【マッチレビュー】アーセナル対バーンリー「同型対決は質がものを言う」
アーセナル3-1バーンリー
もくじ
両チームのスタメン
質を戦術で補いたいバーンリー
昨シーズン、コンパニを新監督に招聘、チャンピオンシップで圧倒的な強さを見せつけて昇格、FA杯では大敗したもののシティと真っ向から殴り合い、洗練された前からのプレッシングとビルドアップで大きな注目を集めたバーンリー。
しかし、いざ開幕すると11節を消化して1勝1分9敗で19位に沈んでいる。
得点数はワースト1位タイ、失点数はワースト1位という惨状だ。
しかし、似たような今シーズンの戦績、得失点の最下位のブレイズと決定的に違うのは内容の質だ。
大敗こそしたがバーンリーは昨シーズンから継続した前からのプレッシングでスパーズのビルドアップを封じ込め、初期のアルテタアーセナルを彷彿させるGKビルドアップからの疑似カウンターでゴールも奪ったし、チェルシー相手にも前半45分は引けを取らない内容だった。
しかし、スパーズ戦はマディソンとソンに、チェルシー戦はスターリングにひたすら蹂躙されて大敗を喫することになった。
攻撃陣も後ろからの丁寧なつなぎでチャンスは作ってもらえるが、相手DFとの対面で全く勝てず、チームの得点数も増えない。
今夏、頭数だけは補強しているが一昨シーズン昇格して旋風を巻き起こしたビエルサリーズのようにトップレベルの選手を大勢連れてきたわけでも、昨シーズン昇格1年目で大躍進したトーマス・フランクブレントフォードのように自前でプレミアで戦える選手がそろっていたわけでも無く、いくらコンパニが優秀な戦術家でも個の質がプレミアで戦えるレベルではなかった結果が今の成績だ。
コレオショのように可能性を感じさせる選手はいるが、1人でゲームを動かすほどのマンパワーはまだない。
アーセナル戦だけでなく今シーズンのバーンリーのビルドアップの狙いは一貫しており、GK含めて後方のビルドアップで相手を片方のサイドに食いつかせてから前進しサイドを切り替えて手薄な逆サイドに展開しスペースと時間を提供して一気に崩し切ることだ。
第4節バーンリー対スパーズのバーンリーの先制ゴールはまさにこの形が決まったものだ。
この試合も右で引き付けて左、左で引き付けて右への展開からの前進でファイナルサードへの侵入は何度かあった。
バーンリーの同点ゴールはピッチを広く使ったビルドアップからコレオショと冨安の1対1をおぜん立てし、コレオショが突破したところからの折り返しのこぼれにブラウンヒルが詰めて生まれた。
コレオショのあの場面自体は冨安の誘導に乗せられて縦に行き、冨安もしっかりと体を入れていたので冨安の対応に落ち度は無く、コレオショが冨安を引っ張ったことでファールを取られても不思議ではない場面だったが、そういう場面で笛が吹かれるはずもなく、とはいえ前節ジョエリントンのプッシングほど明確なものでもないのでこの話はここでお終いにしましょう。
改めて証明されたファー裏へのクロスの有効性
今シーズン、同サイドの細かい連携にこだわりすぎて苦戦する度にこのブログで言い続けていた戻しからのファー裏へのアーリークロスの有効性が見事に証明された。
マルティネッリの仕掛けにバーンリーがSBヴィチーニョとWGグズムンドソンの2人で対応し、フリーになったジンチェンコにバックパスで戻すとそれをダイレクトでアーリークロスを入れるとサカの競り合いからこぼれたボールに反応したトロサールがゴールに押し込み先制に成功。
他の場面でも左はマルティネッリ→ジンチェンコからのアーリークロス、右はサカ→ジョルジーニョ、冨安への戻しからのアーリークロスでバーンリーのゴールに迫った。
WGが押し下げて後ろに戻すとそこで相手はDFラインを上げるかどうかの判断と視野の切り替えを求められ、そこからダイレクトにアーリークロスを入れられると相手DFはボールと背中側のマーカーを同一視野に捉えにくい難しい対応を迫られる。
逆に同サイドの細かい連携は決まれば魅力的だが、相手は構えて待つ場合、自分の視野の中で相手が動くから守備の約束事が整備されたチームなら対応しやすくなってしまう。
おわりに
シティ時代にはアシスタントコーチとキャプテンの間柄でお互い監督になってからはペップの系譜のサッカーをする監督同士になったアルテタとコンパニの対決はアルテタの勝利に終わった。
アーセナルはこの試合、ファーへのクロスもそうだがネガトラで高い位置での即時奪回からのカウンター、失点直後の得点という試合運びなど昨シーズンの良かった部分が多く見られたのはスコア以上にポジティブな要素だ。
心配なのは試合終了間際足をつっているようなそぶりを見せていた冨安がこのまま日本代表に参加して怪我して帰ってきてしまかもしれないということだ。
それから、体調不良でベンチ外になったホワイトも心配だが、こちらは代表ウィークにリフレッシュして次の試合ではまた元気な姿を見せて欲しいものです。
エジルに見惚れてグーナーになった人。18/19シーズンから戦術ブログを開設してリーグ戦全試合のマッチレビューを投稿している戦術系グーナーです。