【マッチレビュー】シェフィールド・U対アーセナル~新システム導入?
ブレイズ(シェフィールド・Uの愛称)は9位に躍進した昨シーズンとは打って変わって開幕直後から最下位に沈んでいました。
当初は降格しても解任はないとまで明言されていましたが、補強面などからフロントとクリス・ワイルダー監督の関係に亀裂が入り、3月13日に双方合意のもと退任、そこからはU-23を率いていたポール・ヘッキングボトム監督が暫定指揮官としてチームを率いています。
チーム状況は文字通りどん底のブレイズのホームに乗り込むアーセナル。
こちらも公式戦4戦勝ち無し、せっかくけが人が少なく済んでいた今シーズンですが3月の代表ウィーク明けから増え続けており、チーム状況はよくはないよねという中でミッドウィークに控えるスラヴィア・プラハとの 2nd legに弾みをつけるためにも勝利が必須な1戦、プレミアリーグ第31節シェフィールド・U対アーセナルのマッチレビューです。
シェフィールド・U 0-3 アーセナル
もくじ
両チームのスタメン
直近のリーグ戦のリーズ戦からは3人を入れ替えてきました。
最終ラインはバシャムが以外はベストメンバーと言えるでしょう。
また、リーズ戦では3バックの右に入っていたバルドックがこの試合では右WBに入っています。
直近の試合のEL 1st legスラヴィア・プラハ戦からは5人を入れ替えてきました。
ベジェリン、マガリャンイス、セドリックはおそらくELに向けての休養ということでしょう。
サプライズはジャカが左SBに入ったこと、サカのトップ下起用!、そして全グーナーの待ち望んだマルティネッリのスタメン出場です。
サカのトップ下起用に関しては開幕前に考察記事を出しているのでそちらもよければどうぞ。
ダビド・ルイス、ティアニー、ウーデゴールに加えてスミスロウも足首の負傷で欠場、オーバメヤンはインフルエンザで欠場となっています。
この2人はEL 2nd legに間に合うか微妙なラインです。
両チームの二次配置
アーセナルのボール保持時
アーセナルのボール保持時は3-1-6のような形でした。
左SBに入ったジャカですが、ビルドアップ時の役割はボランチで出場する時とさほど変わりあるものではありませんでした。
ただ、最近はボランチとして出場する時はこの3バックの一角としてのビルドアップ以外の役割も与えられていましたが、この試合ではビルドアップの役割に専念できていた印象です。
前線はそれぞれサイドでトライアングルを形成し、DFラインを押し下げつつブレイズの3センターの背後のスペースをサカやラカゼットが有効活用できていました。
ブレイズの守備は3センターの横スライドが追い付いていない印象もありましたが、それ以上に3センターの選手(特にノーウッド)が前に出ていく頻度が高く、ライン間に蓋がされておらず、ライン間でパスを受けるサカとラカゼットが活躍しやすい状況になっていました。
ブレイズのボール保持時
ブレイズのボール保持時のアーセナルの守備は人を基準にした守り方でした。
両WGはWBへのコースを抑えながらCBへ、ラカゼットも3バックの中央に、3センターに対してはアーセナルも中盤3人が対応。
ブレイズは前進するのにも苦労している印象でした。
攻撃時3-1-6の解説
この試合の攻撃時3-1-6の肝は両サイドでトライアングルを形成し、CBとWBの2人に対して数的優位を作ることです。
そして、レーンの入れ替えとパス&ムーブの徹底により、マーカーを絞らせないままアタッキングサードまで侵入していきます。
基本的にはライン間でラカゼットとサカが出し手になり、左のマルティネッリと右のぺぺはボールに絡みつつ裏を狙う動きで相手を押し下げます。
そして、チェンバースとセバージョスはそれぞれ大外で幅を取り、5バックを押し込みます。
マルティネッリとペペが持った時にセバージョスとチェンバースが上がることで、WBに対して2対1を形成。
5レーンに人を置く場合、5バックに対して数的優位を作ることが難しいですが、このシステムならサイドで2対1や3対2を形成しやすいメリットがあります。
欲を言えば、マルティネッリはWBの近くではなく、CBとWBの中間に立って裏を狙う動きができれば、だれがマークにつくのかの迷いを生じさせることでより効率的に攻められたなと感じました。
この攻撃時3-1-6ですが、メインのオプションに据えるのは危険だと思います。
この試合ではスピードのあるアタッカーがバークのみで被カウンターで後方が危険に晒されませんでしたが、優れたアタッカーのいるチームの場合、4人でカウンターに対処するのは困難でしょう。
ですが、5バックを崩すためのオプションとしては十分にありだと思います。
セバージョスのポジショニング
この試合でのセバージョスのポジショニングはチェンバースにも共通していることですが、十分に高い位置を取れていないことで、ブレイズ側がマークにつく選手を整理しやすくなっていました。
特に、左サイドはマルティネッリが大外に張っていたためそれがより顕著でした。
ですが、その一方で、セバージョスが3センターの横や前で受けるメリットとしては、ドリブルで相手を引き付けてから逆サイドに展開したり、同サイドで仕掛けたり、自身の選択肢を増やせる点にあったと思います。
そのため、この試合では右で崩して左でフィニッシュに行く形が増えていたように感じました。
セバージョスとチェンバースがそれぞれ、中盤の選手より高い位置、WBよりは低い位置に立つことで、守備側は誰にマークをつくかの選択を迫られることになります。
例えば、左サイドならセバージョスが高い位置を取りマルティネッリが中に絞ることでマルティネッリはゴールにより近い位置でプレー可能です。
そして、WBはどちらを抑えるかを選ぶ必要があります。
このように、ポジショニングでは基本的に相手に複数の選択肢を考えさせるような立ち位置にいることが必要だと考えています。
ジャカの左SBを継続するべきか
ボール保持時の役割は今日の役割が適任だと思います。
あれやこれやと役割を増やすより、後方からのビルドアップに専念させた方がジャカは輝けるでしょう。
ですが、守備になると話は別です。
ジャカはベクトルが前に向いた守備(出足を潰す守備など)は得意ですし、ボランチならトーマスが横でカバーしてくれます。
ですが、SBではただ出足を潰すだけではなく背中を守る守備などを求められます。
そして、SBではスピードのあるアタッカーと広いスペースで対峙する場面も出てきますが、機動力に欠けるジャカが1人でカバーするのは難しいでしょう。
セドリックもスピードは飛び抜けてあるわけではありませんが、ジャカよりはスピードがありますし、SBの守備の仕方もジャカと比較して一日の長があります。
なので、アーセナルが主導権を握り、守備の時間を極力短くできる相手、もしくはスピードのあるアタッカーが不在のチーム相手以外ではジャカのSBというのは控えた方が良いかもしれません。
EL 2nd legスラヴィア・プラハ戦に向けて
サカとマルティネッリはどうやら大事ないようなのでELでもスタメンで来るでしょう。
そして、スラヴィア・プラハはアーセナルが終始主導権を握れる相手ではないので、ジャカはボランチ起用にすべきでしょう。
仮に、ウーデゴールやスミスロウが復帰できるのなら、2列目の攻勢も変わってくると思います。
おそらく、スミスロウは間に合わないと思いますが、ウーデゴールは当初言われていた期間を考えれば十分に間に合う可能性はあると思います。
まとめ
結果、3-0と快勝でELに向けて弾みをつけることができましたが、1つ気になる点があります。
それは「プレー精度の低さ」です。
チームのメカニズムとしては良かったのですが、なんてことないパスがずれたりするシーンが少し目立っていたのが気になります。
複数の引き出しで得点を奪うことにも成功していますし、特にマルティネッリがゴール、トーマスがアシストを記録できたのは今後に向けて自信につながるため、今後に向けていい流れでした。
スパスィーバ
エジルに見惚れてグーナーになった人。18/19シーズンから戦術ブログを開設してリーグ戦全試合のマッチレビューを投稿している戦術系グーナーです。