどあり、5-0の大勝だ。
試合内容も相手との力量差はあるものの、その中で自分たちのやるべきことをアウェイで遂行できたことは自身になるだろう。
ホワイトの右SBは冨安が加入した当初期待していたようなボール保持時3バックの右としての役割をしっかりこなしてくれたため、冨安不在時のめどが立ったことも収穫の1つだ。
また、隣にホワイトがいたことでキャリーすることをそれほど求められない立ち位置に合った右CBならホールディングも務まることも分かった。
次節は中1日でウルブズ戦の予定でしたが、ウルブスは前節に続いてコロナの影響で延期を申し出てそれが受理されたことでアーセナルの年内の日程は終了、次節は2022年1発目の試合でシティとの1戦です。
前回は主力不在、理不尽な審判の影響もあり大敗を喫したが、今回はリベンジを果たすことができるのだろうか。
そして、強豪相手に今のサッカーがどれだけ通用するのか、重要な試金石にもなる試合になるだろう。
スパスィーバ
エジルに見惚れてグーナーになった人。18/19シーズンから戦術ブログを開設してリーグ戦全試合のマッチレビューを投稿している戦術系グーナーです。