【マッチレビュー】アーセナル対エヴァートン~アルテタ監督古巣対決~
前回の暫定監督同士のラストマッチ以来の再戦です。前回はアルテタ、アンチェロッティ両新監督が目を覆いたくなるような試合の末のスコアレスドローという今季でも5本指に入りそうな塩試合を展開しました。しかし、そこから両チームは新監督たちの素晴らしい手腕もあり上昇気流に乗ってこの対戦を迎えています。
そんなアルテタ監督にとって古巣対決でもあるこの1戦を取り扱っていきましょう。
・試合概要
・得点
1分0-1カルヴァート=ルイン
27分エンケティア1-1
33分オーバメヤン2-1
49分2-2リシャルリソン
46分オーバメヤン3-2
・途中交代
18分サカinこらしなつout 76分トレイラinセバージョスout 82分ゲンドゥージinエジルout
59分アンドレ・ゴメスinシュネイデルout ベルナルジinイウォビout 82分キーンinデルフout
・開始早々の失点
試合開始直後にエヴァートンが獲得したFK。蹴る前にコラシナツが小競り合いのような形でラインを下げてしまうという軽率なミスをしてしまいます。そして、このスペースを使われた所からカルヴァート=ルインに押し込まれ開始早々の失点を喫してしまいます。
・守備時のマイナーチェンジ
この試合アーセナルの守備時の並びが前節ニューカッスル戦からマイナーチェンジしています。正確には、オリンピアコス戦のやり方を継続している形です。守備時に以前は4-4-1-1のような形でエジルのタスクは中盤へのコースを切りながらサイドへ追い詰める役割で、ワントップの役割はCB間のコースを切りながらエジルと連動してサイドに追い詰めていく形で縦関係でした。それに対し、オリンピアコス戦や今節は横並びでCBに一人ずつプレスをかける4-4-2と呼んだ方が的確な並びでした。オリンピアコス戦にこの守備の仕方を見た時は運動量が売りのウィロックがトップ下に入ったカラ子の守り方を採用したものだと予想していただけに意外でした。
この守り方はワントップの負担を軽減することはできます。しかし、プレスがはまらなかった時に中央から崩されるリスクがあり、実際上の図のような形でボールを前に運ばれるシーンが多くありました。
・ビルドアップのマイナーチェンジ
今節は後方のビルドアップのひし形はいつもより大外に開いた形でした。こうすることで、相手のツートップが1人で2人見ることができない距離感になっているように感じました。また、右のムスタフィからハーフスペースのエジルへの縦パスのコースが確保され、左のジャカからはハーフスペースで最終ラインと駆け引きをするオーバメヤン、大外のレーンで高い位置にいるサカへのパスコースを確保できますし、大外のレーンからならドリブルで持ち上がってからパスを展開することも可能になります。
先制点もジャカが持ち上がったところから大外のサカへ通し、サカのクロスをエンケティアがワンタッチで押し込み同点にしました。このシーン右SBのシティべはハーフスペースのオーバメヤンを注視していました。結果、イウォビが後追いの形で下がりながら追う形になり、サカは易々クロスを挙げられる形になりました。
・オーバメヤンをサイドに置く利点
逆転弾のシーンまずすごいのはダビドルイスのパスでしょう。相手の守備ブロックをもろとも無力化するこのパスでしょう。ですが、オーバメヤンのポジショニングも見事なものです。シティべの死角から上手く勢いに乗ってダビドルイスのパスに抜け出してピックフォードとの1対1を制し逆転に成功。
前半終了間際に追いつかれましたが、後半開始直後セバージョスが高い位置で引っ掛けて奪いそれをジャカが回収し、エジルへ。エジルからのパスを受けたぺぺからのクロスをオーバメヤンが頭で押し込んで再び勝ち越しに成功。このシーンだけではないのですが、セバージョスが守備時にしっかりフィルター役をこなせているのはセバージョスをこれからも起用する上で重要なポイントでしょう。
しかし、すごいのはオーバメヤン。シティべと上手く距離を取ったところから少し勢いをつけてのヘッド。これはニューカッスル戦のゴールにも同じモノを感じます。このエリア内での強かさは流石の一言です。
オーバメヤンが初期配置がサイドでも、そこから中に入っていけて、オーバメヤンが大外のレーンで仕掛ける仕事をやらなくていい仕組みを作れれば、相手の死角から入っていける回数が増える分ただワントップで使うより脅威になりえると思います。ただ、それができなかったのがエメリで、そこを作れたのがアルテタです。
また、オーバメヤンは守備時はかなり献身的に走れるので、サカと連携しての守備や、ハーフスペースを埋める役割をこなすことができます。あとは、試合終了間際にアンドレ・ゴメスがイエローで止めたシーンのようにカウンターの起点としてかなり脅威になります。
・ゲンドゥージのタスク
エジルを下げゲンドゥージを投入し、4-1-4-1にシフトし、引いて守る時は4-5-1でブロックを築き守るアーセナル。エヴァートンはかなり攻撃的な4-1-2-3にシフトしました。この試合、ゲンドゥージはかなり精力的に動きまわっていました。投入直後は空回りしないか不安でしたが、この猛烈なプレスにエンケティアが連動することで前から守備に行くときは4-4-2の形になりました。
その真骨頂顔のシーン。GKまで戻したところにエンケティアとゲンドゥージが連携してコースを限定し、シグルズソンにパスを出させますが、これも狙い通り、ジャカが潰し、トレイラがこぼれ球を拾いエンケティアにパス、エンケティアがこれをシュート…惜しくもポストに嫌われてしまいまいたが一連の流れはかなりいいものでした。
このシーン、エンケティアもミナへのコースを切りながら寄せていますし、ジャカ、トレイラがシグルズソン、アンドレゴメスに目を光らせていましたが特筆すべきはゲンドゥージです。ホルゲート、アンドレゴメスへのコースを1人で切りながらGKにじりじり寄せていったことでシグルズソンが下りていかざるを得なくなったところジャカが後ろからガツンと当たる見事な一連のプレスです。いままでのゲンドゥージはなぜそこに?というようなプレスのかけ方や飛び出しが多かったのですが、この試合は後方へのコースをケアしながら寄せられてましたし、アルテタの仕込みでしょうか。
・浮き彫りな課題
2失点を喫したセットプレーなんかはずっと前から浮き彫りになっている課題ですが、ここではもう一つの課題・・・ロングボールでムスタフィとベジェリンのスペースに放り込まれたところからの個人での打開。前節ならサン=マクシマン、今節はリシャルリソンにいいようにやられていました。ムスタフィは外から入ってくるボールに対しての処理は今節もほぼパーフェクトと言っても過言ではありません。空中戦4回勝利クリアも7回記録と見事な対処を見せています。タックル成功数3回、地上戦勝利数も4回を記録し、見事なスタッツを残しています。ですが、やはりスピード不足は否めない感じで縦に突破を許したりズルズル下がってしまうシーンもありました。ベジェリンもサン=マクシマンに突破を許したとき同様縦に突破されると2人ともかなり苦しくなってしまうのが現状です。この点は前評判でスピード不足がささやかれるパブロ・マリにしても不安なところです。
・最後に
書ききれなかったけど、後半のレノのスーパーセーブ連発はやばいですね!としか言えないレベルでした。いつだってレノはアーセナルを救ってくれた、そしてこれからもそうだと信じてる!
エヴァートンもアンチェロッティを迎えてから内容、結果ともに改善しているのがわかる試合内容でした。お互いあの塩試合を展開していた所からよく持ち直しましたね。そして、アンドレ・ゴメス復帰おめでとう!
さて、2020年無敗&公式戦3連勝でエヴァートンをかわし9位に浮上しました。先制された時はどうなるかと思いましたが、見事な逆転勝利でした。そして、この記事もここまで読んでいただきありがとうございました。感想、拡散等はモチベーションに直結します。感想の引用RTやリプ、あとはアクセス数を見て一喜一憂してますので、いつでもお待ちしています!次回はオリンピアコスとのELラウンド32の2ndレグになります。が、その次はなにやらシティ戦が未定になっているのでFA杯ポーツマス戦になるかもしれません。このシティ戦中止は何があったんでしょうか…ではまた、次回!
エジルに見惚れてグーナーになった人。18/19シーズンから戦術ブログを開設してリーグ戦全試合のマッチレビューを投稿している戦術系グーナーです。
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シティ戦は(シティが出る)カラバオの決勝と被ったので延期です~