【マッチレビュー】ELラウンド16オリンピアコス対アーセナル~ゴラッソ祭り~
CL出場権確保のためにはEL優勝するしかない状況で迎えたELラウンド16対オリンピアコス1st leg。
1st legはオリンピアコスのホーム、スタディオ・カライスカキスでの1戦になります。
なお、このスタジアムはベンフィカ戦でも使用しております(笑)
去年のトラウマを払しょくするべく負けられない1戦です。
オリンピアコス1-3アーセナル
もくじ
両チームのスタメン
当初のスタメン発表ではウセイヌ・バはスタメンとして名を連ねていましたが、ウオーミングアップ中に負傷でもあったのか、試合ではベンチ外でした。
代わりに中盤の選手のエンヴィラがCBに入り、ボランチにカマラがスタメン出場となっています。
カマラはトップ下も務めたりする選手ですので結構攻撃的な布陣ですね。
リーグ戦はしっかりお休みしていたマガリャンイスはELで満を持してスタメン出場。
右SBはセドリックではなくベジェリンがスタメン出場となっています。
怪我の状況が気になっていたスミスロウは怪我は大丈夫のようでギリシャ遠征に帯同しベンチ入りはしていますが、即スタメン復帰ではなくベンチから出場機会をうかがいます。
バーンリー戦では途中出場からインパクトを残し、誤審が無ければヒーローになっていたであろう(1つ決定機でやらかしてもいますが)ぺぺもベンチスタートでした。
両チームの二次配置
アーセナルのボール保持時
アーセナルのボール保持時はジャカがクロースロールで最終ラインに降り、トーマスが中盤に残る3-1、ウーデゴールとウィリアンは相手の中盤の前まで下りてくるので3-1-2-3-1のような形になっていました。
ウィリアンもウーデゴールも相手の中盤の前で受けてからパス、ドリブルで前進できるのはいいですが、問題点もありました。
右はサカがより中に絞り高い位置を取り、ベジェリンも常に大外での幅取り役としての仕事を求められます。
そのため、サカ、ベジェリンへの負担と被カウンター時のリスクが増してしまうという問題点があります。
左は、大外のティアニーは右のベジェリンと比較してこの位置でのプレーは得意です。
しかし、ウィリアンはティアニーがボールを持った時にサポートする動きが乏しかったため、普段よりも存在感を発揮することができませんでした。
また、オーバメヤンがカウンターからボールを持って1対2になっている局面でもウィリアンが外を駆け上がってサポートすれば2対2の状況を作れていたのにしなかったシーンもありました。
オリンピアコスのボール保持時
オリンピアコスのボール保持時はボランチのブハラスキが最終ラインに降りて、ボランチのカマラはトップ下のバルブエナらと縦関係になり全体としては3-1-5-1のような立ち位置になっていました。
両WGは中に絞りトップ下のバルブエナ含め3人で中央の3レーンは頻繁にポジションチェンジをしていました。
大外はSBの担当で、深くえぐってのクロスよりアーリークロスを入れてきていました。
アーセナル側の守備は相手が4バック(2CB)でビルドアップしてくる時はオーバメヤンとウーデゴールは横並びになって2トップでプレスをはめに来ますが、今日は3バックでビルドアップしてくる相手だったので少しやり方を変えてきていました。
オーバメヤンは中盤から3バックの中央に降りるブハラスキを監視し、左右に開いたCBにボールをはたくと中央へのリターンのコースを封鎖。
ウーデゴールは中盤へのコースを絶ち、左右のWGはSBへのコースを切るコースカットプレスを行い、CBからパスの出しどころを奪うことに成功、前プレスは機能していたと言えます。
即時奪回から生まれたゴラッソ
先制点はこの試合の前日のCLラウンド16PSG対バルセロナ2nd legのメッシのゴラッソを彷彿させるような強烈なミドルをウーデゴールが決めて生まれました。
あれを決めるウーデゴールは見事でしたが、そこに至るプレスも見事でした。
ジャカからベジェリンへのサイドチェンジが相手に奪われたところからベジェリンのプレスバックで前進をストップ。
左SBのリャプチュクに戻すパスにベジェリンがプレスをかけるところからチーム全体としてオリンピアコスのパスの出し先を制限、ショートパスでのつなぎが苦しくなり縦につけようとしたところをトーマスがインターセプトしました。
そして、最後はウーデゴールが見事なゴールを決めましたね。
仕上げはウーデゴールの個人技に近いですが、きっかけを作ったのはアルテタの仕込んだネガトラの意識と整備された前プレスの賜物だと言えるでしょう。
失点シーンについて考える
バーンリー戦の失点はジャカの下りていき方に問題がありましたが、今回はレノの判断にミスがあった印象です。
このシーンもセバージョスは降りてき過ぎじゃないかと言われれば難しいです。
あの位置まで下りてしまったからエル・アラビからのプレッシャーを受けてボールロストしたという見方もできますし、それは否定できません。
ですが、降りていかなかった場合は後ろから来ているブハラキスを背負ってパスを受けることになるので、それを避けたかったと考えれば一概にセバージョスを責めることはできません。
レノの横にはマガリャンイスがいて、ダビド・ルイスもサイドに開いてパスコースを作っていました。
なので、レノはこのシーンもう少し他の選択肢も視野に入れていたら避けられたかもしれません。
また、あの状況でセバージョスに強めに圧力をかけていたオリンピアコスは見事でした。
@ScoutingForArsenalさんのおっしゃる通り試合巧者で、「勝ち方」を知っているチームでした。
スミスロウが欠かせない理由
スミスロウ投入前はウィリアン、ウーデゴールともに中盤で受ける選手が足元で受けたがるタイプで、ライン間で動き回って動的なポジショニングをする選手がいないため、押し込んでもブロックの中に切り込めず、停滞する時間がありました。
また、ティアニーが持った時にもサポートする選手がおらず、単独で抜いてクロスを上げる必要がありました。
スミスロウ投入後は目に見えてボールの流れがよくなりました。
それは、スミスロウが足元ではなくスペースで受けるのが上手い選手だからです。
相手のブロックの中で動き回りパスコースを作ることで押し込んだけど外でしか回せない状況からブロックの中に切り込むことができるようになります。
また、ティアニーが大外で持った時に内側を走ったりすることで、ティアニーのみに人数を割くことができなくなります。
チーム全体のパフォーマンスを押し上げるためにスミスロウの存在は必要不可欠です。
リーグ戦スパーズ戦(NLD)に向けて
右SBと2CBはローテーションをしてくるのではないでしょうか?
特に、左CBはリーグ戦ではパブロ・マリが重用されているので次節もスタメン濃厚でしょう。
左SBは替えの利かないティアニーを外しにくいでしょう。
あり得るとしたらセドリックを左に回してチェンバースをバーンリー戦に続き右SBで起用する可能性もあると思います。
ボランチはトーマスのパフォーマンスが上がり切らないことを考えればエルネニーのスタメンもあるでしょう。
出場すればインパクトを残していますし、ぺぺとラカゼットを使いサカとオーバメヤンを休ませるというのは十分に考えられます。
スミスロウもオリンピアコス戦は出場時間は短かったのでスタメン出場は十分にあり得ると思いますし、シンプルにノース・ロンドン・ダービー(NLD)で躍動する姿が見たいです。
マルティネッリを予想した理由?…希望的観測です!!!
今回のNLDは正直、ガチのフルメンバーで挑んでる場合ではないので、おそらくはターンオーバーした中で勝ち点3を目指すことになります。
もちろん、勝ってほしいですが、それ以上に次につながる内容を求めたいですね。
まとめ
正直、1-0のままだったら勝利しても素直に喜べませんでしたし、同点になった時は焦りました。
ただ、結果として3-1で勝利し、アウェイゴール3つ奪うことができたのは大きいですね。
2nd legは足元をすくわれることなく勝利して昨シーズンのトラウマを払しょくしてほしいです。
1点目はチームとして流れからいい形を作り、得点しましたし、前半はいくつか他にもチャンスを作りました。
しかし、その後はCKからの得点と相手の油断もあって生まれたエルネニーのゴラッソ(これも見事でした)と攻撃面も修正の余地はありますし、何よりも失点シーンやほかにもいくつか自滅しかけたシーンがありましたね。
なので、その辺りはしっかり修正してきてほしいところです。
スパスィーバ
エジルに見惚れてグーナーになった人。18/19シーズンから戦術ブログを開設してリーグ戦全試合のマッチレビューを投稿している戦術系グーナーです。