【考察】アーセナル×カイ・ハフェルツ「メインポジションをどこに据えるか
チェルシーではトップ下、シャドウ、CFと複数ポジションで起用されていたが、レヴァークーゼン時代と比べると100%の輝きを放てたとは言い難い。
そんなハフェルツのポテンシャルを高く評価したアルテタが熱望する形で獲得に動き始めた。
チェルシーの最初の設定金額は£70mだったが、アーセナル以外は具体的な動きは見せなかったが、£50mまで値切ることはできず£60mに£5mのアドオンを加えた移籍金での決着になった。
残すはメディカルチェックのみという状況でハフェルツの都合でイングランド国外でメディカルチェックが実施される予定だ。
この記事ではそんなハフェルツのプレースタイルと起用法について考察していく。
もくじ
プレースタイル
CF
今シーズンはチェルシーが低調だったこともあり、ゴール期待値への貢献度は結構低く、守備の量・質ともに低い数値になっている。
その一方でプレー精度は極めて高く、ビルドアップのスタイルもショートパスによる関与の意欲が極めて高い一方で、ロングフィードによる展開や自分でのキャリーの意識は高くない。
守備は両・質ともに低いが、タックル・インターセプトともに意欲は高いことから、守備の数値の低さはチェルシー川の問題と考えていいだろう。
守備の量・質とゴール期待値への貢献度はチェルシーでの20/21シーズンからの3シーズンで右肩下がりになっており、今シーズンは特にそれが顕著になっている。
空中戦はCF基準で見ても強い部類に入り、今のアーセナルに足りない要素を補填してくれる存在になるだろう。
また、地上ではボール保持時のデュエルの強さが際立っており、キープ力の高さも武器になっている。
弱点はシュート意識の低さでエリア内への侵入意欲は低くないがシュートが少ないのが気がかりだ。
守備意識とビルドアップ性能の高さを兼ね備えているがシュートが少ないという点で少しラカゼットと重なるのが気がかりだ。
プレーを見た印象では、スペースの認識能力に秀でている印象だ。
CF起用時は降りてきて味方にスペースを提供しつつ、縦パスを引き出しそこからの周りとの連携による崩しに長けている選手で、プレーエリアは左に流れるジェズスとは対照的に右サイドに流れることが多いのが特徴的だ。
トップ下、セカンドトップ
トップ下、セカンドトップでの起用時はゴール期待値への貢献度、守備の量・質、プレー精度全てが高い数値を記録している。
守備のスタイルがタックル型に寄っているのはCF時はパスコースを抑える動きも意識しながらのプレスになる一方で、2列目の場合はCFがプレスの起点になってCBまでプレスに行くかボランチを潰す動きが主になるため、タックル型の守備のスタイルになると考えられる。
ビルドアップ時のスタイルはCF時同様にショートパス主体だが、エリア内への侵入意欲とシュート意識が極めて高くなっている。
これは、CF時は味方にスぺ―スを提供するためゴールから離れる動きから入る一方で2列目ではゴール前に飛び出す動きの回数が増えることで、ハフェルツのスペースの認識能力が得点力に結びついているのだろう。
また、空中戦は2列目の選手としてはトップクラスに強く、地上戦は保持時は強く、非保持時のデュエルはあまり強くない。
CF時はスペースを作る側のハフェルツだが、2列目での起用時はスペースを使う側になるのが特徴で、レヴァークーゼン時代に何試合か見たときも同じような印象だった。
起用法
起用されるポジションで想定されるのはCFと左右のIHで攻撃時のタスクを考えたら3ポジション共に問題無いが、守備時のタスクを加味すると現実的なのはCFと右IHなのでこの2つのポジションについて考えていく。
CF起用
ティアニーが残留に傾いていることやアルテタの3バック併用発言、今夏の補強候補のライス、ティンバー、ハフェルツから考えられるのは今シーズンの左右反転verをチームのプランBとして想定し、リーグ戦とCLを両立するために2つの布陣を作ることだ。
この形でハフェルツに期待されるのは右サイドにおけるジェズスのような存在になることだ。
右に流れてライン間の受け手になりながらのスペースメイク、右に流れて中央に生まれたスペースは左IHのライスやスミス=ロウが飛び出す形が期待できる。
また、押し込んだ時はハフェルツがライン間で受け手になりサカのマークを緩和しながら、ワンツーでの連携などを狙える。
この時ウーデゴールにはサカが相手を押し下げた後の戻しのパスを受けてのファーサイドへのクロスやミドルシュート、逆サイドを囮にしてハフェルツの裏へのパスを期待したい。
右IH起用
ハフェルツが右IHで起用されるとしたら昨シーズンの形を踏襲した布陣でウーデゴールの代役を務める配置だろう。
ウーデゴールとの違いはよりクロスやロングボールに合わせた裏への飛び出しやサカがボールを持った時のハーフスペースでのサポートのためのランニングなど、ボールを持っていない時の働きが期待できる。
あとはCFでも右IHでもハフェルツに期待されるのは今のアーセナルに不足している空中戦の強さで、それを活かすためにどちらのポジションでも必要以上に降りてこないことが要求されるはずだ。
おわりに
ハフェルツはただの控えとしては値段も高く、それ以上の働きが期待される。
その一方で現時点のアーセナルのスカッドとハフェルツの適正ポジションを照らし合わせると昨シーズンのジェズスのように最初から絶対的な選手としての役割を期待されてチームに迎えられる選手では無いだろう。
複数ポジションをハイレベルでこなしつつ新たな要素をアーセナルに吹き込み、チームのクオリティと安定感をCL基準に引き上げるような働きを期待している。
あとは今夏の補強のポールポジションであるライスとティンバー、そこにカイセドまで確保できれば補強の面では完璧な夏の立ち回りになる。
そしてそれを実現するためには放出の作業も欠かせない。
高値で売れそうなバログンは当然だが、ぺぺやタヴァレスをいかに上手く売れるかが重要になるだろう。
エジルに見惚れてグーナーになった人。18/19シーズンから戦術ブログを開設してリーグ戦全試合のマッチレビューを投稿している戦術系グーナーです。