【考察】アーセナル×でクラン・ライス「期待するのはアップデートと長期プラン」

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シーズン終盤にはジャカの退団報道も出てきて、後釜の1stターゲットとしてウェストハムのイングランド代表でクラン・ライスがPUされた。

契約残り2年(1年+1年延長op)のライスは今夏バイエルンとアーセナルの競合だったが本人の国内意向の強さもあってバイエルンは撤退。

ライスとウェストハムにECLに集中してもらうためにECL決勝まではオファーを出さずにアーセナルは待機、無事にライスはウェストハムで念願のタイトルを掲げることになった。

アーセナルはライスと個人合意の後、ウェストハムに総額£90mのオファーを提出するもあえなく一蹴され、そこにギュンドアンが退団するシティが参戦、ウェストハムとしてはこれで価格が釣りあがり目論見通りとなるはずだったが、シティのオファーも総額£90mウェストハムはこれを拒否しシティは撤退

アーセナルは満を持して3度目のオファーとして提出した総額£105mのオファーで無事に合意し、残すは支払回数などの詳細の話し合いを残すのみとなった。

https://twitter.com/FabrizioRomano/status/1674838546878701568?s=20

そんな今夏のアーセナルの補強のポールポジションのライスについてプレースタイルと起用法を考察していく。

プレースタイル

ライスのプレースタイル

今シーズンはWボランチの左でソーチェクの相方を務めることが多かった。

昨シーズンまでは前線への飛び出しが得意なソーチェクに合わせてバランスを取る傾向が強かったが、今シーズンは前線に飛び出していくプレーが増加し、よりジャカのような選手へと成長した。

21/22シーズンAttacking output(ゴール期待値への貢献度)が45だったが22/23シーズン55に上昇している。

また、プレー精度が高く守備は量・質ともに平均程度だ。

空中戦はかなり強いものの積極的なタイプではない。

守備のスタイルは人を潰しに行くよりは広い空間をカバーする方が得意なインターセプト型の選手だ。

とはいえ、人に対する守備の意識が低いわけでは無くタックル数も平均以上のスタッツを記録している。

タックルのエリア別にスタッツのリーグ内での位置付けを比較するとディフェンシブサード>ミドルサード>アタッキングサードとなっている。

ちなみに、トーマスとジャカのタックル数は2人共アタッキングサード>ミドルサード>ディフェンシブサードとなっており、チームのスタイルの影響が大きく、アーセナルに加入した場合は守備範囲の広さは前からのプレッシングにも活かされるだろう。

ビルドアップ時のスタイルはショートパスによる連携とロングフィードによる展開の意識はどちらも平均程度の意欲を有しているが、特筆するべきはキャリーの意識の高さだ。

90分毎のプログレッシブキャリーの回数(2.42回)とキャリーによるファイナルサードへの侵入回数(2.06回)もリーグ屈指の数値を記録している。エリア内への侵入意欲は平均より少し低い程度でシュート意識も平均程度だが、シュート精度の高さに目を見張るものがある。

シュート数、枠内シュート数それぞれにおけるゴールの割合リーグ屈指の高さゴール数もゴール期待値を上回る数字を記録している。

ウェストハムでのプレーを見た印象ではキャリーの巧さと長短のパスの展開力でボールの前進を担い、ファイナルサードではミドルシュートが得意に見える。

一方、ユーロの時のイングランド代表ではアンカー気味のポジションでバランスを取る役割を任されて、その時は中央でボールを引き出す時に降りて行きすぎるシーンがあり、IHではウェストハムのように得意なプレーをできるがアンカーを任された時に苦手なプレーが出てくる予感がする。

起用方法

ライスの起用方法

ライスの起用ポジションはジャカの後釜の左IHだろう。

守備時は敵陣では4-1-2-3の左IHで前からのプレスに加わりつつ自陣では4-4-2のWボランチの一角として守備ブロックに加わるタスクが期待される。

攻撃時はジンチェンコが中に入る3-2-5でビルドアップの段階ではライン間で待ちつつジャカ同様にジンチェンコの外のパスコースを確保するために降りてくる役割が期待されるが、ジャカからのアップデート要素としてはパスを受けた所から自分で運んで周りを押し上げるタスクだ。

ライスが自分で運ぶこととで相手の守備ブロックにズレを作ることが出来れば、左サイドの崩し、中央の攻略、逆サイドへの素早い展開の起点がより高い位置になり、ブロックを敷いて守る相手の攻略の選択肢が増えるだろう。

ファイナルサードでの崩しの場面では右からの崩しに合わせてマイナスのエリアに侵入してクロスに合わせる役割と左WGが相手のDFラインを押し下げてからの戻しのパスを受けてからのファーへのクロスやミドルシュートが期待できる。

特に左利きのジャカと違い右利きのライスはミドルシュートが狙いやすいのがメリットだ。

また、クロスに合わせる空中戦要員になれるのも強みになる。

左IHとしては今シーズンの戦術にアップデートをもたらす存在になるだろう。

その一方で、アンカーで起用された場合はプレースタイルの最後で書いた弱点からビルドアップ時にチーム全体が後ろ重心になる懸念があり、苦戦する可能性がある。

とはいえ、ジョルジーニョ残留でトーマスも残留すれば今季ライスがアンカーを務めるのはよほどの非常事態だろう。

長い目で見た時にライスがアンカーになる構想もあると思うのでじっくりとアンカーとしてのポジショニングを仕込んでくれれば大丈夫だと思う。

おわりに

ピッチ上での現時点の完成度はカイセドの方が上だと思うが、それでもフロントがライスを1stターゲットに定めたのにはいくつか理由があるだろう。

1つ目ジャカの退団により左IHの補強の緊急性が増し、ジャカと同じようなタスクの実績があるライスの優先度が上がったこと。

スミスロウも左IHで期待がかかるがこのポジションの実績がないこと、手術をしたとはいえ来シーズンどれだけ稼働できるか不安があるということ、低い位置での守備強度が不安なことなどいくつかの理由からもう1人左IHの主力が欲しく、やらせたら出来るであろうカイセドより既にできることが証明済みのライスが優先された形だ。

2つ目は長期プランの軸としての期待だ。

本人のイングランド、ロンドンへの残留希望の強さと若いイングランド代表ということで国外移籍の可能性は低く、アーセナルが本当の意味でプレミアのトップクラブの立場を取り戻せば5年、10年単位での貢献が期待できる。

それで移籍金は残してくれるだろうが数年したらマドリーにはばたく可能性のあるカイセドよりライスを優先したのだろう。

3つ目はメンタリティだ。

ライスのキャプテンとしてのメンタリティにアルテタは大きく期待し、アルテタがキャプテンシーのある選手を望んでいるのはここ1,2年の移籍市場で獲得した選手からも明らかだ。

特に今夏は精神的支柱のジャカが退団することで新たな精神的支柱になれる選手を欲したのだろう。

このように、現在のピッチ上でのクオリティに将来性やピッチ外の付加価値を加えて考えた時に評価額以上の£105mの移籍金を払って獲得することを決断したのだと思う。

そんなライスの活躍に期待したい。

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